「恐れ入りますが」の正しい使い方と例文・大変/誠にの使い分け
更新日:2024年07月11日
「恐れ入りますが」は「恐縮です」とほぼ同じ意味合いの言葉です。また「すみません」や「申し訳ありません」の代わりとして使うこともあります。目上の人に対して失礼なことをするのは恐れ多いといった意味合いと、謝罪や感謝の気持ちも「恐れ入りますが」という言葉で表現しています。
「すみません」という言葉が、口頭でわりと気軽にあいさつとして使われていることに比べると、「恐れいりますが」の方が手紙や文書に使われることが多く、誰かに依頼をしなければならない時に、言葉がきつくなり過ぎないようにするための緩衝材として使われます。
また、「恐れ入りますが」はどちらかというと話し言葉に近いため、硬い文面の書簡に使用するのはふさわしくありません。それでは「恐れいりますが」をどこで使うのかを話しましょう。これは、メールで使用する場合も活用できます。
手紙の場合は例えば「○○いただき大変恐れ入ります」この○○の部分には、その状況によって使い分けてください。例えば、「お心遣いをいただき大変恐れ入ります」「本日はお足元の悪いなかご足労いただき、大変お恐れ入ります」「このたびは、たいそうなお品をいただき誠に恐れ入ります」「身に余るお言葉をいただき大変恐れ入ります」といった具合です。
この時の意味には、○○をしてもらって申し訳ないといった意味合いが込められていて、「恐れいりますが」という言葉の最も一般的な使い方になります。
「もらう」、または「○○してもらう」の謙譲語である「いただく」を敬語にして使っています。「○○をいただき大変恐れ入ります」を使うときは、お土産をもらったり、何かしらの気遣いをしてくれた相手に伝えるお礼として使われます。「ありがとう」とお礼をしても構いませんが、「恐れ入りますが」という言葉を使うことで、へりくだったニュアンスを醸し出しています。
これを実際に使えるような文章にすると、「恐れ入ります。お気遣いいただきすみません」「恐れ入ります。お気遣いいただき申し訳ありません」となります。
ビジネスシーンで使われる例文
これらの例文で使われている、「お気遣いいただき」の部分は、ほかの言い回しに変換しても良いでしょう。例えば、「お忙しいところ」「お心遣い」に代えても構いません。この場合の意味は、「恐れて身がすくむ思いです」といった意味合いで使われています。
「恐れいりますが」には「申し訳なく思う気持ち」や「ありがたく思う気持ち」が含まれています。そのため本来であれば「恐れ入ります。ありがとうございます」と重複させることはないのですが、ビジネスシーンでは、よく使われるフレーズです。ただし、ビジネスシーンにおいては、もっと簡潔に纏められた文章が好まれます。
私事の際に使われる「恐れいりますが」
私事で何かをお願いするときは、次のように手紙を書きます。「私事にて大変恐れ入りますが」あるいは、「私事にて恐れいりますが」と使います。ここでの私事は、自分のことに限りません。身内になる方の都合も指しています。ビジネスシーンにおいては、家族のことであっても「私事」として扱われます。
ビジネスで「恐れ入りますが」を使う際には、相手から見た時に内か外かの意味をもう少し広げて考える必要があります。私事での「恐れ入りますが」の使い方は、ビジネスには関係のない、自分の都合について話す際に「申し訳ない」という気持ちを含めて使います。
例えば「身内に不幸がありまして、私事にて恐れいりますが、本日お休みをいただきます」といった具合に使うと良いでしょう。
「恐れ入りますが」を使って意思をスムーズに伝える方法
自分の意思を正確に伝えるためには、適切に言葉を選ぶ必要があります。言葉を選ぶことが特に重要になってくる場面は、お詫びをしたり、相手に何かをお願いするとき、何かを断らなければならないとき、苦情を言わなければならないときです。
中でも、苦情を言わなければならない場合は、会話の中でも最も言葉遣いが難しい場面となるでしょう。この時に言葉の選び方を間違えてしまうと、相手に不快な思いをさせたり、誤解を招くなどして、後のお付き合いに影を落とすきっかけにもなり得ます。
物事の重要性やそのときの状況に応じて、角が立たない適切な言葉を選びましょう。たとえ伝えにくいことであっても、誠意をもって臨むことが大切です。
例えば、用件の変更をお願いする際には、「恐れいりますが、出来ましたら○○日ではなく、○○日に変更させていただいてもよろしいでしょうか」と言って、まずおわびの言葉から始め、変更をどのように行いたいか、という内容を明確に伝えましょう。また、その理由について尋ねられたときには、説明も付け加えましょう。
「恐れいりますが」は、こういった使い方をすることで、「ありがとうございます」のほか「すみませんが」というよりも、丁寧で柔らかく、相手に良いイメージで受け取ってもらえる言い回しをすることが可能です。
