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「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

初回公開日:2017年07月13日

更新日:2017年09月11日

記載されている内容は2017年07月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

日本語は「同音異義語」が多い言語だと言われています。例えば「はし」という言葉は、微妙に発音の仕方が異なるものの「橋」「箸」「端」「嘴」など、ひらがなで書くと違いが分かりにくくなってしまいます。「そう」にも「沿う」「添う」「副う」があり、正確に用いるための豆知識をご紹介します。

「期待に沿う」「期待に添う」「期待に副う」

何か文章を書くとき、「期待にそう」に対して「沿う」「添う」「副う」のどれをあてがうのか悩んだことはありませんか。もともと漢字は中国で生まれたものであり、それに和語を当てはめた段階で無理のある部分があります。

「沿」「添」「副」は漢字ではそれぞれに別個の発音と意味があるのですが、これを和語の「そう」ひとつに集約しているため混乱が生じるのです。他に似たような意味で「期待に応える」という言い回しもあります。具体的に「期待に沿う」期待に添う」「期待に副う」はどれが正解なのか、どういった違いがあるのか調査してみました。

「期待に沿う」の意味は?

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

「沿う」という言葉には、もともと「何かを伝っていく」「何かをかこうように線を引く」などの意味があります。沿線、沿道などが熟語としてあります。ここから派生して、「目的から外れないようにする」という意味があって、「意向に沿う」、決定事項などに従うという意味で「決定事項に沿う」という使われ方があります。

ただし辞書によっては「期待に添う」と表記しているものもあります。

「期待に沿う」を含めたよく使われる表現

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

繰り返しになりますが、「期待に沿う」とは、ある目的から外れないようにすることです。従って、「ご期待に沿うよう頑張ります。」「ご期待に沿うことが出来ませんでした。」といった使われ方をします。また、「意に沿う」「希望に沿う」といった使われ方をします。

「ご期待に沿うことが出来ず~」

「選挙期間中は多大なるご声援、誠にありがとうございました。残念ながらご期待に沿うことはできませんでした。」選挙に当選する目的から外れてしまったという意味で使われています。

「ご期待に沿えるよう~」

「このたびはご応募誠にありがとうございました。ご期待に沿えるように努力して参りたいと思います。」といったように、肯定的な意味でも使われます。

「期待に沿う」と「添う」、「応える」の違いと使い分け

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

冒頭にも書いたように、もともとは中国語すなわち漢字で書かれていた「沿」「添」を和語の「そう」に当てはめているので、その解釈を難しくしています。

例えば「さわやか」を漢字で書くと「爽」となりますが、日本人には「爽」よりも「さわやか」の方がしっくりときます。そのものの持つ意味を「理性」ではなく「感性」にストンと落ちる、心に溶け込む感じがするのです。

少し脱線しますが、「さわやか」を英語で表記しようとすると「爽やかな味」なら refreshing や fresh、「爽やかな朝」なら crisp 等となるのですが、どうもしっくりきません。「 fresh」は「新鮮」という意味が先に連想されますし、「crisp」は「乾燥した」ような意味を連想してしまいます。

そもそも「期待に沿う」と「添う」、またよく似た意味の「期待に応える」はどういう違いがあり、どのように使い分けるのでしょうか。

「期待に添う」とは

「期待に沿う」は前述の通りです。ここでは、「期待に添う」を解説します。

「添う」は「くっついて離れない状態」、「付き加わる」ことを意味しています。従って「付き添う」「連れ添う」「寄り添う」などと使われます。また音読みでは「添付」「添加物」などと書きます。

従って「期待にそう」に当てる漢字は、人の期待に外れずに目標に向かう、という意味で「沿う」であることが多いのですが、辞書などによっては「添う」と書かれていることもあります。目標から離れずにいる状態、いた状態を表していると考えればこちらも矛盾がないように思えます。

「期待に応える」とは

「期待に応える」も似たような意味で使用しますが、この「応える」には、「持っている能力や機能を発揮してよい影響を与える」という意味があり、「役立つ」「貢献する」「力になる」「戦力になる」などが類語として挙げられます。「大きなプロジェクトを担当することになりましたが、期待に応えるよう努力します。」などと使います。

ちなみに「期待に応える」の「応える」を「答える」と当てる方がいます。「答える」には先ほどの「役立つ」「貢献する」といった意味はなく、「期待に応える」が正しいと言えます。

「期待に応える」と「期待に沿う」はどのように使い分ける?

