【業界研究】住宅業界の現状・動向・課題について
業界の現状
住宅業界の歴史
住宅業界は、大規模開発に携わるマンション業と個別のニーズに携わる戸建て業とに大別することができます。
その歴史は、第二次世界大戦で国土が焦土と化したときからスタートし、市街地の復興と住宅の建設が急速に進められたことが契機となって今の住宅業界の土台が形成されていきました。住宅個数が世帯数を超え、住宅不足が解消されたのが1968年で、この頃には集合住宅を供給するマンション業者と、プレハブによる戸建て住宅の大量生産を前提としたハウスメーカーとが台頭して主流派になっています。
その後1973年をピークに、オイルショックやバブル経済の崩壊、リーマンショックを経て住宅着工戸数は減少の一途をたどり、現在、少子化の進行とあわせて住宅業界がその市場を大幅に拡大させるのは難しい状況となっています。
マンション業界と戸建て業界
旧財閥系の大手と新興デベロッパーで構成されています。市況は2009年を底に回復傾向にあるものの、建築費高騰等の影響もあり、首都圏を除いて開発環境は厳しいものとなっています。
・住友不動産:首都圏を中心に「シティハウス」シリーズ、「シティタワー」シリーズ等を展開
・野村不動産:マンション業界最大手。野村證券系で、大規模マンション「プラウド」ブランドを展開
・三井不動産レジデンシャル:三井不動産の住宅分譲事業と、三井不動産販売の住宅受託販売事業を承継
・三菱地所レジデンス:「ザ・パークハウス」ブランドを展開
・大京:オリックスの子会社。ライオンズマンションを展開
全国規模で展開する大手のハウスメーカー、建売住宅を低価格で売るパワービルダー*、地場の工務店で構成されています。工法は、在来工法、プレハブ工法、ツーバイフォー工法の3つに分類されます。
・大和ハウス工業:戸建て業界最大手。戸建て販売は6位だが、多角経営で有数に
・積水ハウス:注文住宅最大手
・飯田グループホールディングス:パワービルダー最大手。戸建て販売首位。
・住友林業:木造の在来工法大手。海外事業も展開
・旭化成ホームズ:ヘーベルハウス。3階建て物件に強み
・積水化学工業:セキスイハイム。スマートハウスに強み
・ミサワホーム:木質プレハブ大手
・一条工務店:木造住宅大手
・三井ホーム:戸建てのツーバイフォー工法最大手
*パワービルダー:低価格の建売住宅を販売するデベロッパーを指し、1990年代後半から売れ行きを増加させたことでその勢い(パワー)を周知され、このように呼ばれるようになった。
戸建ての工法
日本の伝統工法によるもので、多くは零細工務店、大工が該当します。商品は、プレハブ工法と競合しており、地域密着型住宅や健康住宅などを展開して差別化を図っています。
工場で柱、梁、屋根トラス、床、壁などを生産し、それを建築現場で組み上げる工法のことです。使用する素材によって鉄骨系、木質系、コンクリート系に分かれますが、近年は鉄骨系のシェアが増加傾向にあります。
枠組壁構法とも呼ばれる工法で、2インチ×4インチの規格材を多く使用して効率よく組み上げるところに特徴があります。
基本情報
- 市場規模:8兆9,721億円
- 労働者数:50,153人
- 平均年齢:39.7歳
- 平均勤続年数:10.7年
- 平均年収:592万円
住宅業界の市場規模は8兆9,721億円と比較的大きめな数字になっていますが、大手10社を合わせてもシェアは30%程度しかなく、中小ハウスメーカーや地場の零細工務店が大きな存在感を持つ結果となっています。ただ、大手とそれ以外で給与の額に差があるのは事実で、年収にすると大手で900万円前後、工務店で500万円前後となり、業界全体でみれば平均年収は592万円という数字に落ち着くようです。
仕事内容
住宅業界の職種は営業職、技術職、一般職に分かれています。