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フィンランドのベーシックインカムの結果・財源・誤報・メリット

更新日:2020年08月28日

フィンランドでは実験的にベーシックインカムが導入されました。日本でも、そしてその他の国でも、社会保障としてもベーシックインカムの導入が注目されています。今回は、そのベーシックインカムに国として初めて取り組んだフィンランドについてご紹介します。

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムとは、「政府がすべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する制度」と定義されています。簡単に言えば、政府から毎月お金がもらえるということです。

生活保護とベーシックインカムは似ているようですが大きな違いがあります。それは、貧困対策ではないためベーシックインカムの給付に条件はなく、誰でももらえるという点です。

条件をつけずに支給することで難しい社会保障制度をわかりやすくし、行政上のコストを削減することも目的としています。また、日本において生活に困窮していても生活保護の申請をすることをためらう人がまだまだいるため、そういった人たちを助ける面もあります。

フィンランドでは2017年の1月1日から、2年間にわたって2000人の失業者を対象に毎月560ユーロ(約6万8000円)を無償で支給するというプログラムが開始されました。

ベーシックインカムの導入国

ベーシックインカムは、国によって導入の段階が異なります。実験的にベーシックインカムを導入している国があったり、本格的にベーシックインカムを導入している地域があったりとさまざまです。

2018年5月時点では、国家レベルで本格的にベーシックインカムを導入している国はありません。フィンランドは試験的に導入している段階です。しかし、アメリカのアラスカ州などは地域レベルで本格的にベーシックインカムを導入しています。

石油産業がさかんだったりなど財源が豊かである地域は、本格的にベーシックインカムを導入することが現実に可能です。国家レベルで本格的に導入をするにあたっては、その財源の確保が大きなカギとなるでしょう。

日本のベーシックインカム

日本では、ベーシックインカムを「最低限生活保障制度」と訳すべきでしょう。最低限の生活を送るためのお金が、無条件で定期的に政府から支給されることになります。この制度は日本で生まれて日本に住んでいる人全員が対象となります。

ちなみに、働かなくても毎月7万円から10万円ほどのお金が支給される予定です。夢のような話ですが、この話には裏もあります。最低限生活保障制度の適用にあたっては、これまでの社会保障(年金、生活保護、雇用保険)などはなくなるとみられているからです。

つまり、毎月決まったお金を支給する代わりに、あとのことは自分たちでなんとかするようにということです。しかし、この制度の導入によって働き方の改革につながるとの見方もでています。お金のために働くのではなく、自己実現や理想に向けて働くように変化していくと予想されます。

フィンランドのベーシックインカムの結果

フィンランドでベーシックインカムが試験的に導入されてから3ヶ月後の調査では、失業者の精神的な負担が軽減されたとの結果が出ました。

6ヶ月後の調査では、ベーシックインカムと失業手当を混同した人が多かったからか、就職してもベーシックインカムをもらうらめに就職した事実を報告しなかったり、あえて就職せずに、失業手当てに頼る人たちが増えたとの結果が出ています。

しかし、フィンランドのベーシックインカムは生存費用水準であり、就職後も支給されます。そのため、失業手当てとは違い、労働意欲を高めることにつながるでしょう。

フィンランドのベーシックインカムは2018年末までの期限付きでしたが、延長はせず、追加のお金も投入しないこととなり、当初の予定に沿う形で終了です。

日本のベーシックインカムの結果

日本では2018年5月現在、ベーシックインカムの導入はなされていません。したがって、フィンランドのようなベーシックインカムの調査結果は存在しません。

ベーシックインカムの財源

ベーシックインカム制度を本格的に導入するにあたっては、その財源の確保が大きな課題となります。他の社会保障などの政府の支出を減らして財源を確保するか、増税によって財源を確保するかが大きな柱となります。

それではフィンランドのベーシックインカムの試験的導入にあたって、その財源についてみていきましょう。

フィンランドのベーシックインカムの財源

フィンランドは資源に恵まれた国ではなく、財政も豊かであるとはいえません。フィンランドは北欧で福祉が充実している国というイメージが世界中の人に持たれていますが、フィンランドの完全失業率は約10%で、不景気からの脱却が大きな課題となっています。

フィンランド政府は不景気が終わっても成長の速度は遅いと予測しており、将来の見通しが暗いために、約70%のフィンランド国民がベーシックインカムに賛成しているともいわれています。

フィンランド政府の2016年の歳入は約490億ユーロで、本格的な導入となれば、成人のみに支給するとしても約470億ユーロが必要と見込まれています。フィンランド政府の歳入がほぼベーシックインカムにあてられてしまうという計算です。

高齢化が問題の一因

フィンランドはEUの中で最も高齢化が進んでおり、労働人口の減少が問題となっています。所得税の額もそれに伴って少なくなるため、歳入が減っていくことはあきらかです。

フィンランドでのベーシックインカムの導入は、現実問題として財源の確保が大きな問題点であるといえるでしょう。財源の確保はフィンランドだけの問題ではなく、導入を検討している多くの国や地域も抱えている問題です。

こういった背景から、ベーシックインカムは非現実的理想主義ともいわれています。

フィンランドのベーシックインカムについての誤報

フィンランドで期限付きの試験的なベーシックインカムの導入前には、世界で「フィンランドは2015年12月にベーシックインカムで月800ユーロの支給を始める」といった報道がされました。

これは当時、イギリスの新聞記者が、情報源のフィンランドの地方紙の記事を読んだ際に誤解したものでした。イギリス人記者のフィンランド語の知識が十分でなかったことが原因です。これに他のイギリスの新聞や日本など他国のメディアも追随した形となりました。

当時のフィンランドの社会保険庁は「ベーシックインカムについてミスリードな報道が相次いでいる。可能性を探るための研究が始まったばかりである」とコメントを出しています。

フィンランドのベーシックインカムのメリット

それでは次に、フィンランドにおけるベーシックインカム制度導入のメリットについてみていきましょう。

無条件に無課税のお金を支給されるため、働いていても働いていなくてもお金がもらえるということが大きなメリットです。医療費などの社会保障についてもみていきましょう。

医療費のメリット

フィンランド政府は、全国民に毎年約11万円を無課税で支給する代わりに、他のすべての社会保障を停止するとしています。さまざまな社会保障体制を一本化して社会保障維持コストの削減を図ることで財源の確保をしようとしています。

フィンランドでベーシックインカムが本格導入となれば、医療費の補助はでません。したがって医療費は全額自己負担となることから、医療費のメリットはありません。

初回公開日:2018年05月23日

記載されている内容は2018年05月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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