最近よく使われる「そもそも」
最近になって次第に「そもそも」という言葉が多用される流行・傾向が出てきたと言われます。これは国会中継を含むテレビ番組などをはじめ、メディアによる影響も大きいとされ、「そもそも」という言葉がディベート好きな人にとっては「なくてはならない表現」とされる傾向からも多用の理由は大きく見定められます。
「そもそも」の慣用句性
先述しました「そもそも」という言葉の多用の流行によって、「そもそも」という言葉が若者の間でも慣用句として使われる傾向が強まっています。
この原因の1つとしては「現代に多く見られるコミュニケーション能力の乏しさ」というものがピックアップされ、「長く話しているうちに自分が何を言っているのかわからなくなる」や「相手が何について話しているのか聞き取れない」といった、会話する上で基本的なハウトゥが欠如し始めている「現代人の習性」が理由にあげられます。
「そもそも」と「基本的に」の違い
「基本的に」という言葉の意味は「特定の物事に対する基準となる考え方」を指す場合に多く使われており、結論から言えば「基本的に」という言葉の意味は「そもそも」の意味とは違います。
「基本的」というのは、臨機応変でその「基準となるもの」が変わってしまう場合があり、「そもそも」の意味合いにはこの「臨機応変で変わる」ということがありません。
「そもそも」の意味・活用は「その物事の原点に立ち返らせること」を目的とするため、たとえば「動物の進化」などについて述べる際には、「その動物の進化がなぜ始まったのか」という原点を指す意味合いとなります。
「そもそも」と「根本的に」の用法
「根本的に」という言葉の意味は「特定の物事や課題が成り立っている原点」を指し、「そもそも」の意味合いとほぼ同じ扱いとして認められます。
「基本的に」と言う場合と違って「根本的に」と言う場合は、経過によって物事の基準が変わることを指さず、その物事の基準を含む形で「なぜその物事が現在そんなあり方によって成り立つのか」というおおもとの内容を直接指します。
「そもそも」と原点の関係性
「そもそも」という言葉はもともと「物事の原点」を指す言葉として使われ、時間の経過によってさまざまに変容している物事について「なぜ現在においてその物事がそんな形になっているのか」ということを、その根本から解き明かすことを意味します。
その点で「そもそも」と「原点」という言葉の関係は切り離すことができず、常に多くの表現において「そもそも」と「原点」という言葉はセットで認識されています。
「そもそも」を多く使う人の心理
先述でも少しご紹介しましたが、「そもそも」という表現を多用する人の心理面を言えば「物事を客観的に見て、総合的・相対的にその物事がどんな形としてあるのか」といったことを論理的に説明することが好きな傾向が見られます。
つまり、「論理的な人」という認識・印象を持つ心理の働きによって「何事でも筋道を立てて話す」という姿勢が生まれ、相手によっては「理知的な人」とその話者が評価される場合もあります。
上記に加えて「そもそも」をあまりに多用し過ぎると、聞き手から「うざったい」という印象も同時に持たれることもあるため、バランスよく(乱用することなく適当に)「そもそも」を使うことが良法となるでしょう。
話を戻すときに使われる「そもそも」
「そもそも」という言葉はその性質から、「こんがらがった話などを元のテーマに戻す働き」が認められ、特に長い話や難解な話題についてディベートする際には、この「そもそも」という言葉の働きが多く活用される場合があります。