謙遜の意味を込める
これらの使い方のほかにも「恐れいりますが」には、謙遜を表すために使われる場合があります。例えば目上の方、または上司から、「よく頑張った」と褒められた際に、「恐れいります」と答えることで、「自分には勿体ないほどの評価をして頂いた」という謙遜と、感謝の気持ちを相手に伝えることも可能です。
相手に対する感謝や、遠慮する気持ちを表す際、「恐れいりますが」という言葉のほかにも使える便利な言葉がいくつかあります。
同じ言葉ばかりを使っていても、文章や会話のバランスが悪くなるので、「恐れ入りますが」のほかにも、いくつかバリエーションを知っておくと、会話や文章が上達します。
確認したいときの「恐れいりますが」の使い方
「恐れいりますが」という言葉は、何かを確認したい場合にも使われます。ビジネスシーンでのやり取りで、特にメールの場合には、「まだ返信が来ない」と心配になることがあります。そこで感情を表に出さず、やんわりと催促をしたり、確認する言い回しについてお話ししましょう。
「恐れ入りますが」は、確認する際の言葉を柔らかくしてくれ、相手の方にとって受け入れやすいものにしてくれる言葉です。
まずは催促する前に確認
最速のメールを送る前に、そのメールが届いているかどうかを確認しましょう。送られていないのに催促をしては、相手に落ち度があると言っているようなものです。もしきちんとを送られていたのであれば、それがいつ送ったものかを確認します。それでは「、恐れ入りますが」を使った確認メールの打ち方と、例文をご紹介しましょう。
確認メールの送り方
相手に確認してほしいときは、確認のためのメールを送る必要があります。焦る気持ちはわかりますが、メールを送る際には感情的になることなく、相手の気持ちを害さないために、少し下手に出るくらいの気持ちで文章を書きましょう。これを「恐れ入りますが」を使って文章を作ると、次のものになります。
例えば、お願いしたものが送られてこない場合に「恐れ入りますが」を使って文章を作ると、「○○日に御申込書をメールにてお送りし、ご返送をお願いしておりましたが、まだこちらへ届いておりません。恐れ入りますが、ご確認いただいてもよろしいでしょうか」となります。
また納期が迫り、急を要する場合に「恐れ入りますが」を使うと、「○○日までに送付していただかないと、作業に着手することができないため、ご指定の納期に間に合わない可能性がございます。念のため御申込書を再度送付いたしますので、大変恐れ入りますが、ご確認していただいてもよろしいでしょうか」となります。
すぐに返信できなかった場合
こちら側がすぐにお返事できなかった場合の「恐れ入りますが」を使った例文ですが、「ご連絡いただいた件につきまして、御返信できておらず申し訳ございません。現在確認をしておりますので、明日中には確認をできるかと思いますが、今しばらくお待ちいただけますでしょうか。取り急ぎのご連絡で誠に恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。」と書くのがよいでしょう。
確認や催促のメールは、感情的にならずあくまでもマナーを守ることが大切です。また、相手の方にわかりやすく、返信しやすい文面で書きましょう。催促のメールについては、期日や条件を具体的に相手の方に伝え、「恐れ入りますが」を上手に使って、気遣いの感じとれるメールを、簡潔に纏めて送ります。
確認したいときの注意
確認したいということは、ある意味では相手を疑っているとも捉えられます。つまり「確認したい」という言葉には、「本当に分かっているのか心配なため、もう一度確かめたい」という気持ちが含まれています。
また、確認したいという場合には「これで良いですか」という念押しを強制するニュアンスもあるため、それを和らげる意味でも「恐れいりますが」といったクッション言葉となる言葉を使った方が良いでしょう。
ごく親しい間柄で確認をしたい場合には、「恐れ入りますが」といった敬語を使うことはありません。とはいえ、それはあくまでも状況や相手によります。ただし、「恐れいりますが」という言葉を使うときは、二重敬語になるため、あまりにも丁寧過ぎて、「馬鹿にされているのでは」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
「恐れ入りますが」を使う場合であっても、確認をするという言葉は、相手が不愉快にならないように注意をする必要があります。また、謙譲語と敬語の違いについても覚えておきましょう。
初回公開日:2017年11月05日
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