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2018年02月07日

宮部みゆき小説「ソロモンの偽証」のタイトルの意味

直木賞作家宮部みゆきの小説「ソロモンの偽証」はベストセラーと共に映画もヒットしました。中学生が学校内裁判をおこなう異色ミステリーソロモンの偽証は、結末の意味がわかりにくいなどの評価もあります。今回は、ソロモンの偽証の内容の意味についてご紹介していきます。

宮部みゆきの小説「ソロモンの偽証」のタイトルの意味は?

宮部みゆき小説「ソロモンの偽証」のタイトルの意味

ソロモンの偽証は直木賞作家宮部みゆきの長編推理小説です。小説新潮で2002年から2011年まで連載され、2012年に刊行されています。クリスマスイブの夜に学校内で謎の転落死を遂げた男子中学生をめぐり、中学生が学内で裁判を開く異色のミステリーです。

ソロモンの偽証という題名の意味は原作者の宮部みゆきによると「最も正しいことをしようとするものが嘘をついている」ということで、神より知恵を授かり人を裁くことを許された唯一の人間ソロモン王が由来です。

平和の象徴であり正しく賢く、不正など一切おこなわないはずのソロモンが裁判で嘘を吐くという意味深なタイトルです。だれがソロモンでどんな偽証をするのかを明らかにしていくことが、この話の最大のミステリーであり山場です。

ソロモンの意味は?

宮部みゆき小説「ソロモンの偽証」のタイトルの意味

ソロモンは紀元前に古代イスラエルの第3代王に就任した旧約聖書の有名な登場人物です。父はダビデです。ヤハウェイ神に愛されたソロモンは人を裁く権利と智恵を与えられた人物です。大岡裁きのように遊女の裁判を賢い知恵で乗り切るなど、その卓越した頭脳と知恵で内政を重んじたソロモンは、イスラレルの地を長く統治し、エルサレルム宮殿を建設したことでも有名です。

ソロモンはあらゆる国より知恵で勝り、三千の格言を語り歌は千首を越えました。聖書や伝承として残っているソロモンの数々の活躍は、いまもわたしたちの間で語り継がれています。その大きな理由がこの知恵にありました。あらゆる動植物の知識にも精通していたソロモンの知恵を聞くために、シバの女王がたくさんの宝を携え訪ねてきたエピソードがたいへん有名です。

ソロモンの晩年は?

ソロモンはエジプトのファラオの娘など、数々の政略結婚をくりかえし統治していきました。晩年は異教徒との結婚が災いしてヤハウェイ神の怒りを買い、ソロモンの民族は分裂していきました。ソロモンが神の怒りを買った理由は、エルサレムの東に異教の神々の祭壇を築いた事が原因です。

偽証の意味は?

偽証という言葉の意味は、裁判などで法律により宣誓をした証人が嘘の陳述をすることです。偽証の罪は、罪に問われた人物だけでなく目撃者や参考人など、宣誓した人物全員に課せられます。3箇月から10年以下の懲役という重い罰則が偽証罪にある意味は、宣誓という厳粛な手続きを踏みにじる罪深い行いであるからです。宣誓を拒否することも罪になります。

映画化したソロモンの偽証のポスターが最後の晩餐モチーフになった意味は?

映画ソロモンの偽証のポスターはレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐がモチーフになっています。当時話題となったこのポスターの意味深な理由とはなんでしょうか。中央のイエスの位置にいるのは本編の主人公である女子中学生の藤野涼子です。この映画のオーディションで選ばれた彼女は、芸名を役名にして朝の連ドラなどにも出演を果たしました。

最後の晩餐はキリストが弟子のひとりが自分を裏切ると予言したときの情景が描かれています。ソロモンの偽証という題名から聖書を連想し、キリストの最後の晩餐で誰が裏切り者か、疑心暗鬼する12使徒と中学生の主要キャストを連動させています。それぞれの役柄と12使徒を照らし合わせて眺めると面白い構成になっています。

最後の晩餐と中学生の関係は?

宮部みゆき小説「ソロモンの偽証」のタイトルの意味

主人公の女子中学生の前に天秤が置かれている意味は、裁判官としての役割を果たす主人公の強い決意をあらわすためです。そして左端の使徒バルトロマイの位置には、ソロモンの偽証の冒頭で中学校の屋上から転落死する柏木卓也の姿があります。バルトロマイと柏木卓也を連動させた理由は、この人物がダ・ヴィンチ自身をあらわしているといわれているからです。

柏木卓也の死がすべての発端であり、彼がこの事件と裁判を起こしたといっても過言ではありません。柏木卓也がダ・ヴィンチとして描かれるもっともな理由が、ソロモンの偽証のなかにはたくさん散りばめられています。ソロモンの偽証の鍵を、彼自身の性格と行動が握っているからです。

使徒の中に犯人が?

