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2017年09月11日

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

行動目標というテーマについて、様々な角度や視点から見て記事にしました。まず、行動目標についての定義、そして、その定義に基づいた事例。具体的には、計画、実行、結果について、二つの営業部門の事例を参考に、行動計画の書き方・立て方を述べます。

行動目標の定義

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

行動目標とは、企業人で言うならば、個人に課せられた役割を果たすために必要な行動の指標のことをいいます。この場合、まず役割というものは、個人が自身で決められるものではなく、管理職が組織の使命に照らし合わせて割り付け、個人に付与するものです。

行動目標は、まさしく読んで字の如く、行動することについての目標あるので、「この役割について、このような行動を起こしてほしい」という管理職サイドからの要望というものはあります。

しかし、一方で役割を受けた部下サイドからは、自分としてはこのように行動してみたいという欲求があり、時としてここで行動目に対する不一致を見い出すことができます。この場合、双方が行動目標の不一致を認識しておればよいのですが、そうでない場合、期待した結果が異なることが予想されるばかりではなく、行動そのものが上司から見た場合、相手への不信感となって表れ、評価に表れることが考えられます。

しかし、一方で、受け手の部下サイドにしてみたら、なぜ理解してくれないのかという思いが残ります。これは、上司に対する不信感にもつながり、人間関係を壊すことにもなりかねません。

行動目標を考えるにあたっての問題点


実は、ここに行動目標ということを語るのに難しい問題があります。なぜならば、通常は業務目標というものがございます。「今期の目標は、売上〇〇億」というものが業務目標です。しかし、普段の業務の中で、業務目標というものを常日頃考えることはあっても、行動目標というものについて考えることはありません。

もう少し異なる視点で考えてみますと、会社によっては、企業理念に基づいて、行動指針、或は行動理念というものが設定されている場合がございます。実は、行動指針とか行動理念というのは、社員の行動における考え方を示すものであって、それ自身は指針とはなっても、具体的な目標に落とし込むことはなりにくいです。

以上、行動目標を考えるに当たり、あるいは分かって使っているようでいて、実はもうひとつ分かりづらく、そして業務目標や行動指針に比べて、行動目標という語句の曖昧さが業務のレベルアップにおけるアキレス腱になっています。

行動目標の具体的事例

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

ある営業部門における業務目標

それでは、行動目標について理解を深めるために、ある営業部門の事例を挙げてみたいと思います。その営業部門部の構成は、部長1名、部長代理2名、主任4名、営業担当16名の計23名の職場です。この部門の業務目標は、「今年度受注100億円」。

また、営業部長自ら、営業の行動指針として、「顧客第一主義」を掲げています。しかし、行動目標についての言及はありません。

営業部長方針

営業部長は、部長方針を説明するために、営業部長代理2名を呼び、2人に対して、営業主任から営業担当まで20名に対して、受注額の割り付け(ノルマ)を課すように指示しました。加えて、ふたりの部長代理の目標となる今年度の受注額は、A部長代理が60億、B部長代理が40億と伝えました。

尚、組織体勢は、A部長代理には主任が2名、営業担当10名が配置されています。一方の、B部長代理には、主任が2名、営業担当が6名が配置されています。

各部長代理は、この営業部長の方針を受けて、それぞれ配下の主任から部下を集め、別々に会議を開きました。

営業部長代理主催の会議

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

●A部長代理チームの会議

まず、一人目のA部長代理のチームの会議では、A部長代理から、業務目標として今年度の受注金額が60臆であることが告げられ、更に前年度実績を考慮の上、個々の顧客から今年度はどれくらい受注を取れるかを算段してもらうように指示しました。

その会議の時に、A部長代理は、主任~担当者から各々の現在の状況を聞きました。部員からは、「昨年度の受注が50億であったことを考えると、前年度比125%は、かなり厳しい」という声が上がりましたが、A部長代理は「そこは、主任が強いリーダーシップを発揮し、各担当も足しげく顧客の訪問回数を増やして、業務目標を達成してほしい」という決め台詞で締めました。

会議後、各担当者から「訪問回数を増やして受注が取れるならラクなものだ」という皮肉とも取れる陰口が叩かれましたが、「いつものこと」と、ことさら問題として捉えることもなく、日々の業務に移っていきました。行動目標ということに関して言えば、実はないのにも等しいです。せいぜい「行動目標くらいは自分で考えて設定しろ」が、A部長代理の思いでしょう。

●B部長代理チームの会議

会議の冒頭、40億という目標の伝達がなされたこと、同時に主任から担当者まで現在の状況から察して、かなり困難な数字であると認識しているところまでは、A部長代理チームの場合と同様でした。ここのチームもやはり前年度の実績よりも25%上積みされた数字が提示されており、主任以下は寝耳に水という気持ちでB部長代理の指示を聞いておりました。

