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「銭ゲバ」の意味と使い方・由来・「守銭奴」との意味の違い

更新日:2024年07月20日

「銭ゲバ」という言葉の持つ意味をご存じですか。この「銭ゲバ」という言葉は、昭和中期に誕生した「金のためならなりふり構わず何でもする人」を揶揄する表現ですが、最近は多用される機会が少なくなりました。「銭ゲバ」という言葉が持つ意味とその背景を追っていきましょう。

ジョージ秋山著「銭ゲバ」とは

それでは「銭ゲバ」という言葉と意味を生み出した、ジョージ秋山の漫画「銭ゲバ」について掘り下げていきましょう。

長野の貧しい家で生まれた主人公・蒲郡風太郎は生まれつき左目が醜く、酒浸りで働かない実の父親に蔑まれ続けて生きてきました。優しい母と親切な近所の青年と助け合いつつ育ってきましたが、父親がとうとう家に寄り付かなくなり、母は過労で病気になってしまいます。

医者を呼んでも「お金が無いなら薬は出せない」と一蹴され、失意のうちに母は他界し、風太郎は「金さえあれば」と金に対して強い執着を抱きます。そして人の金に手をかけたところを、近所の青年に咎められるのですが、風太郎はその青年を殺めてまで金を奪い上京します。

「銭のためならなんでもするズラ」という決意を胸に、人を裏切り、人を殺め続けて手に入れた会社では、出し続ける公害を無視し、ついには政治家にまで登りつめていく衝撃の結末が圧巻です。

主人公、蒲郡風太郎は.幼少の頃、貧困で薬が買えず母をなくした。
それが契機となって、銭のためなら、ゲバルト(暴力)を振るいひと殺すことも厭わない男となってゆく。
「銭ゲバ」の誕生である。

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平成リメイク版・テレビドラマ「銭ゲバ」

ジョージ秋山の「銭ゲバ」を現代風にリメイクしたのが、2009年に松山ケンイチさんが主演を務めたテレビドラマ「銭ゲバ」です。昭和色が強かった原作を現代風にアレンジしているにも関わらず、主人公が「金のためならなんでもする」という負の念に取りつかれたことから始まる悲劇の数々を絶妙なセリフと配役で再現しています。

「俺は自分が間違っていたとは思わないよ」

金のために人を陥れ、人を殺し続け、金のために何度も窮地に陥り、金の力で這い上がってきた「銭ゲバ」の徹底して完成された価値観とその結末には、原作を知っている人も全く知らない人も心を動かされるでしょう。

ジョージ秋山さんの原作を読んだ上でのレビューです。

作風にマッチした挿入曲にしろ役者陣の演技にしろどれも素晴らしかったのですが、やはり一番評価すべきは脚本だと思います。
原作の漫画作品の長さは、幻冬舎から出版されている文庫本では上下巻程度。
それをよくここまで肉付けして全9話までストーリーを引き延ばし、かつうまくまとめたと思います。

「映像化」に間違いなく成功している希有な作品です。

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「銭ゲバ」の中の名言

「銭ゲバ」が単なる暴力ドラマではないという魅力の一つに、主人公・風太郎がつぶやくセリフの数々が存在します。時には自分に言い聞かせたり、誰かに吐き捨てたりするそのセリフの数々は「銭ゲバ」という金のためなら何でもすると決めた主人公の意志の表れとその裏に見え隠れする悲哀を表し、読み手を作品に引き付けていきます。

「銭ゲバ」の中の心に残る名言と、名言に込められた意味をいくつか紹介していきましょう。

銭のためなら なんでもするズラ。

「銭ゲバ」物語の始まりの決意であり、物語の全てとも言える名言です。主人公・風太郎はこの決意を胸に最後まで物語を走り続けていきます。きれいなものやきれいな人にこだわるのは、風太郎自身が幼い頃に左目の醜さから、父親に疎まれ暴力を繰り返されたコンプレックスにより完成した価値観によるものでしょう。

しかし風太郎自身、金という暴力を振るいつつ「本当にきれいなものとは何か」という意味に実は気付いていて、それでも「金の力が全て」という誓いから逃れられませんでした。「銭のためならなんでもする」と言いつつ、金の力に苦しみ抗っている風太郎自身の心の叫びが込められた一言です。

銭のためなら なんでもするズラ。
きれいなものしか 愛せないズラ。

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この世に真実というのがあれば 金をかけて おいもとめるズラ。

物語を通して、銭ゲバ・風太郎が本当に求めていたものはお金では決して買えないものでした。風太郎は金の力にものを言わせてほしいものを手に入れては裏切られ、なお一層金への執着を深めていきます。この名言はそんな風太郎の寂しく荒れた心の中を表しています。

わたしは 美しいものが すきズラ。
美しいひとの 心がほしいズラ。
だけど ひとの心が 美しいとは思わんズラ。
この世に真実というのがあれば
金をかけて おいもとめるズラ。

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初回公開日:2018年02月08日

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