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覚書の印紙税・印紙|必要/不要の判断基準と例・印紙の金額

更新日:2023年12月23日

覚書だからと言って本来、印紙を貼らなければならないのに印紙が貼付されていない場合や金額が不足していた場合は、過怠税として3倍の罰金が徴収されます。覚書の印紙の必要・不要の判断基準、印紙が必要な具体例、貼付すべきな印紙の金額について解説いたします。

委任とは、「当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手に委託し、相手がこれを承諾することによって、その効力が生ずるものをいいます。つまり、請負とは違い、仕事の完成というゴールがない契約のことをいいます。具体的には、コンサルティング契約書(成果物なし)・顧問契約書(成果物なし)などがあります。委任契約では、基本的には課税対象になりません。

印紙が必要な覚書の具体例の解説

1号文書となる例~地位承継の覚書~

覚書上の地位承継とは、売買契約の売主または買主の地位や、不動産賃貸借契約の賃貸人または賃借人の地位を第三者に承継(譲渡)することです。

印紙税法では、契約上「重要な事項」を変更する変更契約書を課税対象としています。したがって、地位継承の覚書もこれに該当し印紙の貼付が必要となります。

2号文書(請負契約)

請負とは、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約束し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。請負には、建設工事のように有形的なものの他、警備、機械保守、清掃などの役務の提供のように、無形的な結果を目的とするものも含まれます。

その請負契約の一部を覚書などで変更したりする場合も、契約上の「重要な事項」の変更などに該当する場合は課税対象となります。

なお、請負に関する契約書に該当するものであっても、営業者間において継続する複数の取引の基本的な取引条件を定めるものは、次の7号文書「継続的取引の基本となる契約書」に該当することがあります。

7号文書となる覚書

7号文書とは、印紙税法で定められている「継続的取引の基本となる契約書」のことをいい、下記5つの要件を満たせば第7号文書として認められることになります。

①営業者間での契約である
②売買、売買の委託、運送、運送取扱いまたは請負のどれかに当てはまる取引契約である
③2以上の取引を継続するための契約である

④2以上の取引に共通して適用される下記の取引条件のうち、1つ以上の事項を定める契約である
・目的物の種類
・取扱数量
・単価
・対価の支払い方法
・債務不履行の損害賠償の方法
・再販売価格
⑤電気やガスの供給の契約ではない

ただし、継続契約期間が3ヵ月以内で更新について定められていない場合は、第7号文書とはなりません。

契約金額変更・賃料変更のための覚書

契約金額・賃料変更のために別途に覚書を作成する場合、この覚書も課税文書となるため、契約金額に応じた印紙を貼る必要があります。

また、変更前の金額が記載された原契約の有無、文書の記載方法で印紙税額が大きく変わりますので注意が必要です。契約金額が減少した場合も印紙は必要です。

契約期間変更の覚書の場合

基本契約書で定められている契約期間が終了する場合などに、契約期間についてのみ改めて延長する覚書を書いて契約を結ぶ場合があります。このような方法による契約期間の延長は、契約の重要な事項を変更するものとして、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当します。

なお、第7号文書に該当する文書を引用して契約期間を延長するもののうち、延長する期間が3ヵ月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。

債務不履行の損害賠償についての覚書

印紙税法では、継続的取引のための契約書で「債務不履行の場合の損害賠償の方法」を定めるものは、7号文書に該当するものとしています。

例えば「買主Aが売買代金債務の弁済を怠ったときは、売主Bに対し、弁済期日の翌日から完済の日まで、年10%の利率の遅延損害金を支払わなければならない」という契約を覚書でする場合です。

しかし、「買主Aが売買代金債務の弁済を怠ったときは、売主Bに対して損害を賠償する」というように単に債務不履行の責任を注意的に表現しているだけの場合は、7号文書の課税原因には当たらないと考えます。

消費税改定のみの覚書でも印紙を貼るの!?

印紙税法では、契約上「重要な事項」を変更する変更契約書を課税対象としていますが、重要な事項と「密接に関連する事項」を変更する場合も課税対象としています。

消費税額の変更は、重要事項である契約金額と「密接に関連する事項」の変更となりますので、課税対象となります。

ただし、文書に記載された新たに課されることとなる、消費税などの具体的な金額が1万円未満の場合には「非課税文書」として扱われます。

印紙が不要な場合

次の場合は、原則印紙を貼る必要はありません。

・覚書に記載された契約金額が1万円未満の場合は非課税となり、印紙は不要となります。

・覚書の中で契約金額に触れておらず、契約する両者に利害が無い文書は無税、すなわち印紙の貼付が不要です。

・労働者派遣契約のような委託契約についての覚書は、請負ではなく委任となるため印紙の貼付は不要です。

印紙の金額は契約書の種類・記載金額で決まる

それでは、実際覚書を作成した場合いくらの印紙を貼らなければいけないのでしょうか。それは、文書の種類・記載金額に応じて変わってきます。

次のページ:正しく覚書の印紙税について知ることは節税にもつながる!

初回公開日:2017年12月14日

記載されている内容は2017年12月14日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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