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2018年04月27日

給与控除の計算方法・項目一覧・平均金額・メリット・デメリット

給与控除という言葉はご存知でしょうか。毎月の給与明細を見ると、収入(支給)金額は多いのに、税金をはじめ差し引かれている項目も多く、手取りが少ないのではと疑問を持たれる方も多いでしょう。今回は、給与控除を中心に給与について改めて考えましょう。

給与の支払い額と手取り額の違いは?

サラリーマンにとって毎月の給与やボーナスは、普段の労働の対価として支給されるたびに喜びを覚えると同時に、さらに頑張ろうというモチベーションにも繋がるものです。

ところが、よくよく給与明細書を見てみると、支給総額は多いのに、所得税をはじめとしてたくさんの項目で給与控除がされていて、手取り額が少ないことを嘆く人も多いでしょう。

そこで、どのようなものが給与控除されているのか、それはどのような規定に基づくものなのかについて見ていきましょう。

給与控除の項目の一覧は?

それでは、一体どのようなものが給与控除されているのか見ていきましょう。

所得税!

まず、給与控除されている代表選手が所得税です。日本では、個人の所得に対する税金、則ち所得税については、原則として、個人が所得を申告し納税するという「申告納税方式」が採用されています。

ところが、全ての国民がこの方式を採用するのは事実上困難です。理由の一つ目は、納税者と税務関係職員の手間とそれにかかるコスト、いわゆる効率性の問題からです。

二つ目は、技術的な問題です。税制は毎年のように変更されます。全ての納税者がこれを正しく理解し、申告納税できればいいのですが、これも難しいでしょう。結局計算ミスによる所得税の過不足や申告漏れなどにもつながってしまいます。

そこで、1940年に、給与などの支払いを行う事業主が、個人に代わって所得税を国に納付する「源泉徴収制度」が導入されました。会社に勤める個人は、自分の所得税を毎月給与控除され、それを事業主が国に納めています。

住民税!

次に給与控除されているのが住民税です。住民税は前年の所得に応じて課税されるもので、納付先は、課税される年度の属する1月1日現在の市区町村・都道府県です。サラリーマンのN年度の住民税は、N年の1月1日に住んでいる市区町村・都道府県に支払うことになりますが、N年度の税金は、N年の6月から翌年の5月までの12回に分割して給与控除されて納付されます。

このように、給与控除の方式によって給与から天引きして住民税を支払う方法を「特別徴収」といい、個人が直接市役所などに納付する方法は「普通徴収」といいます。事業主が個人に代わって税金を納めるという意味では、先の所得税と同じと考えてよいでしょう。

住民税には「所得割」と「均等割」の2種類があります。所得割の税率は市町村民税が6%、都道府県税が4%、均等割は自治体によって若干の差がありますが、標準は市町村民税が3,000円、道府県民税が1,000円です。

保険!

給与控除の計算方法・項目一覧・平均金額・メリット・デメリット

給与控除される3つ目は各種の保険です。いくつかに分類してみていきましょう。

健康保険!

まず給与控除される保険に健康保険があります。健康保険はサラリーマンなど組織に勤める個人が、病気やけがなど不慮の事態が発生した時に保険の給付が行われる制度です。日本は「国民皆保険制度」を導入しており、全ての国民は保険の適用を受けることができますが、自営業者などの場合は「国民健康保険」に加入しています。

サラリーマンの場合も、会社によって「全国健康保険協会」と「健康保険組合」の二つの保険者に分類されます。健康保険料の算出の基になるのが「標準報酬月額」です。「標準報酬月額」は個人の4月から6月の給与の平均です。

この「標準報酬月額」に健康保険料率をかけ得られた額が健康保険料となります。ここでの留意点は、健康保険料は個人が全額を支払うのではなく、事業主も二分の一を負担するという事です。これを「労使折半」といいます。個人は保険料の二分の一を給与控除され、事業主が組合に納付します。

介護保険!

