「先方様」は間違い?正しい表現と例文や使い方の注意点を紹介
更新日:2024年10月14日
「先方様ってよく聞くけど、正しい使い方なのかな?」
「どういう時に先方って言い方を使って良いのかな?」
「先方と当方ってどう違うの?」
ビジネスシーンや、目上の人との会話において、このような疑問が浮かんだことはありませんか。
この記事では、「先方」という言葉の使い方について紹介しています。「先方様」が間違った表現である理由や、正しい使い方を例文とあわせて解説します。
この記事を読むことで「先方」という言葉の使い方がわかり、ビジネスシーンなどにおける、円滑なコミュニケーションのために役立てることができます。
ビジネスシーンにおける言葉遣いを知りたい方や、日常生活における使い方を知りたい方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
「先方」の意味と読み方
「先方」の漢字を見て、真っ先に思い浮かぶ読み方は「せんぽう」ではないでしょうか。この「せんぽう」の読み方は合っていますが、「せんぽう」以外にも「さきがた」という読み方をすることもあります。このように、「先方」の単語一つをとっても異なる読み方をすることがありますが、意味も一つだけではありません。「先方」という一つの単語は、複数の意味を持っています。
ビジネスシーンにおいて「先方に確認を取る」「先方は○○と言っている」などと表現することがあります。そもそも「先方」とは、「相手の人、相手方」という意味なので、前述した例文だと、「相手の人に確認を取る」「相手の方は○○と言っている」と言い換えることもできます。
また、もう一つの意味として「先方(せんぽう)」は「先のほう、前のほう」という意味もあります。「先方(さきがた)」は「(時間的に)少し前、さっき」の意味ももっています。
このように「先方」とは、同じ漢字でも読み方が違ったり、同じ読み方をしても違う意味になったりします。
「先方様」は日本語として間違い
「先方」は「相手の人」だと説明しましたが、相手を丁寧に言いたいがために、「先方様」という表現をしてしまってはいないでしょうか。先に結論を述べますが、この「先方様」という表現は誤りです。
名前に「様」を付けて敬語表現しているように、「先方」の言葉を丁寧にしたいという思いから「様」を付けて「先方様」という表現をしたい気持ちは理解できますが、誤った表現をしてしまうと逆に相手に失礼になったり、「言葉を知らないのだな」と相手からの印象が悪くなったりと、何も良いことはありません。
言葉遣いとしても間違っている上に、相手からの印象も悪くなる可能性が高いので、「先方様」という表現はしないでください。
「先方」を敬語表現にすると「先様」
どうしても「先方様」と表現したくなることはあるでしょう。ですが、「先方様」と言ってしまうと誤った表現になるので、場合によっては相手に不快感を与え、失礼にあたることもあります。
このように、どうしても敬称をつけて表現したい場合は「先方様」ではなく、「先様」と表現しましょう。「先様」とは、「相手の人」という意味があります。そして「話題に上がっている人を敬った言い方」でもあるため、「先方様」のように相手の人を丁寧に敬った言い方をしたい場合に使えるぴったりな言葉と言えます。
ビジネスなどで使う際の注意
「先方」は第三者(人・企業)を社内で指すときに使う言葉であり、「先方様」は誤った表現になります。つまり、社内や同じ働く仲間同士の会話・メールでのみ使える言葉ということです。
ですので、実際に相手の人に向かって言う場合や、会社の外や働く仲間以外に言う場合は「先方」は使えません。相手の人に向かって「先方様」などと表現することもやめましょう。「先方様」は誤った表現な上、使うシーンも不適切なので、相手の方に対して失礼ですし、不快感を与えてしまいます。「先方」は会社内、働く仲間同士の会話以外では使わないでください。
他社に直接使う場合は「御社」「貴社」
もし会社の外で相手の方に対して「先方様」という表現をしたいと思った場合は、「御社」や「貴社」などと表現しましょう。「御社」も「貴社」もどちらも「相手の会社様」という意味で、相手の会社に対して敬意を払った表現の言葉になります。主に、「御社」は話し言葉、「貴社」は書き言葉です。
また、「先方」が会社ではなく個人だった場合は、「○○様」と表現してください。会社名がわかる場合は「○○会社様」という表現も良いです。
このように、会社の外で相手に敬意を払いたい場合、「先方様」と言うのではなく、「御社」「貴社」「○○様」「○○会社様」などと表現しましょう。
「先方」と「当方」の違い
「相手の人」の意味の「先方」ですが、反対語になる「こちらの人(自分側の人)」は「当方」という表現をします。この機会に「先方」の反対語は「当方」だと覚えておきましょう。
ビジネスにおいて、「先方」が「相手の人(会社)」になるのに対し、「当方」は「自分の会社」になります。「自分側の」という意を含みますので、個人を指す場合に「当方」は用いません。「自分の会社」「こちらの会社」を表現する際に「当方」を使います。
使える場面も限られており、「当方」はまだ取引が始まっていない場合にのみ使える表現になりますので、取引が開始された後は文書やメールなどでは「弊社」という表現をしましょう。
「先方」の使い方と例文
「先方」を用いた例文をいくつか挙げてみます。
【例文】
・「明日、私が先方に確認のご連絡をいたします」
・「会議で上がった内容について、先方に確認をとっておきます」
・「先方は○○をご希望です」
・「先方は○○と仰ってますが、対応はどのようにいたしましょうか」
「先方」の言い換え表現
初回公開日:2018年05月07日
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