【業界研究】印刷業界の現状・動向・課題について
業界の現状
この世の中にあふれる、書籍、雑誌、新聞の折り込み広告、チラシ、製品パッケージといった色とりどりの印刷物を生み出しているのが印刷業界です。1990年代のバブル景気の崩壊とともに市場規模が縮小していることから不況業種であるととらえられていますが、だからと言って魅力がない業種ではありません。
一般消費者や企業を相手にした紙媒体の印刷を核としつつも、長年培ってきた印刷技術を応用することで、書籍や雑誌の電子販売といった電子コンテンツ事業、IT(情報技術)を使った販促サービス、企業の事務処理受託事業といった印刷の周辺領域にも事業を拡大するなど、印刷業界は業界全体で常に新たな戦略を構築し続けている業界なのです。
基本情報
①市場規模:5兆4159億円
②労働者数:30万6833人
③平均年齢:38.4歳
④平均勤続年数:14.0年
⑤平均年収:556万円
印刷業界の平均年収は556万円ほどとなっていますが、日本の平均年収がここ10年間で440〜460万円前後であることを考えると、これは比較的高めな数字と言えます。
5兆円強規模の市場で556万円という平均年収は少ないようにも感じますが、30万人強という労働者数の多さを考えれば納得していただけるのではないでしょうか。
仕事内容
顧客から預かった原稿を印刷機で紙に刷ることが印刷業界の大原則ですが、今日における印刷業の仕事はそれだけに限りません。
具体的には、
- 出版印刷(書籍、雑誌、新聞、地図、学習参考書、教科書など)
- 宣伝用印刷(ポスター、カタログ、パンフレット、POPなど)
- 業務用印刷(マニュアル、報告書、議事録など)
- 証券印刷(株券、債券、商品券、預金通帳、キャッシュカード、クレジットカードなど)
- 事務用印刷(各種伝票、ノート、封筒、手帳、名刺など)
- 軟包装印刷(紙器、包装紙、ラミネート軟包装、プラスチック容器、缶類など)
- 特殊印刷(プリント合板などの建築材、布地印刷、精密電子部品の配線板など)
- ソフトサービス(商品企画、販売促進、イベント企画、入力代行、顧客データ管理など)
と、その目的によって細かく分類されています。
そしてその印刷物を、会社内の各部署で分担して作っていきます。部署は一般的な印刷会社の場合は、営業、企画、デザイン、DTP、製版、印刷という部門に分かれていることが多いようです。
業界シェア上位3位
1位:凸版印刷:1兆4746億円
2位:大日本印刷:1兆4559億円
3位:トッパン・フォームズ:2732億円
平均年収上位3位
1位:トッパン・フォームズ:699万円
2位:大日本印刷:696万円
3位:凸版印刷:664万円
業界の動向
2強の寡占状態が続く
凸版印刷と大日本印刷の最大手2強で市場占有率の約80%を誇るという特異な体質は変わっていません。