北海道弁の「おささる」の意味と使い方・日光の三猿の意味
更新日:2020年08月20日
北海道弁の「おささる」の意味
標準語
北海道には「おささるは、非常に便利な言葉なので標準語にすべき」との意見を持っている方がかなりのパーセンテージでいらっしゃいます。Twitter上の日本語ハッシュタグ #北海道あるある でよく目にします。
日本語ハッシュタグとは、#記号と日本語で構成される文字列のことです。「#○○」と投稿すると検索画面で一覧できるようになって、同じ考え、経験、興味を有する人の間で意見交換がしやすくなるのです。Twitterユーザーから自然発生したルールで、Twitter Inc.への申請・登録は必要ありません。ただし、 #○○ の前後に半角スペースを入れる決まりがあります。
おささるの意味
北海道の方は「おささる」のニュアンスを良く理解していますので、日常会話の中に頻繁に登場します。「おささる」には、おおよそ次のような意味があります。
◆押すことができる(可能の意味を表す複合動詞)
◆押される(意図せず自然に押される意の自発的な動詞)
◆押ささっている(押された状態にあるの意)
日常会話でよく使用されるのは、他の言葉に置き換えられないことが考えられるでしょう。他の言葉に置き換えられない便利な言葉だからこそ良く使用されるのでしょう。
「おささる」は、「押す」と「刺さる」では?
ここまでくると「おささる」の本当の意味を考えたくなってしまいます。そこで「おささる」は「押す」と「刺さる」が合体したものではないかと考えられます。
◆押す➡おささる
◆刺す➡刺さる
押すも刺すも標準語です。これら2つの言葉が結びつくことによって「おささる」は方言であると位置づけられてしまったのでしょう。埼玉県には「ほだつ」という方言があります。「ほだつ」とはホコリがたつという意味です。ホコリがたつことを「ほだつ」と表現します。
以上は「おささる」という言葉の意味を日本語ハッシュドタグをもとに推測したものにすぎません。これから、いくつかの県・地方で「おささる」がどのように使用されているか検証していきます。
「おささる」を方言として使う地域
青森県
北海道の方言おささるは青森の津軽弁にもあるそうです。というよりも東北地方全般で使用されています。津軽弁での解釈は「動詞+さる」で、「自分の意志とは全然関係のない所でそうなってしまった」になります。
おささるは「押す+さる」で「押すつもりが無いのに間違えて押してしまった」という意味です。自然とそうなってしまった意味合いが濃くなります。
津軽弁で一番使われるのが笑わさるだそうです。次いで喋らさる、見らさる、行かさる、書かさる、などがあります。これらの津軽弁に共通しているのは「無意識のうちに○○してしまった」の時もあれば、「自分のせいではないという」責任転嫁的な意味も含んでいます。
笑わさるは、「知らないうちに笑ってしまった」「笑ったのはあんたのせい」という意味です。曖昧な表現ですがいかにも方言らしい柔らかさや優しさも感じます。ここまできて気が付きましたが。おささるという方言の意味を解く鍵はどうやら「さる」にありそうです。
岩手県
わんこそばや南部鉄器が有名な岩手県では、使い方のニュアンスがまた少し違って、例えば胸ポケットのスマートフォンが何かの拍子に通話オンになって誰かにつながってしまった時に、「ボタン押ささっちゃた、ごめん」と言います。
そのことばの使い方は、無意識の内にでも、誰かのせいでも、間違えて押してしまったとも違います。「自分の意志に反して勝手にそうなった」という意味で、通話オンになった相手もすぐ分かってくれるそうです。この微妙なニュアンスを伝えようとすることに方言のユニークさがあります。
東北地方
東北地方では微妙な地域差はありますが、おささるは日常会話の中で使用されています。標準語に置き換えるとピッタリの言葉はありません。やはり、押ささる=押してしまったでしょう。自分の意志は0%ではなく、少し意志があるようにも受け取れます。
初回公開日:2017年11月02日
記載されている内容は2017年11月02日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。