「卸す」と「降ろす」「下ろす」の違い・使い方と例文・類語
更新日:2024年10月05日
「大根おろし」や「おろし金」といった言葉の「おろし」には、「擦り崩す」の意味があります。「物体と物体を密着させて動かすことで、その物体の体積を減らしていく」ことを「擦り崩す」と言います。この「おろし」は漢字にすることが可能ですが、使用される漢字は「下・降・卸」の全てです。
辞書の中で「おろし=擦り崩す」の意味が見られるのは「下ろす・降ろす(下ろし・降ろし)」の項目ですが、補足として「多く卸しの表記が用いられる」とあります。つまり、「大根卸し」とも「大根下ろし・大根降ろし」とも表記できるということです。「大根おろし」に関しては平仮名を用いることが多いのですが、「おろし金」では「卸し金」と書かれることもあります。
「卸す」の類語になる言葉は?
「卸す」の類語になる言葉を、ご紹介します。
卸売
「卸売(おろしうり)」は、「卸売り」とも書きます。「製造者から商品を仕入れてそれを小売業者に売り渡す」業者、あるいは「市場から買い付たものを小売業者に売り渡す」業者のことを言います。「卸して売る」と書くため、表していることは「卸す」と同じです。
問屋
「問屋(とんや)」については、これまでにお伝えしていますが、類語として改めてご紹介します。「問屋」というのは、言い換えれば「卸売り業者」のことで、「製造者から物を購入して小売業者に売る業務」を仕事としている人(業務)のことです。
「小売業者から依頼された物を製造者から購入する」という、受注を受けて業務を行う「卸売り業者(問屋)」も存在します。「卸す」の意味は「問屋が商品を小売業者に売り渡す」ですので、「問屋」=「業者の名称」、「卸す」=「問屋の業務行動」を表します。そのため、「問屋が商品を小売店に卸す」といった文を作ることもできます。
製造卸
「製造卸(せいぞうおろし)」は、「製造業と卸売業を兼ねている業態」のことです。「卸(おろし)」と言われる業務は「製造者から商品を購入して、それを小売業者に売り渡す」ことですが、「製造卸」では「自分のところで商品を製造している」ため「製造者から商品を購入して」の部分が省かれます。
簡単に言えば「自分のところで製造したものを小売業者に卸す業務」または、その業者が「製造卸」と呼ばれるものになります。もともとは「卸・卸売」と同様に食品や花などの物流において存在する業務形態でしたが、自体の流れと共にファッションや個性化志向が強まり、アパレル業界では製造卸が増加したと言われています。
仲卸
「仲卸(なかおろし)」は、「卸売市場内で卸売業者と小売業者を仲介する業者」のことです。「卸売業者」は「卸す」の意味に当てはまる業務を行う人のことであるため、その業者と小売業者の仲介となる「仲卸」とは意味が異なりますが、混同されやすいので類語に挙げました。
通常は「卸売業者が小売業者に直通で商品を売り渡す」のですが、青果物・食肉・水産物・花などの卸売市場では、「卸売業者と小売業者の間に仲介が入る」ことがあります。その仲介業務や、その業務を行う人を「仲卸」と呼びます。
通常の物流は「製造者→卸売業者→小売業者」ですが、場合によって「仲卸」を要する時には「製造者→卸売業務→仲卸→小売業者」という物流になります。
行商
「行商(ぎょうしょう)」は、「店を構えずに商品を持って売り歩く」商売方法を意味します。また、そのような商売方法をしている人のことです。人を指す場合は、「行商人」とも言います。「卸」では「お客様に販売」ではなく「取引先との売買」になるため、店を構えているわけではない場合も多くあります。
その点では「行商」と「卸」の意味は似ますが、表していることは異なります。「卸」は「製造者から商品を購入して小売業者に売り渡す」でしたが、「行商」は「店を構えず商売を持って売り歩く」です。「行商」には「製造者から購入して小売業者に売り渡す」ことなく、「店を構えず商売を持ってお客様に売り歩く」ことなので、業務形態の違いが明白と言えます。
「卸す」の対義語は?
「卸す」の対義語は、「仕入れる」です。「仕入れる」は「小売業者が問屋から買うこと」を意味するため、「卸す」が表すこととは真逆であることが分かります。「問屋が小売業者に売ること(卸す)」「小売業者が問屋から買うこと(仕入れる)」ですので、「卸す」は「売る側の行動」、「仕入れる」は「買う側の行動」を表しています。
「問屋」は「製造者から商品を購入する」時には「買う側」になりますが、「卸す・仕入れる」の意味には「問屋・小売業者」といった存在を表す語が含まれています。つまり、「問屋と小売業者の間で行われる物流」を表す時にしか使えないということです。
「卸す」を使った例文!
「卸す」を使った例文を確認してみましょう。
初回公開日:2018年04月07日
記載されている内容は2018年04月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。