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会議室の上座と下座|スクリーン/口の字型/左右/円卓の場合

更新日:2024年11月28日

会議室の形や入り口の位置によっても変わる上座・下座。把握しておけば多くの場面で役立つ、社会人として知っておくべきビジネスマナーの1つです。今回は、ビジネスの場で役立つ会議室の上座・下座についてまずは基本の考え方を、そして個別ケースごとのルールをご紹介します。

日本の場合は、伝統礼法に「左上右下」とあるように、左上位なので、上座当事者から見て左側の方が上位にあたります。古来の官職の大臣でも、右大臣よりも左大臣の方が上とされています。これは、中国の思想で「天帝は北辰に座して南面す(皇帝は北極星を背に南に向かって座るのが善い)」に由来するものです。

欧米の場合=国際儀礼として定着

欧米の場合は、英語で右を「正しい」の意をもつ ” right ” というように、右上位なので、上座当事者から見て右側の方が上位です。右上位は国際儀礼(プロトコル)としても定着しており、サミットなどの国際会議では、右上位に基づいてきめられています。オリンピックなどの表彰式で、表彰台に乗った1・2・3の選手の立ち位置を思い浮かべるとよくイメージできるでしょう。

現在の日本の皇室は?

日本の皇室は、明治時代に国際儀礼を取り入れました。明治天皇夫妻の衣冠束帯十二単姿の写真をみると、日本古来の礼法にのっとって明治天皇が左(向かって見ると右側)・皇后が右(同左側)になっていますが、一方、昭和天皇夫妻は昭和天皇が右・皇后が左となっており、これは現在の平成天皇でも同様です。現在は、国際儀礼によっているのです。

雛飾りにも伝統礼法と国際儀礼がある!

このような経緯が、雛飾りにも反映されています。京都を中心とする「京雛」は伝統礼法に基づいて、男雛を左側(向かって見ると右側)、女雛を右側(同左側)に並べます。一方、全国に普及している「関東雛」は、国際儀礼を取り入れた皇室に習い、男雛を右側、女雛を左側に並べます。左右が逆の2つの飾り方が並存しているのにも、こんな理由があります。

実際の会議の場面では?

さて、「左上位・右上位があるのはわかったけど、いったいどっちを使えばいいの?」と悩んでしまったあなた、大丈夫です。上司の指示で会議室にご案内するときには、まず上司に「席次はプロトコルでよろしいですか?」と確認しておき、「本日はプロトコルとなっております。」と一言添えれば良いのです。あなたが会議を主催するときには、「今日はプロトコルでやります」と最初に伝えればよいのです。そうすれば角が立ちませんし、「会議室で右に通された」と不快に思うお客様もいらっしゃらないでしょう。

この一言の気遣いが大切なのです。

会議室の設備で異なる上座・下座

会議室の設備によっては、たとえ出入り口から近い席であっても上座となる場合があります。スクリーンを使っての会議などがこれにあたりますが、これは目上の人やお客様に、一番見やすい席でスクリーンを見ていただこうという細やかな心遣いによるものです。

・設備によっては、その設備の機能が最もよく味わえる席が上座となる

スクリーンの上座・下座

プレゼン発表、業務報告といった会議の場合に、ホワイトボードやプロジェクタスクリーンを置き、それらを使って会議を進めることがあります。こうした機器を使って画像をスクリーンやビデオに見せる場合は、スクリーンやビデオが一番よく見える席が上座となります。

スクリーンを用いて行う会議の場合には、コの字型会議室、スクール形式の会議室・シアター形式の会議室・スクールとシアターの混合形式の会議室が利用されることが多くなっています。このように、会議で使う設備によって会議室のレイアウトが決まってくるというのも押さえておきたいひとつです。

先に説明したコの字形式では、抜いた一辺の位置にホワイトボードやプロジェクタスクリーンを置き、発表者はそれらを使って会議を進めます。この場合は、たとえ会議室の入口付近であってもスクリーン正面が上座となります。どの位置が一番見やすいかということを考えればよいでしょう。

スクール形式とシアター形式

スクール形式とは、その名の通り、学校の教室のようなレイアウトを言います。全ての机・椅子が演台一方向に向かって配置され、1人が複数人に対して講義・講話を行うセミナー等の場合にこの形式をとります。

スクール形式のメリットは、聞く人は自然な姿勢でメモ等をとることができ、発表をする人は聞いている人の1人1人の顔を確認しながら会を進めることができることです。学校での授業を思い浮かべてみるとよいでしょう。デメリットは、参加者全員で意見交換をしたり討議をしたりするような場面には向かないということです。だからこそ、授業ではグループ学習と称して、班を作ったりしています。

シアター形式は、配置はスクール形式と同様のレイアウトですが、机がなく椅子だけを並べてあります。机を使用しない分多くの椅子を並べられるので、より多くの人数を収容できます。入社式、壮行会など、筆記を伴わない会合の場合に向いています。シアター形式でも筆記を必要とする催し物の際には、ノート等の手持ちのものを下敷きにするか、バインダーなどが主催者から配布されることもあります。

また、会議室のスペースと参加人数により、会議室前方はスクール形式で、会議室後方はシアター形式という混合方式を取る場合があります。

スクール形式とシアター形式の上座・下座

さて、こうした形式の会議室の場合の上座・下座については、

1 スクリーン等がある場合には、それが最も見やすい席
2 スクリーン等がない場合でも、発表が最も聞きやすい席
2 スクール・シアター混合形式の場合には、机のある席

という考え方から

・スクリーン正面の前方の机席の中央

が上座となります。

ただし、ここでも相手本位の考え方をすることが基本です。年配の方の中には、生理的現象から出口に近い席を望まれる場合があります。席を立つ時になるべく他の方に迷惑をかけたくないというのが、その理由です。ここでも相手に対する気遣いが働いているのですね。ですから、気遣いには気遣いをもってお応えするようにしましょう。まずは上座をおすすめし、その後は相手の意に添うことを心がけましょう。

会議室の景観によっても異なる上座・下座

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初回公開日:2017年08月20日

記載されている内容は2017年08月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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