次に、給与控除される保険が介護保険です。日本は超高齢社会になっていますが、高齢者等の状態に応じた適切な介護等を受けられるようにするための相互扶助制度が介護保険制度です。サラリーマンの場合は40歳以上になると被保険者となり、保険料として給与控除されます。

介護事業にかかる費用については、国や地方自治体が50%、被保険者が50%を負担することになっています。介護保険料も標準報酬月額に保険料率を乗じて得た額となりますが、これも「労使折半の原則」が適用されます。個人の保険料は給与控除され、事業主の負担分を足して組合に納付するという事になります。

厚生年金!

次に、給与控除される保険は厚生年金です。年金とは、サラリーマンなどの老後の生活や障害、死亡など不測の事態に陥った時に保障給付される制度です。自営業者などの場合は「国民年金」加入しますが、サラリーマンの場合は「厚生年金保険」と「国民年金」の両方に加入しており、その合計金額が支給されます。

厚生年金の保険料についても、標準報酬月額に保険料率をかけて得られた額になり、やはり、「労使折半の原則」が適用されます。個人の厚生年金保険料は給与控除され、事業主負担分を合わせて社会保険事務所に納付されます。

また、企業によっては、これら公的な年金以外に独自の「企業年金」制度を導入している所もあります。このような場合は、国民年金、厚生年金に上乗せして企業年金が受給できます。給与控除されて負担にはなりますが、老後の保障が手厚くなります。

雇用保険!

次に、給与控除される保険が雇用保険です。雇用保険は、働く人が育児や介護などの理由で休業し、給与等が一定の額を下回った場合に、これを補填するために給付したり、失業した場合に基本手当などを支給することによって、雇用の安定と失業者の再就職を促す制度です。

雇用保険の保険料は、毎月の給与の総額に労働者が負担する雇用保険料率(0.3%)と事業主が負担する雇用保険料率(0.6%)をそれぞれ乗じて得た合算額となります。給与控除された個人の雇用保険料と事業主負担分を合算して国に納付されます。

研修!

ここまでは、法律等で規定されている、言わば公金の給与控除という観点から整理してきました。ここからは、給与控除が個人の任意によって行われるケースを見ていきましょう。

まず、最初に研修にかかる費用です。研修が会社からの業務命令的に発出される場合は、業務の一環となるので全額会社負担となりますが、受講の判断が個人に委ねられていて、かつ会社にとっても利益があるような場合、会社との合意(労働規約や就業規則に明記が必要)によって自己負担分を給与控除する場合があります。

生命保険料!

給与控除が想定されるものに個人の生命保険料があります。サラリーマンなら誰でも、生命保険の猛烈な加入勧誘セールスにあった人も多いでしょう。ほとんどの企業の場合は、個人の生命保険料についても生命保険会社と連携して、毎月の生命保険料を給与控除するという事務を行っています。

貯金など!

これも任意ですが、給与控除されるものの一つに個人の預貯金などがあります。企業によっては、金融機関と連携して、通常よりも高い利率を設定している場合や財形貯蓄、社員持ち株使度など福利厚生的な事業を自死している場合があります。個人の希望に応じて何らかの積み立てが行われる場合は、給与控除の対象となります。

給与控除の計算方法は?

ここまで控除される主な項目を見てきました。それでは、それぞれの計算方法について見ていきましょう。

所得税の給与控除計算は?

まず、所得税の源泉徴収の計算方法についてです。税額算出の基になるのは、「その月の社会保険料等を控除した後の給与等の金額」です。これを法定されている「源泉徴収税額表」と照らし合わせます。

源泉徴収税額表の横のマトリクスには扶養人数が示されていますので、給与等の金額と扶養人数をクロスさせたところの金額が、当該月における源泉徴収税額になります。例を挙げてみましょう。「社会保険料等を控除した後の給与等の金額」が20万円で、扶養家族がいない場合、源泉徴収税額表を参照すると4,770円です。

また、給与等の金額が同額でも、扶養親族等が1人いる場合は3,140円です。

住民税の給与控除計算は?

