「呈する」の意味と使い方・読み方・類語・「 挺する」との違い
更新日:2024年09月07日
顕わす
「呈する」には「あらわす」という意味があります。何かの事象を見えるようにしたり、言葉や文章で表現してあらわすことです。この「あらわす」には、さまざまな漢字表現があります。「表す」「現す」「顕わす」などです。これらは、全て隠れていた物、様子、事象、または感情や考え、芸術表現なども含めて見えるようにするという意味があります。(何をあらわすかによって、漢字は使い分ける必要はあります。)
なので、「呈する」の言いかえに「あらわす」を使うのは適しています。ただ、「呈する」に含まれるある程度格式ばった表現を継承するには「その功績を後世に顕わす」などに使われるこの「顕わす」が適していることが多いでしょう。
提出
「呈する」と同じ「てい」と読む漢字で作られる「提出」ですが、一般的によく知られた熟語です。意味としては、しかるべきところへ文書などを差し出すことになります。「呈」によって作られる熟語で、提出を意味する言葉は「謹呈」や「贈呈」となり、特別な場や特別な相手に対する差し出しものという意味になります。
同じ差し出すという意味でも、「呈」を使うと特別な差し出しものという意味になり、「提出」だと一般的に使われる言葉と使い分けられるでしょう。
「呈する」と「挺する」の違い
「呈する」は、差し出す、贈る、ある状態をあらわすという意味がありました。同じ読み方で「挺(てい)する」と読む漢字もあります。時々間違って使っているのを見かけるこの「挺」という漢字には、どんな意味があるでしょうか。また、どんな使い方をするのでしょうか。
挺するの意味
「挺」の元々の意味は、「ずば抜けている」「進み出る」という意味があります。熟語や日常会話としてよく使われるのには、「身を挺して救う」などがあります。自分の身を進み出て、自ら投げ出して救い出すという意味です。子どもが事故にあう寸前だったので、身を挺して救い出したなどといいます。
呈するとどう違うか
自ら進み出たり、差し出したりという共通点は、ある意味で似通った言葉のようにも感じられます。しかし、「呈する」は自分の身体などではなく、言葉や贈り物などを差し出すことで相手に対する気持ちを表現する際に使われる漢字です。
「挺する」は差し出すものは、自分の身体や極論だと生命のように自分を大きく傷めてしまうものを差し出して、その代償に人などを助けるようなときに使われる漢字です。読み方や意味が似通っていると感じる方も多い言葉ですが、両者にはこのように大きな違いがあります。パソコンなどでの誤変換には、特に気をつけるべきでしょう。
「呈する」の敬語
「呈する」を敬語にすることは案外難しくなります。呈するという言葉自体は、比較的目上の人から目下の人へ向かって使うイメージが多いでしょう。またメディアから、不特定多数向けへ発信する時などによく聞きます。そんな「呈する」を敬語にするとしたら、どのような表現をすればよいか考えてみます。
目上の人に使ってよいか
「謹呈」など敬意を持って差し上げるというような場合は、特に問題ないでしょう。ただ、「苦言を呈する」というような、「呈する」という言葉はどうでしょうか。アドバイスのような意味合いがあるため、目上の人に使ってはいけないような気がしてしまいます。
基本的には、目上の人に使うことが直接失礼に当たることはありません。ただ、目上の人でもどうしても言わなければいけない時、言い方を丁寧にして言うようにしましょう。
進言(しんげん)
相手が目上であることを承知の上で、必要不可欠な状況があり物事を申し述べるという意味があります。元々目上の人にものをいうときに使う言葉、という意味が含まれているので「○○について進言いたします。」などという言い方は適しているでしょう。つい「ご進言申し上げます。」にすると、会話としては硬くなりすぎてかえって不快感を味あわせてしまうでしょう。
「進言」が謙譲語なので、「ご」や「申し上げます」は付けずに言うのが綺麗です。
諫言(かんげん)
初回公開日:2018年06月04日
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