「語るに落ちる」の正しい意味と使い方・落語での使い方・例文
更新日:2020年08月20日
「語るに落ちる」とは?
日本語には、山のように多くのことわざや慣用句があります。日常的に口語で使うものではないので、中にはいつの間にかその意味が曲解されたり、誤解されて使われてしまっているものがたくさんあります。
「語るに落ちる」もそのうちの一つです。ぜひ、この記事を読んで正しい意味や使い方を学びましょう。
「語るに落ちる」の間違った使い方
正しい意味を勉強する前に、間違った使い方についてご紹介します。よく間違われるのが「語るほどの価値がない」「話す意味がない」「どうしようもない」という意味での使い方。「落ちる」という表現から「価値がない」「意味がない」という意味に受け取られ、このような誤用が広まったと考えられます。
あるいは「自分の言ったことで自分の首を絞めている」という意味でも使わることがあります。一見、正しいようにも思えますが、これも誤った使い方です。では「語るに落ちる」の正しい意味は何でしょうか。
「語るに落ちる」の語源・由来
「語るに落ちる」の語源は「問うに落ちず語るに落ちる」ということわざです。「問うには落ちいで語るに落つる」とも言います。デジタル辞書「コトバンク」から紹介します。
大辞林 第三版の解説
出典: https://kotobank.jp/word/%E5%95%8F%E3%81%86%E3%81%AB%E8%9... |
とうにおちずかたるにおちる【問うに落ちず語るに落ちる】
人に聞かれたときは用心して秘密をもらさないが、自分から語るときには油断して本音をもらしてしまう。
このことわざの前半が省略されて「語るに落ちる」のみが残ったというわけです。この時の「落ちる」は「価値がない」「意味がない」ではなく「白状する」という意味で使われています。
「落ちる」を「白状する」という意味合いで使うといえば、刑事ドラマなどで刑事が犯人を尋問して犯人が自供を始めた、というシチュエーションがわかりやすいでしょう。
「語るに落ちる」の正しい意味
「語るに落ちる」の正しい意味は「言わなくてもいいことを不用意に言ってしまう」ことです。自分で自分の言うことがコントロールできず「つい」「うっかり」しゃべってしまうという意味です。
この「つい」「うっかり」が、この言葉の要です。自分の意図と反してという意味合いになるので、どちらかといえばネガティブな状況で使われることが多いです。
ちなみに、前項で「自分の言ったことで自分の首を絞めている」という意味は、一見正しいようで間違いだと書きました。意味としては、同じように見えるのですが「語るに落ちる」はあくまで「語る」行為についての言葉です。「語るに落ちた」結果については、この言葉に含まれません。
「自分の言ったことで自分の首を絞めている」だと結果までを含んでしまうので、厳密にいうと違うとなります。この場合は「墓穴を掘る」などが当てはまります。
「語るに落ちる」の類語
「語るに落ちる」の類語としては「口が滑る」「口走る」「口を衝いて出る」などがあります。同じように「つい」「うっかり」しゃべってしまうことという意味です。次に、シチュエーション別での使い方の例文を挙げます。
「語るに落ちる」を用いた例文
・刑事ドラマの取り調べの場面で、犯人がうっかり口を滑らせてしまった時に、刑事が犯人に言う一言です。
「おまえ、語るに落ちたな」
・酒席で、相手がライバル企業の社員にも関わらず、酔っぱらって調子に乗ってしまい、口を滑らせたサラリーマンにライバル企業の社員が一言です。
「酒の力に負けて企業秘密をしゃべるとは、語るに落ちることはこのことだ」
・実は、親友の彼氏とこっそり付き合っている女性が、その親友から彼氏の愚痴を聞いている時に、
「うちの彼氏がほんと寝言がうるさくてさあ」
「あー、わかるわかる」
「え、なんでわかんの」
(しまった、語るに落ちた)
「語るに落ちる」を用いた例文を見る限り、なかなか日常的に使える文言ではないですが、これで「語るに落ちる」のイメージはばっちり掴めたのではないでしょうか。
「語るに落ちる」の落語での使い方
初回公開日:2017年11月22日
記載されている内容は2017年11月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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