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【業界研究】流通業界の現状・動向・課題について

流通とは、生産者から消費者に商品を届けるまでの輸送、保管、商取引といった一連の営為のことをいいます。
端的にいえば生産と消費を結びつける活動のことであり、この活動を担うのが流通業者になります。流通業者は広い意味においては運送業者やネット販売業者等を含めたりすることもあるようですが、基本的には卸売業者と小売業者のことを指します。生産者→卸売業者→小売業者→消費者という流れの川上(生産者)と川下(消費者)を省いた川中と考えれば分かりやすいでしょう。

小売業者からの注文を受けて、商品の入出荷を行う仕事です。一般的に、卸売業者は全国に物流センターを持っており、そこにさまざまな生産者(メーカー)の商品を集めて中継基地として使っています。在庫がなければ各生産者に発注し、あれば物流センターから小売業者に届けます。小売業者からみれば、1回の発注ですべての生産者の商品を揃えることができるのでとても利便性の高いシステムといえます。

業界シェア上位3位

1位:豊田通商:7兆7,432億円
2位:三菱商事:7兆6,351億円
3位:丸紅:7兆0,557億円

平均年収上位3位

1位:伊藤忠商事:1,383万円
2位:三菱商事:1,355万円
3位:三井物産:1,351万円

業界の動向

流通業界の主軸はコンビニに

流通業界大手が軒並み苦戦を強いられています。

とくに苦戦しているのが総合スーパーマーケット(GMS)で、イトーヨーカ堂とイオンリテールといった大手を中心に赤字幅が拡大しています。その原因としては、円高・株安による経済全体の停滞、消費税率再引き上げの延期で駆け込み需要が先延ばしとなったこと、インバウンド消費が高額商品から化粧品や家庭用品にシフトして客単価が落ちたこと等が挙げられますが、それを受けてセブン&アイ・ホールディングスは2020年までにイトーヨーカ堂40店舗を閉鎖すると発表するなどGMSの先行きには不透明感が漂っています。

一方、コンビニは、ファミリーマートがユニーグループ・ホールディングスと経営統合してサークルKサンクスを傘下におさめ、ローソンもスリーエフと資本業務提携を行い、ポプラとも提携したことで大型再編が一段落し、苦戦続きのGMSに代わって流通業界の主軸業態になろうとしています。

卸売業界の再編の動き

食品卸の国分と丸紅は2015年に、卸売事業での業務提携について合意したと発表しました。国分は丸紅子会社の冷凍食品卸に51%出資して傘下に収め、丸紅は国分子会社の常温食品卸に20%出資しました。これには、両社がお互いの中核子会社に相互出資することで、弱みの補完を図ろうとする狙いがあるとみられています。

卸売業界では、地域でのシェア獲得を目的に買収・合併することが増えており、とくにここ最近の再編では、都市部を中心としたシェアをどう獲得するかが課題となっています。また、それと同時にタイ、インドネシア、マレーシアといった東南アジア企業の買収も進めており、海外のシェア拡大にも積極的に動いています。

市場動向

流通業界の市場規模は460兆1,430億円

経済産業省「商業動態統計」によると、2015年度の流通業界の商業販売額は460兆1,430億円で前年比1.9%の減少となりました。内訳をみると、卸売業が319兆4,770億円で同2.5%の減少、小売業が140兆6,660億円同0.4%の減少となっています。

小売業販売額は飲食料品小売が増加傾向にあるものの、原油価格の下落等を背景に燃料小売が大きく減少したことで最終的に縮小に転じました。卸売業も食料・飲料卸売が増加しましたが、鉱物・金属材料卸売等の下落により全体では減少となっています。

業界の課題

上がらない給料

流通業界は、宿泊業界、飲食業界、サービス業界等と並んで、給与の少ない業界のうちの1つといわれています。もちろん、同じ業界のなかでも会社によって給与の高い低いはありますが、全体としては、上記の平均年収の数字をみてもわかるとおり、給与の高い業界に分類されるような数字でないことは明らかです。

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