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中国の官僚登用試験「科挙」の難易度・難易度が高い理由

更新日:2024年01月31日

はるか昔に行われていた科挙。その難易度はどれくらいのものだったのでしょうか。今回は科挙試験の難易度をさまざまな角度からみていき、その難しさを分かりやすく解説してみました。興味のある方は是非ともご一読ください。きっとその難易度に驚くことでしょう。

中国の官僚登用試験「科挙」の難易度

2月も終わりに近づき、もうすぐ別れの季節である3月になろうとしています。4月からは新しい職場や学校で新生活を迎えるという方も多いのではないでしょうか。そしてそこに至るまでには入社親権や学力テストがあったはずです。歴史を紐解けば、昔の中国には似たような仕組みで、科挙という試験がありました。今でいうと公務員試験に近いです。

今から1400年程前の隋の時代から実施されるようになり、なんと1905年まで、清王朝の時代まで続いました。今回は、この科挙について現代の試験と比較しながら、お話をしていきます。

現在の偏差値で考えた場合

科挙の試験については、非常に難易度の高いものであったと言われています。受験生のデータや、点数の平均などが残っていないために、現代の偏差値に換算することは難しいです。

しかし、後述するように相当な難易度であったことは間違いなく、東大試験の10倍、司法試験の20倍難しかったとも言われます。ちなみに司法試験が偏差値80程です。当時の人々の苦労が偲ばれます。

当時の合格率

科挙は段階を踏んで行われ、随時受験者をふるいにかけてきました。郷試では合格率が1%ほど、会試ではその1%の中のさらに3%とも言われます。さらに上の殿試では、原則全員合格で、いわば格付けのための試験となります。しかし、それでも合格率は0.0003%です。1万人受けて、合格者は3名しかいないです。後ほどお話しますが、これの難易度は現代の東大や司法試験の合格率をはるかに凌駕する数字です。

科挙の難易度が非常に高いと言われた理由

ここまでの倍率になる科挙試験ですが、なぜここまで難易度が高いのでしょうか。もちろん、科挙試験は国家官僚になるための試験なので、中国の全国各地から受験者が応募するというのも一つの理由です。しかし、科挙の難易度が高い一番の理由はその試験内容でした。ここでは主にどんなことを勉強していたのか紹介して、科挙の難易度が高い理由について説明していきます。

儒教経典

当時は官僚として身につけるための素養として、儒教の教養をやしない、完全に理解していることが重要視されていました。そのため、儒教経典を一字一句暗記しなければなりませんでした。暗記する経典は次のとおりです。

『論語』11705文字、『孟子』34685文字、『孝経』1903文字、『周易』24107文字、『尚書』25700文字、『毛詩』39234文字、『春秋左氏伝』196845文字、『春秋公羊伝』44075文字、『春秋穀梁伝』41512文字、『周礼』45806文字、『儀礼』56624文字、『礼記』99010文字の合計575390字でした。これを一字一句覚えていかなければなりませんでした。

各教典の注釈書

儒教経典はもちろん中国の書物ですが、例えば科挙最盛期の清の時代からみても、千数百年も昔のものばかりです。そのため、儒教経典が成立してから、清代に至るまで数多くの注釈書(注と呼ばれるもの)が書かれてきました。

場合によっては注釈書の注釈書(疏とよばれるもの)がある場合もあります。科挙を受けるには、各教典の解釈も問われるため、これらの注や疏についても暗記しなければならず、数は膨大な量になります。これで難易度が飛躍的に跳ね上がってしまいます。

試験段階別の難易度

科挙と一口にいっても、その試験は細かく何段階にもわたって行われることになります。今の受験と違い、1次2次だけで終わらりませんでした。ここでは、各試験の紹介と試験ごとの難易度について、お話していきます。

県試

県試とは中国全獄各地に設置された行政単位である「県」主催の試験になります。これは童試を構成する3つの試験(県試・府試・院試)の第一段階です。ちなみに童試は科挙を受ける資格である「国立学校の学生であること」を満たすための試験で、院試まで合格してやっと受験資格を得られます。試験は5回に分けて行われ、日数にすると20日もありました。受験者は県ごとに約1500人程度で、合格者は100名程の難易度でした。これだけでも倍率15倍と高いです。

府試

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初回公開日:2018年03月20日

記載されている内容は2018年03月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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