振り返りの書き方のポイントとは?基本理論や具体的手法を解説
更新日:2024年10月29日
「仕事でもっと結果を出すにはどうすればいいんだろう?」
「同じ失敗を繰り返さないようにするにはどうしよう?」
「駄目だったことを振り返ることの重要性ってなんだろう?」
こういったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、振り返りの重要性や書き方、成果を出すためのフレームワークなどをご紹介しています。
この記事を読むことで、振り返りをする際の書き方のポイントや注意点、フレームワークの使い方を理解することができるため、個人でもっと結果を出したり、チームで行うプロジェクトでより大きな成果を求めることができたりするでしょう。
効果的な振り返りの書き方を学ぶことで自分やチームを成長させたい方は、是非チェックしてみてください。
振り返りをする重要性とは?
振り返りは、目標を達成するためには非常に重要です。
なぜなら、自分やチームの行動を客観的に理解することによって、次の行動に移る前に改善点を確認することが可能になり、より効果的に行動することができるようになるからです。
たとえば、コールセンターで働く従業員に振り返りを行った際のパフォーマンス測定によると、1日の終わりの15分間でその日の振り返りを行った従業員には、振り返りを行わなかった従業員に比べ10日後には23%のパフォーマンスの向上が見受けられたそうです。
また、振り返りを行うことによって、行動の1つ1つの意味が分かり、自分の癖や細かい改善点が明確になります。
目標に対しパフォーマンスが低い場合に振り返りを行うと、原因と修正すべき点が明確になり、そのうえで行動し、また振り返るというサイクルを回すことによって、効率や生産性の改善が可能になるのです。
そして、改善によって自分の成長が実感できるとモチベーションが向上するため、さらに前向きに行動できるようになります。
したがって、振り返りを行うことは非常に重要と言えます。
振り返りの書き方のポイント
効果的な振り返りを行うためには、書き方についていくつかおさえておくべきポイントがあります。
なぜなら、振り返りとは、あらかじめ目標を設定する段階で振り返りをするタイミングやそのときまでに期待する効果を明確にしたうえで、振り返りをおこなったときに期待値とのズレを確認し、次の行動を改善していく取り組みだからです。
つまり、期待値とそれに対する誤差の確認・修正を行っていく作業と言えます。
そのため、振り返りの書き方について、次の3点に気をつけましょう。
継続できる工夫をする
振り返りは継続するための仕組みをつくることが大切です。
なぜなら、振り返りを継続することで改善点の確認と行動のサイクルを繰り返し、パフォーマンス向上につなげることができるからです。
たとえば、筋力トレーニングでは継続して行うことで自分が持ち上げられる重量が増えたり、体つきが変わったりするとモチベーションが高まりますよね。
つまり、継続し、効果が見えるようになることによって自分の成長を実感したり楽しみを見出し、さらに続けられるようになると言えます。これは振り返りにおいても同様です。
最初は面倒に思ったり、そもそも多忙な中で時間がとれないことも考えられますので、1日10~15分程度、どこかのタイミングでレポート作成をしたり日報を書いたりする時間をつくる工夫をすることをおすすめします。
この場合、あらかじめスケジュールの中で振り返りを行う時間を決める、通勤・通学の時間を充てる、就寝前に時間をつくる、といったスキマ時間の活用が有効です。
成果が明確になるよう定量的かつ具体的に書く
振り返りにおいては、定量的かつ具体的な書き方をすることが大切です。
なぜなら、定量的な書き方をすることで事実や具体的な成果が明確になり、自分や第三者が適切に評価できるようになるからです。
たとえば、「積極的なセールスを行い、売上がアップしました」という書き方では、どんなセールス活動をどのくらい行い、いつの時点と比べてどの程度売り上げが上がったのかが分かりませんよね。
そこで、「テレアポを20件行い、2件アポイントを取得できたため、売上が前月対比10%アップしました」という書き方にすると、活動内容もはっきりとし、効果も非常に分かりやすくなります。
そのため、今後の活動について、テレアポの件数を増やすのか、アポイントがもっと効率よくとれるようテレアポの内容を見直しするのか、といった改善に向けた次の行動が見えてきます。
