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【業界研究】石油業界の現状・動向・課題について

石油は、ガソリンや灯油のように燃料として用いられるだけではなく、火力発電において電気エネルギーに変換して利用されたり、または化学製品の原料として使われるなどさまざまな場面で用いられ、私たちの暮らしになくてはならないものになっています。

原油の供給は世界的に過剰傾向

米国シェール革命や中国の成長鈍化等などで、原油の供給は過剰傾向にあります。

2015年に64.10ドル/バレルでピークを迎えた原油価格は、2016年に30.43ドル/バレルまで下落しました。そして、石油元売り大手は「石油の備蓄の確保等に関する法律」に基づく備蓄在庫で多額の損失を抱えたこともあり、その決算にも影響が出ています。

レギュラーガソリンの店頭価格も、2015年の145.10円から2016年に112.50円へと下落しています。

業界の課題

太陽光、地熱、バイオマスの注目度が上昇

1次エネルギー構成のなかで二酸化炭素排出問題等の理由から、よりクリーンな原子力やLNGへの切り替えが進んできましたが、東日本大地震の影響で原子力の見直しが図られています。

政府は、2014年に閣議決定された「第4次長期エネルギー計画」のなかで、石油について備蓄等の危機管理の強化や原油の有効利用等の推進が不可欠とした上で、石油産業の経営基盤の強化が必要との政策を示していますが、それと同時に2040年には1次エネルギー供給量のうち石油が33%にまで落ち込むとの試算も出しており、近年では、太陽光、地熱、バイオマス等の新エネルギーに注目が集まっています。

こうした事態を受けて石油業界大手各社は、人員削減を含めた大幅なリストラや物流の合理化を進めており、先行きが不透明な状況となっています。

業界の今後の将来性

石油元売り大手は総合エネルギー企業化を推進

エコカーの普及や太陽光発電などの住宅の省エネ化、発電所燃料としての石油の地位低下などを背景に、今後も国内の石油製品の需要は減少が続くとみられています。

石油業界大手各社は、石油がいずれ枯渇する資源であるということを念頭に入れた上で、メガソーラーや電力発電事業へ相次いで参入しており、石油以外のエネルギー関連の製品・サービスも取り扱う総合エネルギー企業化を図っています。

原油の可採年数はあと56年

原油は有限の資源ですが、2017年の時点であと56年分の埋蔵量があるとされています。これまでは原油の可採年数は30年といわれてきましたが、開発技術が向上していることもあり、その結果として埋蔵量が増えています。

したがって、今後もこのような技術革新が続けば56年で掘り尽くされるということもなくなるかもしれませんが、天然資源ですので、いずれピークを迎えることは確実です。

ただ、原油以外の石油資源にも目を向けるのであれば、オイルサンド、オリノコ重油、オイルシェールと選択肢が存在しており、それらの資源の埋蔵量を合わせるとその可採年数は200年以上になります。

業界研究本

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

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