会議後、再度目標達成のための検討会議が開かれました。

営業部の活動:A部長代理チームのケース

●A部長代理チームの営業活動

A部長代理からは「主任の強いリーダーシップのもと、各営業担当は、顧客の訪問回数を増やして業務目標を達成するように」という指示でしたが、それによって何か具体的に変わるということはございませんでした。一応、主任からは「今期は125%でやらなきゃならないからガンバレ」と檄が飛んだくらいです。

その主任の指示を受けた担当者の反応は、「従来どおりやるしかないだろう」「自分でやったみたいことがあるから、やってみよう」「どう動いてよいのかわからない」等、様々な思いが過りました。

しかし、若手の場合は、まだ売るべき製品の知識も浅く、当然、顧客のこともよくわかっていないため、経験値も不十分であり、「どう動いてよいのかわからない」という声が多かったです。とにかく、例年通りの営業活動でスタート致しました。

営業部の活動:B部長代理チームのケース

●B部長代理チームの営業活動

B部長代理チームのほうでは、すぐに部長代理を筆頭に検討会議がなされました。それは、今までの受注の取り方についての振り返りです。まず、模造紙を広げて縦軸に顧客名、横軸に年度が入ったマトリックス表を作り、表の中には受注金額を埋めていく作業を始めました。

これにより、各顧客別の受注金額の推移が見てとれます。この表からわかったことは、「受注が落ちている顧客」、「変動の激しい顧客」、「受注が上昇している顧客」、「スポット的に買ってくれる顧客」、「安定して受注を頂ける顧客」等の様々な特性が見て取れるようになりました。

この表を見たB部長代理は、年度ごとの担当者と上司の名前を入れてみました。但し、B部長代理は、各人に対して「数字の上昇や下降するのをみて、各人の良い悪いという議論をするつもりはない。人事考課を蒸し返すようなことが目的ではないから」という前置きしました。この表からB部長代理は、営業活動の進め方をみんなで考えるように指示しました。

マトリックス表から見えてきたこと

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

●マトリックス表からわかった営業活動の特徴

受注が上昇する顧客の原因は、次の三点が挙がりました。
「顧客の業績がよい」、「顧客のニーズを理解した提案をしている」、「各組織を連携した活動を推進している」の三点です。

受注が減少する顧客の原因は、次の三点が挙がりました。
「顧客の業績が低迷している」「注文を頂けるまで待っている。則ち、受身体質」、「何も考えず、前回と同様な製品を売っている。思考停止。工夫がない。」

・受注の変動が激しい顧客の原因は、次の二点が挙がりました。
「顧客が参入しているマーケットの変化が激しい」「先を見越した提案について当たり・外れがある」「変化が激しいという先入観で営業の訪問頻度がバラバラ」

・「安定して受注を頂ける顧客」については、深い信頼関係が長年にわたって構築できているという理由がメインでした。

・「スポット的に買ってくれる顧客」の原因は、確たる原因がつかめませんでした。B部長代理も、ここの顧客分析は諦めました。全受注額に占める割合が年度ごとの移動平均で見ても、5%前後なので、ここに注ぐだけのパワーはもったいないと思ったからです。

営業部の活動:その後  A部長代理チーム

●A部長代理のチーム

さて、A部長代理のチームですが、例年通りの活動をしていました。しかし、例年通りの活動ですから、例年の数字が多少数字が上下する見込みはつかめましたが、125%という目標に到達するとは難しいことが分かってきました。それが分かったのは期の半ば過ぎてからです。

実は、月次のグループ会議では、「この顧客は受注確度が高そうだ」という報告が部下から挙がってくるのですが、実際の所、その確度は営業担当により、あるいは製品により、まちまちであり、A部長代理は「どうみても甘い」と思うようになりました。焦りを感じてきたA部長代理は、更に檄を飛ばして、部門に喝をいれました。このときの部員の反応は、冷やかでした。

上司のからの怒りの弾丸が通り過ぎるまで耐える者、萎縮して思考停止状態になる者、面従腹背と決め込む者。組織として分裂です。

営業の活動:その後 B部長代理チーム


●B部長代理チーム

チームでマトリックス表を作って、営業活動の成功・失敗等の要因分析をポストイットに記述し、貼りだしてみんなで閲覧しました。
その結果、それぞれの顧客に対して、どういう営業活動をすればよいのかが分かってきました。また、現在行おうとしている営業活動に対する改善も見えてきました。そして、「こういう営業活動がよい。それができることが望しい」と思うものを、行動目標と致しました。

個別の顧客に相応しい営業活動ができることを行動目標とするというアプローチは、非常にわかりやすく、特に若手営業担当者に対して、「これが営業の行動目標なんだ」というものが明らかになったため、人材の育成にもつながりました。

