「やらせていただく」は敬語表現として正しい?言い換え表現も紹介
更新日:2024年09月19日
「やらせていただく」を使う時には気をつけたいことがあります。知らずに使っていて恥ずかしい思いをしないように、どんな点に気をつけたら良いのか見ていきましょう。
二重敬語にならないようにする
敬語表現を使う時には、敬語を重複させる表現である二重敬語に気をつけなければいけません。
二重敬語とは、一つの語句の中で同じ種類の敬語を重ねて使うことです。例えば、「おっしゃられる」という言葉は「おっしゃる」という尊敬語に「れる」を重ねているので、二重敬語となり、非常にくどい表現となります。
他に二重敬語で多く見られる言葉としては、「拝見させていただく」という言い方があります。「拝見」という言葉に謙譲の意味がありますが、「させていただく」という謙譲語を重ねることで必要以上にへりくだってしまうのです。
二重敬語は後から考えれば気づくことでも、緊張していたりするとうっかり出やすい言葉です。
「させていただく」や「やらせていただく」は簡単な謙譲語でありますが、使う時には二重敬語にならないように十分に注意しましょう。
「やらさせていただきます」と書くのは間違い
「やらせていただく」を丁寧に言おうとして、「やらさせていただきます」というように「さ入れ言葉」にしてしまう事例がたまに見られますが、この表現は誤りです。
「やらさせていただく」とは「やらせていただく」と「させていただく」という言葉が混ざった言い回しかと思われますが、このような日本語は存在しませんので、使わないように注意しましょう。
「さ入れ言葉」は他にも、「読まさせていただきます」「行かさせていただきます」「休まさせていただきます」のような言葉を聞くことがありますが、これも誤りですので知らないうちに使っていないかチェックしてみましょう。
一文の中で何度も「やらせていただく」を使わない
「やらせていただく」は、一文の中で何度も使わないようにしましょう。
これは、多用することで逆に印象を悪くしてしまうおそれがあるからです。相手に失礼がないように丁寧な言い方をしているのに、何度も使うことで悪印象になってしまっては意味がありません。
使いすぎることで嫌味のように受け止められてしまうこともありますので、使う時には適度を心がけましょう。
「やらせていただく」を使った例文
「やらせていただく」という表現は日常的にもよく使われています。
「上司から、初めて商談に一人で行く許可をもらったので、このチャンスを掴むため自力でやらせていただくつもりだ。」のように相手の許可を受けている場合は、自分の立場は相手よりも下だということになるので謙譲表現を使うのは正しい使い方です。
また、「喜んで参加させていただきます」のように相手からの依頼を受けた場合も、相手の許可を得たとみなすことができますので正しい使い方となります。そして、依頼を受け、自分の利益につながる場合は恩恵を受けるというパターンにも当てはまります。
ここからは、ビジネスシーンでの「やらせていただく」を使った例文をいくつかご紹介します。使い方を是非参考にしてください。
進めさせていただきます
「進めさせていただきます」とは、計画や作業などを進行しますという意図を伝える言葉で、何を進めるのかを示す言葉を先につけて使います。
「それでは工事を進めさせていただきます」のような使い方をして、相手の了承の上で計画通りに工事を進めるといった意図を伝えています。
精一杯やらせていただきます
「精一杯やらせていただきます」という言葉は、新しい職務についたときや初めて担当する業務などへの意気込みを伝える言葉です。
「今後、より多くの業務を任せていただけるよう精一杯やらせていただきます。」
へりくだる表現を使うことで、謙虚さを示しながらも強固な決意を相手に伝えることができますので、大人に相応しい言葉となります。
添えさせていただきます
「添えさせていただきます」とは、何かに付け加える時に使う謙譲語の表現です。
「一言添えさせていただきます」という使い方は、「一言付け加える」という意味を丁寧な言い方にした表現です。
させていただく所存です
「させていただく所存です」はビジネスシーンで使われることが多い使い方です。
「所存です」とは、「〇〇と考えています」「〇〇と思っています」のような意味があり、目上の人に自分の考えを伝えたいときに使用する言葉です。「させていただく所存です」になると、「相手の許可を得て、何かをしようと思っています」という意味になります。
「誠心誠意、尽力させていただく所存です」のように使いますが、固い表現ですので会話に使うというよりもメールなどで使う言葉となります。
初回公開日:2022年12月01日
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