「オーストリア」の漢字表記は3つもある!隣接国の表記も紹介
更新日:2024年10月21日
オーストリアの北東部に接するドイツ連邦共和国(ドイツ)は、漢字一文字で表すと「独」「徳」または「獨」です。
正式には「独逸」「独乙」「獨逸都」といった漢字表記がありますが、日本の通信社や新聞社では「独逸」「独」が使われます。
中国や台湾の通信社では「徳(德)」が使われることが多く、韓国メディアでは旧字体の「獨」が一般的です。
「独」の意味はドイツとは無関係で当て字として使われていますが、漢字に詳しいドイツ人の中には「自国の表記に”けもの”へんを使われるのは好ましくない」という意見があります。そのため、中国では「徳」に表記を変更したと言われています。
ハンガリー
ハンガリーは漢字一文字で「洪」または「匈」と表記されます。
オーストリアの東部に隣接する共和国家でオーストリアとは縁が深く、第一次世界大戦前まではオーストリア=ハンガリー帝国として二重国家を形成していました。
正式な漢字表記は複数存在しますが、日本では「洪牙利」「匈牙利」が一般的です。
「匈」が使われるようになったのは、中国でハンガリーはフン族が語源だという説があったことから、フン族と関連を持つ「匈奴(きょうど)」が由来であるとも言われています。そのため、中国や台湾ではハンガリーを表す漢字は「匈」のみです。
イタリア
オーストリアの南西に接し、長靴のような形の国土で知られるイタリア共和国(イタリア)は漢字一文字表記で表すと「伊」です。
日本の新聞社や通信社では「伊」で統一されていますが、中国では「意」、台湾では「義」が使われ、韓国では日本と同じ「伊」を使います。
イタリアを表す漢字表記は10種類以上ありますが、日本で一般的なものは「伊太利亜」「伊太利」です。これは「伊」のにんべんがカタカナの「イ」と同じ形であり、日本では「伊」がイタリアを表す漢字として使われるようになったのではないかと言われています。
スロベニア
スロベニア共和国(スロベニア)はオーストリアの南部に隣接し、1990年代にユーゴスラビアから独立して国家になりました。
スロベニアの漢字一文字表記は、五文字の「斯洛文尼亜」から先頭文字を使って「斯」と表記されることがあります。
スロベニアと似た名前の国としてスロバキア共和国(スロバキア)があります。スロバキアはオーストリアの東部に隣接し、漢字国名は「斯拉仏克」です。
スロバキアを漢字一文字で表す際も同じ「斯」が使われることがありますが、混乱を避けるためにいずれの国でも一文字表記は使われなくなったと言われています。
スイス
オーストリアの西に接するスイス連邦(スイス)は、漢字一文字で表すと「瑞」です。
正式な漢字表記は「瑞西」または「瑞士」で、国名の読みからこれらの漢字が採用されたと言われています。中国や台湾の通信社でも同じ「瑞」が使われるのが一般的です。
北欧にあるスウェーデン王国(スウェーデン)の漢字表記は「瑞典」で、スイスと同じ漢字が使われています。スウェーデンを漢字一文字で表記する場合はスイスと区別するために「典」が使われるのが通例です。
スイスとの通商条約は「日瑞修好通商航海条約」、スウェーデンとの通商条約は「日典通商条約」として締結されています。
チェコ
オーストリアの北部に隣接するチェコ共和国(チェコ)は、漢字一文字表記で表すと「捷」です。
正式な漢字表記は日本では「捷克」ですが、分離したスロバキアは「斯拉仏克」と表記され、同じ「克」という字が使われています。
「捷」は「ショウ」と読み、「戦いに勝つ」「動きが素早い」という意味を持ちます。古くから戦争や革命などで国の形が目まぐるしく変化してきたために、この漢字がチェコにあてられたという説が有力です。
初回公開日:2022年08月12日
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