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

「期待に沿う」を含めたよく使われる表現

「期待に応える」と「期待に沿う」はよく似ているようですが、微妙に意味が異なります。「期待に応える」は、先ほどにも書いた通り、「役立つ」「貢献する」といった意味があり、能動的に自分の能力を発揮していこうとするという強い意志が感じられます。

その一方、「期待に沿う」は、周りの人の要望や期待があって、それに応えていこうという、やや受動的な意味合いを持っています。したがって、「期待に応えるよう頑張ります。」と言うと力強い感じを受けますが、「期待に沿うよう頑張ります。」というと、少し弱い感じを受けます。

逆にやんわりと断りを入れる場合には、「沿う」の方がしっくりします。「ご希望に沿うことはできませんでした。」というところを「ご希望に応えることはできませんでした。」では、強い断りの意味を持たせている感じがしてしまい、的確な文章とはなりません。

冒頭で少しふれた「期待に副う」は?

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

似たような意味で「期待に沿う」ではなく「副う」の文字を当てて「期待に副う」と書かれている場合があります。もともとの「副」は、「部長」に対する「副部長」のように「控えになる」「補佐する」「補助する」などの意味があり、そこから「付き従う」意味を持ち、「期待に副う」となりました。ただし、辞書などでも「添う」と「副う」が併記されていることが多く、違いがはっきりしませんが、最近では「副う」の使用は減ってきているようです。「副う(そう)」の読みは現在では常用漢字からは外れています。

「期待に沿う」以外の使用例

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

今回は、「期待に沿う」を中心に間違えやすい「そう」に対する「沿う」「添う」「副う」と、似たような意味の「応える」を述べてまいりましたが、これらは相違を見事に言い当てるのがなかなか難しいという印象です。

そこで、「期待に沿う」から少し離れて、別の言い回しで違いを表現できないか考えてみました。この文章にこれを当てはめてはおかしいな、という例文があれば頭の整理に役立つはずです。

「駅に行くために線路にそって歩く。」

「沿う」には「何かを伝っていく」や「何かをなぞって線を引く」などの意味がありますので、
①「駅に行くために線路に沿って歩く。
②「駅に行くために線路に添って歩く。
③「駅に行くために線路に副って歩く。
この例文に対しての答えは①であって、②③ではどうも腑に落ちません。

「母親の買い物につきそう。」

「添う」には中心となる人物がいて、それにくっついていく、離れないという意味がありますので、
①母親の買い物に付き沿う。
②母親の買い物に付き添う。
③母親の買い物に付き副う。
この例文に対する答えは、当然ながら②であって、①③ではしっくりきません。

「沿う」と「応える」の違いが分かる例文

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

会社で何か重要なプロジェクトを任されたとしましょう。上司から「頑張ってくれよ。」と言われたときに、

①「ご期待に応えるよう頑張ります。」というべきでしょうか。
②「ご期待に沿うよう頑張ります。」と答えた方がよいでしょうか。

この場合、より力強い印象を受けるのは①ではないでしょうか。「ご期待に沿う~」では受動的な感じを与えてしまいます。したがって、この場合には、「ご期待に沿う」よりも「ご期待に応える」の方が適切と言えます。

では、「ご期待に沿う」の「沿う」は遣いづらいのでしょうか。実はビジネスシーンでは、柔らかく婉曲的な表現として重宝する言い回しでもあるのです。

「期待に沿う」は実は使いやすい言葉

「期待に沿う」の意味・「沿う」と「添う」、「応える」の違い

特に断りを入れる場合に「ご期待に応えることはできませんでした。」というよりも「ご期待に沿うことはできませんでした。」と言ったほうが、婉曲的ではありながらも、結局は要望や条件を飲むことはできないという意味を含んでいます。しかし相手方はそれほど強い言い回しではないので、あまり感情的にはなりにくい言い回しになります。このように、「期待に沿う」には利点もあります。

以上、これまで「期待に沿う」を中心に使い分けの分かりにくい「そう」について述べてまいりました。「期待に沿う」「期待に添う」「期待に応える」は同じようではありますが、微妙な違いがあるのです。
ぜひご参考にしていただければと思います。

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