したがって、振り返りの書き方においては、定量的かつ具体的に書くことが大切です。
感想文・反省文とならないよう注意する
振り返りがただの感想文や反省文のような書き方にならないよう気を付けましょう。
なぜなら、振り返りに必要なのは事実や原因に対する分析や自分の意見、考察であり、上司やチームの他のメンバーは自分の分析結果や意見、考察を共有し、改善点があればフィードバックすることになるからです。
たとえば、「予想以上に大変でした」「成約につなげることができず残念でした」という書き方ではただの感想文であり、なぜ大変だったのか、次はどうしようと考えているのかが見えてきません。
そこで、「○○という点に予想以上に時間がかかったため、次回は△△という点に留意して対応します」「成約につなげることができませんでした。その理由は□□でしたので、次は◇◇というアプローチをしてみようと思います」という書き方であれば、原因がどのようなところにあるのか、改善に向けた取り組みが正当かを評価できますね。
したがって、単なる感想文・反省文のような書き方にならないよう、事実や原因の分析や自分の意見、考察を書くことが大切です。
なお、慣れないうちは書き方のテンプレートを事前につくっておいた方がいいでしょう。
振り返りの基本理論
振り返りには個人の成長やチーム目標の達成、生産性向上など、目的と必要性に応じたさまざまな手法があります。
そこで、ここでは具体的な手法の前に、まずは振り返りの基本理論を3点ご紹介します。
ダブルループ学習
ダブルループ学習とは、結果の振り返りを行う際に、行動だけでなく、行動の前提についても見直しすることを繰り返す学習のことです。
たとえば、シューズメーカーのビジネスマンが結果の振り返りの際、もっと靴を売るために自分や自社が行っている靴の売り方を見直しするのと、そもそも売る前提となっている市場自体を見直しするのかでは大きく話が変わりますよね。
市場自体を見直しすることで、たとえば、まだ靴を履く文化がない未開の地に販売する戦略を立てるというアクションが選択肢に入ってきます。
ちなみに、結果から行動を見直すことを繰り返し行う行為をシングルループ学習と言います過去の学習や成功体験から得た考え方に基づいて改善を繰り返すという理論です。
これに対し、ダブルループ学習は、行動の基になっている前提から見直しをすることによって、過去の学習や成功体験を捨て、よりイノベーティブなアクションを促すための理論と言えます。
特に、ゲームチェンジが激しい昨今では、エネルギーがガソリンから電気・水素にシフトしつつあるように、前提条件自体が変わることもあるため、シングルループ学習では十分に対応できないことも考えられ、ダブルループ学習によってイノベーションを起こすことが必要です。
ジョハリの窓
ジョハリの窓とは、自分が認識している自分の特徴と、他人が知っている自分の特徴を確認することによって、自己理解の違いに気づくためのフレームワークです。
この理論は、サンフランシスコ州立大学の心理学者であるジョセフ・ルフトとハリ・インガムが、「対人関係における気づきのグラフモデル」として発表したもので、のちに2人の名前を組み合わせた「ジョハリの窓」とう呼称がつきました。
「窓」という名前のとおり、自己の特徴を4つの窓に区切り、自己認識と他者認識の違いを明確にするものです。
4つの窓とは、自分も他人も知っている自己を表す「開放の窓」、自分は気がついていないが、他人は知っている自己を表す「盲点の窓」、自分は知っているが、他人は気づいていない自己を表す「秘密の窓」、誰からもまだ知られていない自己を表す「未知の窓」の4つです。
なぜジョハリの窓が振り返りで有効かというと、客観的に見た自分の特徴を理解し、他人の認識とのズレを修正していくことによって、コミュニケーションを円滑にすることが期待できるからです。
たとえば、今まで誰にも話していなかった自分の考えを他者に話した際に、思った以上に共感されたり驚かれたりすることによって、より深い話ができるようになることがありますね。
つまり、自己開示をしていくことによって、ジョハリの窓でいう「秘密の窓」を開放し、より積極的な意見交換ができる人間関係を築くことで、より質の高い商品やサービスを生み出すことを可能にするのです。
初回公開日:2022年08月24日
記載されている内容は2022年08月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。