柏木卓也は自殺だったのか、他殺だったのか。柏木卓也が他殺だった場合、この最後の晩餐を彷彿とさせるソロモンの偽証のポスターのなかに犯人がいるのかどうか。そのような想定でポスターを見ると、最後の晩餐がモチーフにされた理由もおのずとわかってきます。

神原和彦は唯一の他校生であり、被告人の弁護人として中学生の裁判に臨みます。彼はキリストのいちばんの理解者である使徒ヨハネの位置に座しています。そして、裏切り者がいることを告げたキリストに、裏切り者はひとりだけですかと問いかける使徒トマスの位置に座る女子中学生が意味するものは。それらの理由が映画のラストでわかったとき、もういちどこのポスターが見たくなるにちがいありません。

ソロモンの偽証の結末の意味は?

ソロモンの偽証は、宮部みゆきらしいなぞを残した結末で閉じられます。学校内裁判というモチーフを描きながら最後は証人の告白だけで事件のてんまつが語られます。結局、柏木卓也は自殺だったのか、他殺だったのか。決定的な目撃者もいないまま、だったのだろうという結末で裁判が終わります。

ソロモンの偽証は柏木卓也の死の謎を追う形式のストーリーでありながら、そこから派生していく中学生たちの偽証が題材です。ソロモンの偽証の結末の意味は、ソロモンが誰だったかということがわかったということです。柏木卓也の死の原因よりも、そちらを重視してソロモンの偽証の結末の意味を追っていくとよいでしょう。

法廷ミステリー?

ソロモンの偽証は実際にあった中学での学校内裁判をモチーフに描かれています。宮部みゆきは法律事務所で働いた経験がありながら、ソロモンの偽証が初めての法廷ミステリーです。それだけに、裁判の場面は臨場感があります。

ソロモンの偽証は法廷ミステリーです。ラストは裁判が山場です。ソロモンは誰で、なぜ偽証しなくてはならなかったのか。その意味は深いです。ソロモンが偽証をした意味を考え、その人間の行動や性格、背景を知ったとき、中学生という大人とこども、純粋さと残酷さを兼ね備えた人間を題材にしたこのミステリーに深みが増してきます。

結末に意味がある!

誰もが柏木卓也にもソロモンにもなりうる現実に、宮部みゆきが法廷という正義を武器に真っ向から挑んでいるソロモンの偽証は、中学生が中学生を裁きます。

平和な知恵者ソロモンがなぜ偽証しなくてはならなかったのか。その意味がわかったとき、本当の強さ・やさしさとはなにかがわかります。ソロモンの知恵が偽証という形で皆を救います。それぞれに闇を抱えた中学生たちが偽証という罪を犯しながら正義を問いかけるソロモンの偽証。この作品が投げかける結末は、意味深いです。

ソロモンの偽証が意味不明と言われる点は?

ソロモンの偽証が意味不明と言われる大きな理由は、プロローグとラストの展開のちがいです。読者は学校内裁判がメインの話だとわかっていながらそのことを忘れ、長編連載小説らしい数々の中学生たちの奇抜なエピソードに心を奪われてしまいます。それらのエピソードがラストの裁判と直接結びつかないところが、ソロモンの偽証が意味不明と言われる所以です。

ソロモンの偽証内で学校内裁判がはじまると、がらりと様相がちがってしまいます。裁判に至る過程で読者がいろいろと推理してしまい、それがすべて空振りに終わるような結末が待っているからです。視点の持っていきようが定まらず、また、事件の鍵を握る柏木卓也が冒頭で転落死してしまう事実も感情移入がしにくい理由です。

ソロモンの偽証は深い!

ソロモンの偽証は文句なく面白いミステリー作品です。冒頭から読者を惹きつける事件の発生と謎の数々。長編でありながら飽きさせない文章力と場面展開。中学生たちそれぞれが抱える心の闇に焦点を当て、それらを1つの長編小説に書きあげた宮部みゆきの筆力に脱帽させられます。

ソロモンの偽証は意味深い作品です。ストーリーの焦点はひとりの中学生の死です。彼がなぜ死ななくてはならなかったかを事件性だけではなく内面から考えていくことで、たいへん意味深い作品になっていきます。ソロモンの偽証は一読の価値のある作品です。読んだことがある方はちがう観点からもういちど、法定ミステリーソロモンの偽証の意味について検証してみてください。

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