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フレーミング効果がわかる例・事例|論文/本/心理学/日常

更新日:2020年08月28日

「フレーミング効果」という言葉を聞いたことがありますか。フレーミング効果は、あなたの身の回りで溢れんばかりに利用されています。それは焼肉屋の「特上カルビ」であったり、選挙中に連呼される「今回は政権選択選挙なのです」というキャッチフレーズであったりします。

フレーミング効果がわかる例・事例

フレーミング効果とは、人間がある選択を行う際、その絶対的価値ではなく、相対的な価値に基づいて行う傾向にあり、そして、しばしば理に適っているとは言えない選択を取るという理論です。

とはいってもイメージしにくいので、さっそくフレーミング効果がわかる例をいくつか挙げていきましょう。それぞれの例を見ていくと、すぐにフレーミング効果が理解できます。

マーケティングにおいてのフレーミング効果の例

フレーミング理論は、マーケッティング理論としても利用されています。例えば、あなたが焼肉店を営んでおり「上カルビ」が最も利益がでるので、売り上げを伸ばしたいとします。この場合、もし、「上カルビ」と「カルビ」しかない場合、「特上カルビ」を加えるとフレーミング効果があるとされています。

なぜなら、「上カルビ」は「特上カルビ」に比べると、それほど贅沢をしている訳ではないという心理的な障壁を取り除くことになりますし、値段を比べてもリーズナブルに思えてきます。「特上カルビ」があることで「上カルビ」が相対的に手が届く、お得な商品に変わりました。このように、売りたい商品にフレーミング効果で誘導することができます。

印象操作

「印象操作」という言葉は、一時期国会で安倍首相が連呼していましたが、これによってご自身の印象が悪くなっていったことは記憶に新しいところです。フレーミング効果には、「印象操作」という側面もあるといえるでしょう。

保険勧誘の例

印象操作といっても、人間は「損失回避」が優先されるという傾向がベースになっているところが、重要なポイントです。次の例は、言い回しを変えるだけで、人の行動にも変化を与えることができることを示しています。

A:もし病気になったとしても、保険に入っておけば安心だ
B:いつ病気になるか分からないから、保険に入っておいたほうが良い

このような場合では、統計によるとBの方が保険に加入する人が増えることが分かっています。つまり、恐怖感を与えた方が、フレーミング効果が起きることで人間は行動しやすいという習性を利用している訳です。この場合、保険自体の価値は全く変わっていませんが、恐怖感にフォーカスさせるほうが、より保険の価値が相対的にアップするという事例です。

フレーミング効果であまり露骨に恐怖心をあおると、逆に不快感が増してしまうので、CMなどでは巧妙に恐怖心をあおって行きます。例えば、今は回復したけれど、一時は生命が危ぶまれるほどのガンを患った人などが登場します。また、健康番組では視聴者を獲得するために、「これを食べるとメタボになり、寿命が減るから、○○を食べた方が良い」などのフレーミング効果の手法を取ります。

フレーミング効果についての論文

先ほどの例で、フレーミング効果について、おおよそ理解していただけたことでしょう。ここから、さらに掘り下げていきましょう。

フレーミング効果は、「認知バイアス」のひとつと位置付けられています。認知バイアスに関する重要な研究成果にプロスペクト理論があります。1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって論文が発表され、この功績でダニエル・カーネマンはノーベル賞を受賞しています。

プロスペクト理論

プロスペクト理論を説明するために、以下の質問を読んでみてください。そして、AとBどちらを選んだか覚えておいてください。

【質問1】
A.無条件で100万円がもらえる。
B.サイコロを振って、偶数の目が出たら200万円もらえる。

【質問2】
あなたには200万円の借金があります。

A.無条件で借金を100万円にしてもらえる。
B.サイコロを振って、偶数の目が出たら借金はチャラ、しかし奇数の目なら借金の額はそのまま。

いかがでしたか。質問1ではAを、質問2ではBを選んだのではないでしょうか。安心してください。あなたは正常な人間としての行動を取りました。しかし、数学的に考えると認知バイアスの罠に落ちています。

リスク回避

実は、先ほどの質問では、「期待値」は変わりません。期待値というのは、永遠に試行すると収斂する結果のことで、例えばコインの表が出たら1万円、裏がでたらマイナス1万円というルールの期待値は、±0円です。

先ほどの質問では、期待値は100万円になるということはお分かり頂けるでしょう。にもかかわらず、質問1ではAが「正しい選択」だと考えますし、質問2ではBが「価値ある選択」だと誤認識します。一体なぜでしょうか。

質問1では、確実にもらえる利益に目がくらみ、この利益を失うことを恐れてAを選択します。質問2では、本来ギャンブル性が高いにもかかわらず、借金というすでにあるリスク・痛みから逃れようとBを選択します。この理論をさらに理解するために、次の例を挙げます。

株式投資とプロスペクト理論

株式投資で成功を収めることのできる人間の割合は1割と言われます。実際のところ、継続して勝ち続ける人間はさらに10分の1になるのではという説もあります。つまり90%~99%の人間は株式投資において「負け組」です。これは、なにも個人投資家が情報弱者であるということではありません。また、テクニカル分析やファンダメンタル分析が足りていないというわけでもありません。

大手ファンド会社でも、ほとんど知識がない若者がトレードを行っている場合がありますが、それほどひどい負けは喫していないというデータがあります。また元FRB議長のグリースパンでさえ「近い未来ですら70%の確率でしかマーケットの行方は分からない。しかし、それを誇りに思う。」と述べていますから、マーケットの行方を誤るのは何も個人投資家だけとは限りません。

「負け組」は必定

では、なぜこのような結果になるのかというと、プロスペクト理論に沿った人間の傾向があるからです。つまり、例えば、あなたが購入したトヨタ株がアベノミクスでぐんぐん上昇すると、「この利益をとられてたまるものか、きっとここが天井にちがいない」とすぐに利益を確定してしまいます。そして、さらに上昇していくのを見て、悔しがります。

また、とある仕手株を購入したあなたは、ナイアガラのように下落する価格を見ながら、損切りを確定することはできません。なぜなら損切りを確定したら、リスクが現実に確定してしまうからです。この愚かな判断によって、永遠の「塩漬け株」のでき上がりです。

こうして、人のお金を運用しているウォール街のルーキーたちは肝を冷やしつつ、しっかりとリスク管理をすることができますし、FRB議長は冷静な理論的な判断を下すことが、概して多いでしょう。もちろん世界最高レベルのFRB議長と、株式初心者を比べるのは乱暴ですが、負けるには根本的な理由があるということです。

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初回公開日:2017年11月07日

記載されている内容は2017年11月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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