【業界研究】医薬品業界の現状・動向・課題について
薬剤の専門家として調剤や医薬品の供給を行う仕事です。働く場所は病院・医院・製薬メーカー・薬局・ドラッグストア等と幅広く、勤務先によって仕事内容も変わります。製薬メーカーの場合は、知識を生かしてMRとして活躍する人が多くなっています。
薬局では、医師が処方した薬剤を患者に渡す業務を主に、薬剤の情報説明から、飲み方の指導等まで行います。ドラッグストアでは、販売をメインとしながら、来店者の質問や疑問に答え、正しい用法を伝えることが大切な業務になります。
業界シェア上位3位
1位:武田薬品工業:1兆6,916億円
2位:アステラス製薬:1兆1,645億円
3位:第一三共:1兆1,187億円
平均年収上位3位
1位:大塚ホールディングス:1,104万円
2位:シンバイオ製薬:1,087万円
3位:エーザイ:1,040万円
業界の動向
ジェネリック医薬品のシェア上昇
もともと日本では先発医薬品への支持が強い傾向があり、先発医薬品の特許が切れた後でも、製薬会社はある程度の売上を維持できていました。
しかし、ジェネリック医薬品は年々シェアを伸ばし、2016年に先発医薬品を抜き去ると、そのシェアを60.1%にまで拡大しています。政府が2020年度末までにジェネリック医薬品のシェアを80%以上にするという目標を掲げていることもあり、先発医薬品事業者はビジネスモデルの再構築を迫られています。
特許切れ薬
ジェネリック医薬品のシェア拡大にともない、先発医薬品事業者は特許が切れる前に製造権などの権利をジェネリック医薬品事業者へ売却するようになっています。
ジェネリック医薬品事業者は製造販売をそのまま継続でき、一方の先発医薬品事業者は権利を販売することによって多額のロイヤルティが得られるというメリットがあります。
2016年の薬価改定により、長期収蔵品(後発品のある先発品)のほとんどの薬価が引き下げられ、特許切れの長期収蔵品を抱えている医薬品メーカーが苦戦するようになっています。これまでは長期収蔵品は医薬品メーカーを支える屋台骨でしたが、近年では風向きが変わりつつあるようです。
がん治療薬
小野薬品工業は2014年、オプジーボの販売を開始しました。オプジーボは免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる新世代のがん治療薬です。抗がん剤はがん細胞に直接作用しますが、オプジーボは体が本来持っている免疫の力を引き出してその力でがん細胞を攻撃するというのが特徴となっています。
日本をはじめ、米国、欧州でも承認され、夢の薬と脚光を浴びましたが、オプジーボと他のがん治療薬を併用した患者が副作用によって死亡するなど問題が発生しており、世界中で落胆の色が濃くなっています。
市場動向
医薬品業界の市場規模は10兆2,509億円
厚生労働書の「薬事工業生産動態統計」によると、2015年の医薬品生産額は、前年比4.5%増の6兆8,879億円となり4年ぶりに増加しました。市場規模は、薬価ベースで10兆2,509億円となっています。