更新日:2025年03月05日
川は三みっつの瀬を一つに、どんよりと落合おちあつて、八葉潟やつばがたの波は、なだらかながら、八やっつに打つ……星の洲すを埋うずんだ銀河が流れて漂渺ひょうびょうたる月界に入いらんとする、恰あたかも潟かたへ出口の処ところで、その一陣の風に、曇ると見る間まに、群むらがりかさなる黒雲くろくもは、さながら裾すそのなき滝の虚空こくうに漲みなぎるかと怪あやしまれ、暗雲あんうん忽たちまち陰惨として、灰に血を交まぜた雨が飛んだ。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/48404_35157.html
「俺は人生の修業はきらひだ。焼芋とヴァレリイの組合せが人生なら、俺は首をくゝつて別の国へ逃げて行かあ。そもそも汝富永秋水は保坂三平を何者と考へるか。余はもと混沌を母とし、風に吹かれて中空をとぶ十粒の塵埃を精霊として生れた博士であるぞよ。書を読めば万事につけて中道を失ひ駄法螺だぼらを生涯の衣裳となし、剣を持てば騎士となつておみなごのために戦ふけれども連戦連敗、わが恋の報はれたるためしはない。されば余は常にカラ/\と哄笑し、事あるたびに壁となつたり※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)の卵となつて身を隠したり、痩せても枯れても焼芋とヴァレリイのカクテルから小僧のニキビを生みだすやうな下品な手品は嫌ひなんだ。エイ、者共、余につゞけ。嵐が近づいて来たぞよ。余は自ら一陣の風となつて宇宙と共に戦ふであらう。小僧よ。鐘を鳴らせ。貝を吹け。戦へ、戦へ」
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42889_24799.html
一陣の風に万緑動きけり
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/haiku/42321035102.htm
初回公開日:2017年11月27日
記載されている内容は2025年03月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。