生存バイアスの意味と6つの例・認知バイアスの種類
更新日:2024年09月26日
生存バイアスとは
生存バイアスとは、一般には生存者バイアスとも呼ばれている言葉で、脱落したものや淘汰されたものを評価すること無く、生き残ったもののみを評価するというバイアスのことを指します。
具体的には「本当だったらデータが偏っているけれど、生存者だけしか調べていないことで統計的なバイアスが出てしまった」という現象になります。
バイアスの意味
バイアスとは偏っているという意味です。
バイアスは偏った意見や思想に対して使われることが多く、「彼の意見はバイアスがかっている」「あの人の考え方はバイアスだ」などと使われます。
生存バイアス・6つの例
生存バイアスが生まれるメカニズムとして、常に成功者にスポットライトが当たるということが挙げられます。
これは人間心理の基本として存在するものであり、仕方のないことだともいえます。
しかし、成功者の存在する陰にはその何千、何万倍もの失敗者や敗北者がいることを忘れてはいけません。では、具体的にどのようなものを生存バイアスと呼ぶのでしょうか。いくつかの例を挙げたので見ていきましょう。
例1:体罰教育の有効性
「体罰はいいことだ」と考える人は世の中に一定数存在し、こういう人たちは思考の過程で生存バイアスにかかっているということができます。
体罰によって精神を病んだり最悪死に至ってしまった人間は少なからずいたはずです。その反面、体罰を受けながらも立派に育った人たちも大勢います。
公に「体罰肯定派」が多ければ実際に体罰を受けて嫌な思いをした人以外は、生存バイアスによって肯定的な心理が働きやすくなります。
例2:スポーツ選手の年棒は高い
スポーツ選手の年棒は高いという思い込みがわれわれにはあります。
ごく一握りのスタースポーツ選手がテレビや雑誌にたびたび登場するため、わたしたちがそう思い込んでいるだけです。実際は、無名で年俸が高くなくても、コツコツと努力して自分のポジションを維持しているスポーツ選手の割合のほうが多いはずです。
しかし生存バイアスによりわたしたちの思考はゆがめられ、間違った思い込みを持たされてしまっています。
例3:投資で儲かる金融商品
たとえば「弊社の推奨する投資メソッドを利用して3年間投資を続けた人は、このような成功を掴みました」という投資で儲かる金融商品の説明は生存バイアスがかかっています。
この広告は半分は嘘です。投資で大負けをしている人が同じメソッドを3年間も続けると、資金が尽きてしまい撤退する人がほとんどです。「投資メソッドを3年続けている人」は必然的にみんな成功者であるという生存バイアスがかかった広告です。
例4:企業すれば富裕層になる
企業すれば富裕層になるという間違った思い込みが世に横行しています。
企業しても大成功を収めなければ富裕層にはなれません。雑誌やメディアには、たとえばサラリーマンから企業して成功を収め、富裕層になった人の成功体験ばかりが出されています。
これがまさに生存バイアスで、企業しても失敗したりそこそこの実績や売り上げしか上げられない人が大半です。成功体験ばかりに目がいくと、生存バイアスにかかってしまいます。
例5:フリーランスになれば自由になる
漫画家やスポーツ選手・ミュージシャン・お笑い芸人などのフリーランスになれば自由になれると思いこむのは、生存バイアスにかかっている証拠です。
これらの職業は非常に競争率が激しいものとなっており、業界自体が弱肉強食の世界です。わたしたちがテレビなどで目にする、いわば表舞台に登場してくるようなトップ層はほんの一握りで、それ以外の99%以上がジリ貧となっています。
例6:ユーチュバーは好きに暮らせる
子供がなりたい職業でもあるユーチュバーになれば、好きなことだけで暮らせると思いこむのは生存バイアスにかかっている証拠です。
昨今のユーチューバー人気から、子供は特にこのような生存バイアスにかかりやすくなっています。ユーチューバーの人気が上がれば上がるほど、生存競争が厳しくなっていくのが現状です。
彼らがほんの一握りの人間だということを、生存バイアスの影響で忘れてしまわないように注意しましょう。
初回公開日:2017年08月25日
記載されている内容は2017年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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