作成と作製の違いと使い分け方法|制作/製作/食べ物/科学
更新日:2024年07月24日
料理
料理をすること、食事を作ることは、「作製」です。
料理全般、サンドイッチやごはん、お菓子まで、食材を使って、料理という物を作り出す行為なので「製作」が用いられます。自分で作ったご飯を、「お手製」のような言い方があります。決して、「お手成」とは書かないように、「作製」の「製」の字が使われます。
料理を作る人からすれば、作った料理は「物」というよりは、「芸術作品」と思われていでしょう。しかし残念ながら、言葉上では料理は物として考えられて、「作製」のほうの字を当てられます。
食べ物
食べる物、つまり食品は、芸術作品ではなくて、物です。ですから、「作製」が使われます。たとえば、「そば」ならば、そばを作製するというように使えます。そばの麺を作る工場などを「製麺所」というように、そばは「作製」されるのです。
ただ食べ物でも作製が使われない場合があります。農作物は、作製ではなくて「生産」ですし、水産加工食品ならば「製造」が使われるのが通常です。ただし、食品のサンプルならば、「作製する」が使われます。
科学
一時期話題になったiPS細胞ですが、この万能細胞はヒトの皮膚から作られたという報告がありました。この際の作る行為には、「作製」が使われます。ヒトの皮膚という物から、iPS細胞という新しい物が作り出されたからです。
免疫染色やナノ粒子、なにかの組織や標本に至るまで、それらが作り出される場合は、「作製」が使われます。
しかし、そうしたモノが作り出されるための企画書や計画案などを作る場合は、「作成」です。こちらは文書ですから、「作成」が正しいです。もしもその作り出す過程において、図による説明がされる場合、その「図」は「作製」されます。ややこしいですが、整理して考えておけば、それほど難しくないでしょう。
モデル
それでは、モデルはどうでしょうか。
模型、展示用の見本の意味の「モデル」なら、「作製」です。建築模型や住宅建築の模型は、物品とみなされて「作製」が用いられます。
それでは「計量経済モデル」のようなデータは、どちらの「さくせい」でしょうか。つまりある事柄に関して、それに関わる要素を集めて相互の関係を定型化してグラフにしたものですが、この場合は、「作成」です。目で読むものを、ゼロから作り出す行為のため、「作成」が使われます。図面ではないので、「作製」は使われません。
溶液
溶液を作る場合は、「作製」が使われます。物を作り出すことだからです。
ただし溶液を作製するという言い方は、あまりされません。正しくは、「溶液を調製する」です。溶液とは、薬品を混ぜ合わせて作り出されます。薬品があり、それに加熱などをして作り出すのではなくて、異なる薬品のバランスを見ながら混ぜていく行為なので、「調整」が使われます。
「調整」は、「いろいろな意見を調整して一本化する」のように、異なるもの同士のバランスを取って、つりあいのとれた状態にすることです。溶液を作ることもそれと同じことと考えられます。
作成の意味を掘り下げてみよう!
文書や文章、計画などが作られるときに使われる「作成」ですが、最近では使用範囲が広がっています。PCに関わることで、ホームページやソフトウェアなどのシステムを作るときにも、「作成」が使われます。
「作成」と「作製」との大きな違いは、「作成」は、何もないところから作り上げようとする状態に、重点が置かれているところです。ですから、具体的にモノとして手に取ることができないようなものでも構いません。その作られたモノの中身、内容が重要だということです。
本でも、本というモノを作るだけでは、「作製」です。「製本」のような使われ方もします。しかし、その本に書かれている内容に携わる場合は、「作成」が使われます。話を「作成」するわけです。
サービス内容を作成する
企画書や報告書のように手に取ることはできなくても、作成されるものは、たとえばサービスです。サービス内容も、計画の一環ですから、「作成」が使われます。
「作成」が使われるとき大切なのは、その内容、中身だと覚えておくのがいいでしょう。
保険業界で使われる「作成」
初回公開日:2018年05月21日
記載されている内容は2018年05月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。