次に住民税です。住民税には「所得割」と「均等割」の2種類があることはお示ししました。このうち、均等割の標準は、市町村民税が3,000円、都道府県民税が1,000円で地域によって多少ばらつきがあります。一方の所得割は、個人の課税総所得金額によって変わってきます。

例えば、課税総所得金額が20万円の人の場合、市町村民税は20万円×6%=12,000円、都道府県民税は20万円×4%=8,000円となり合計2万円です。均等割と所得割を合算した額は24,000円となりますので、これを12で割って得た額、すなわち2,000円が毎月給与控除される住民税となります。

健康保険・介護保険・厚生年金の給与控除計算は?

次に、健康保険・介護保険・厚生年金の給与控除について見ていきましょう。これらの保険料に共通するのが標準報酬月額という概念でした。この標準報酬月額によって保険料が決定しますが、その時に参照するのが、都道府県別に作成されている「保険料額表」です。

例えば、東京の会社に勤めていて「協会けんぽ」の組合に属し、標準報酬月額が20万円の人の場合、健康保険料と介護保険料について、40歳未満なら介護保険料がかからないので19,800円、40歳以上65歳未満の場合は、22,940円となります。これを労使折半するので、個人負担はそれぞれ、9,900円、11,470円となります。

また、同様のケースにおいて、厚生年金保険料は36,600円ですが、これも労使折半して個人負担分は18,300円となります。

雇用保険の給与控除計算は?

次に、雇用保険の給与控除額についてです。雇用保険は給与の総額に対して、個人と事業主が、それぞれ0.3%、0.6%の割合で負担することは見てきました。

そこで、給与総額が20面円の人の場合、個人の負担額は20万円×0.3%=600円、事業主負担は20万円×0.6%=1,200円となり、600円が給与控除されることになります。もちろん、この額はその月の給与等や賞与の支給などによって変動します。

給与控除の規定は?

給与控除の計算方法・項目一覧・平均金額・メリット・デメリット

社員等に対する賃金については、労働基準法で「賃金の全額払いの原則」が定められておりその全額を支払わなければなりません。ただし、法令に定めがある場合や労使協定が存在する場合などについては、給与等から控除することができます。

法令の定めがある場合とは、所得税や住民税、各種社会保険料などで、それぞれ、所得税法や地方税法、健康保険法、厚生年金保険法などがあります。

一方、その他の給与控除についてですが、過去に出されている行政通達では、労使協定による賃金の控除は「社内預金や組合費等、事理明白なものについてのみ、労使の協定によって賃金から控除することを認める」としています。このことから、労使双方で十分理解と納得を得ていることが不可欠といえます。

給与控除のメリット・デメリットは?

それでは、まず給与控除のメリットについて見ていきましょう。メリットの一番は何といっても手間が省けるということです。所得税をはじめ各種社会保険料など、専門的知識が必要な事項について、全て事業主が代行してくれるわけですから基本的にミスもないでしょう。

また、生命保険や貯金など私的なものの控除にしても、本来なら自分で処理すべき納付行為を人事担当が代行するので、とても便利な制度であると言えます。

一方、デメリットもあります。特に税金については、自動的に給与控除されることから、納税者意識が希薄になりがちになるという事です。税金の使われ方についての関心が低さが、政治的無関心につながる危険性があります。また、あまりに会社任せになってしまうと、知らぬ間に違法な給与控除が行われていたという事にもなりかねません。

給与控除の仕組みを知って権利も知ろう!

給与控除の計算方法・項目一覧・平均金額・メリット・デメリット

ここまで給与控除について見てきました。法定の公金をはじめ、私的な性格のものまで数多くの控除要素があります。このことをあまり意識しないということは、控除の先にあるさまざまな権利自体を放棄することにも繋がりません。税や社会保険など各種制度についても知識を持って、的確なライフプランを立てるようにしましょう。

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