行動目標における様々な看護について

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

行動目標は示して、その後どうなったかということについて、二つの事例を見てきました。この行動目標をどうつくり、どう実行するかということを見守っていくかという、「看護をする姿勢」はとても大事です。管理者の中で、この一連のプロセスを「看護」することと、「看過」することを間違えている場合がございます。この区別をしっかり見分けて行える管理者になりましょう。

行動目標の書き方

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

行動目標の書き方

さて、行動目標の書き方について申し上げます。上記の事例は一例ですが、B部長代理チームのマトリックス表の分析によって、「顧客別に見た望ましい営業活動」が明確になりました。どういう行動を取っているか。その行動を身に付けることが受注目標の達成の道となるわけです。
それは、成功事例だけでなく、失敗事例も参考にできます。自分が取っていた行動が失敗パターンに一致しているとしたら、その失敗バターンを採らないことが行動目標になります。つまり、良い見本となる行動・見直すべき行動と現在の自分の行動を照合して、行動目標を定めるのです。
例えば、受注が上昇している顧客の要因分析のひとつに、顧客のニーズを捉えるとありましたが、この言葉そのものは誰でも知っています。その行動はどういうものかを知り、それを自分の行動の目標として認識した時にそれが行動目標になるのです。
但し、前提として、上司と擦りあわせをして認めたものであることが望ましいです。行動には、個人の特長が反映があります。例えで言うならば、富士山を登るのに、山中湖から行く道もあれば、須走から行く道もあるのと同じようなことです。

行動目標の承認

但し、自分で作った行動目標ができれば、それで完了というわけではありません。自分が作った行動目標に対して、管理者の承認が必要です。擦りあわせた後に承認という行為は必要です。
その行動目標の道筋は、上長が認識していることで、正しい導きや適切なアドバイスが得られるのです。事前に上司に見てもらうことで、行動目標のブラッシュアップを図っておくとよいです。

行動目標の立て方

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

宣言文としての行動目標

3項で書いた行動目標ですが、それ自体は言葉としての宣言文にしかなりません。「顧客のニーズをつかむ」ためにはどうするか。
それには、顧客と会話する。顧客のビジネスを知る。顧客の競合を知る等、色々な方法が思い浮かびます。これらを見て、どの方法をどの順番で、どのタイミングでやるかを考えます。もちろん、自分の行動目標として相応しいものを選ばないといけません。
なぜならば、どんな素晴らしい行動目標でも、現段階の自分のスキルでは到達しえないものであるならば画餅に終わります。もし、そうであるならば、それができる人とタッグを組みましょう。そうすることで、自分のスキルが乏しくても、それを補う「相棒」がいるので、失注する可能性が減少します。

行動目標のリスク対策

上記のように、受注獲得のための行動目標を書いても実行レベルでは、そんなにキレイに物事が進むわけではありません。顧客も機械ではないのですから、常に変化します。そういう意味で、行動目標はある程度柔軟に考えておいた方がよいでしょう。金科玉条のように頑なに守ると言うのは危険です。コンティンジェンシーを常態の姿としてみておくとよいのです。

従って、この行動目標を実行するにあたり、社内外の環境変化を見つつ、環境に適応するように実行していくとよいのです。むろん、これは簡単なことではありません。しかし、独断と偏見で突っ走っては、せっかくの行動目標も頓挫します。かならず、職場で、あるいは他部門と、そして社内外の変化を十分吟味したうえでリスク対策を行うとよいと思います。

具体的には、まず上司との擦りあわせを考えましょう。むろん、事前に同僚との意見交換からも貴重なアドバイスをもらえるかもしれません。また、その際、お互いが社内外の状況の確認をして合意したものがあるとベターです。

摺り合わせの第一歩目は、上司に週報等で、報告しておくとことです。この報告が途切れたり、していなかったりすると、この間のプロセスがそのまま抜けてしまいますので、上司も適切な助言ができないことがあります。報告は義務です。

目標をつなげていく

行動目標とは|行動目標の立て方・成果目標、結果目標との違い

以上のことをまとめてみます。これまでのプロセスを見て頂くと、「行動目標」とは、(受注獲得のような)業務目標を達成するための手段という位置づけということがわかります。そして、行動目標をやりきった結果、その出来がどうであったかを確認することが成果です。加えて言うならば、「行動目標」とは、「成果目標」につながるものであるとよりよいです。

人事考課という面から見ますと、受注金額のような定量的な数値による評価のほうが評価としては簡便です。しかし、これだけは単なる「結果目標」の達成度についての評価に留まり、公正且つ育成のための人事考課とはなりません。

そこで、「行動目標」の達成度も「成果目標」として活用することで、育成に役立たせることができます。その結果として、「結果目標」が達成するプロセスが望ましい姿です。

「行動目標」を基軸にして、「成果目標」「結果目標」を考えていく、こういう姿勢を堅持して取り組んでいきましょう。

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