Search

検索したいワードを入力してください

「黎明」の意味と使い方・語源・読み方・対義語・類語|名前

更新日:2020年08月20日

「時代の黎明期」などで使われる「黎明」の本来の意味を知っているでしょうか。それを知れば「黎明期」の意味もはっきりとわかるようになります。「黎明」の正しい意味と使い方を知って、日本語の面白さ、美しさを再確認してみましょう。

「黎明」の意味と使い方

「黎明」は「夜明け、明け方」が主な意味です。明け方といっても、日の昇りだした薄暗がりから、星が消え月の明かりだけがまだ見える頃、日がある程度昇ってオレンジが大半になる頃、そして明るく昇りきった頃など幅が広いです。黎明というと、最初の薄暗がりの状態から星が消えだすあたりまでを指します。その理由は後述の語源で確認しましょう。

例文としては次のようなものがあります。
「彼は、この時、暗い夜の向こうに、――人間の目のとどかない、遠くの空に、さびしく、冷ややかに明けてゆく、不滅な、黎明を見た」(芥川龍之介『偸盗』)

また、「夜明け」の意味が転じて「新時代や新しい事柄が始まろうとすること」を示し、「黎明期から業界を支えてきた人物」や「日本の黎明は彼かの総選挙より来るであろう。」(河合栄治郎『二・二六事件に就て』)のように使います。

黎明期

「黎明期」は2つ目の意味となる「新時代や新しい事柄が始まろうとすること」として使われます。始まろうとすること、なのでまだ本格的に始まってはいません。民主主義などの思想や政策、技術などが完成するまでの時期に使われることが多く、準備段階や環境が整いきるまでの段階を指します。

全ての物事は黎明期から始まり、その後に確立、発展、全盛、などを経て衰退、滅亡に移っていきます。歴史で見るとわかりやすく、明治維新の黎明期といえば日本に多国が介入し始め竜馬や西郷の活躍した倒幕あたり、その後は王政復古などの確立期や憲法制定など全盛期を経て、大正、昭和に向かっていくという流れです。

「黎明」の意味の語源

「黎」の意味

日本語の「黎」には3つの意味があります。1つ目は「くろ。くろいこと。」2つ目は「無冠の、もろもろの」です。2つ目の意味も「くろ(黒)」に由来しており、冠をかぶらない者の黒い頭髪が見えるという意味を表します。そして、「黎明期」における「黎」の意味は3つ目の「~におよぶところ」として使われています。つまり、「明に及ぶところ」です。

ちなみに、「黎」の部首は「黍(きび)」です。「黍」が部首の漢字は珍しく、「䵑、䵒(ジツ)、黏(ネン、デン)」といった「粘る」の意味を持つもの、「黐(チ、リ)」の「とりもち」の意味を持つものがあります。「黎」以外はキビのもつ粘つきが関係している漢字ばかりです。

「明」の意味

「明」の意味は複数あります。「あかるさ」に始まり、それが転じて「物事を見抜く力」「物を見る能力」「あかりがつくこと」「はっきりしている」「あらわすこと」などがあり、「黎明」における意味は「夜があけること」です。

「明」自体が「夜あけ」なので、「黎」によって「~におよぶところ」がつくことで、まだ完全には夜が明けきっていない状態、これから完全に明けていくところを指す「夜明け」とすることが語源から見れば妥当です。

「黎明」の読み方

「黎明」は「レイメイ」と読みます。「黎」が基本的に「レイ」としか読まないので読み間違うことは無い熟語です。ただし、小説などでは別のふりがなで表記されることがあります。具体的には「しののめ」「よあけ」「あけがた」「あさあけ」「あかつき」「あけ」「あけぼの」「あした」などです。

例文を見てみましょう。
「漣一つ立たぬ水槽の底には、消えかゝる星を四つ五つ鏤めた黎明(しののめ)の空が深く沈んでゐた。(石川啄木『天鵞絨』)
「主翁は歩きながら空を見た。ところどころ雨雲の切れた黎明(よあけ)の空に、微うすい星の光があった。(田中貢太郎『黄灯』)

これらを見ればわかるように、まだ星が見えるほどの薄明るい状態を指すのが「黎明」であり、まだ明けきっていません。また、当てられた「しののめ」は本来「東雲」と書き、東の空から日が昇ることから明け方を指します。その他の類義語は後述するので確認しましょう。

「黎明」の意味の対義語

「黎明」の「明け方」における意味の対義語は「薄暮(ハクボ)」です。これは夕方、暗くなりかけの頃を指します。そういった意味では「黄昏」なども該当しますが、やはり「およぶところ」が重要なので時間の幅が広い「夕方」や完全な「夜」ではありません。その他、日が沈もうとする頃を指す「入方(いりがた)」などがあります。

新時代の訪れなどでいう「黎明」の対義語としては「衰退」あたりですが、とくに定義されていません。衰退の対義語は「発展」「繁栄」となっています。

「黎明」の意味の類語

「暁」

「暁(あかつき)」は夜半(ヤハン)から夜の明けるころまでを指します。夜半は真夜中のことなので、「黎明」よりは時間の幅が広いです。あまり見かけませんが、「暁闇(あかつきやみ)」という熟語があり、これは月のない明け方の闇を指します。

面白いのは、本来の意味に「真夜中」を含む「暁」の方が「黎明」よりポジティブな表現として使われていることです。これは「暁」のもう一つの意味が「事柄が実現したその時」だからです。「成功した暁には」などの言い方があります。

彼は誰時

「彼は誰時(かわたれどき)」は誰が誰だかはっきり見分けられない薄暗い時のことで、元々は朝方だけでなく夕方も指していました。しかし、今では「黄昏(「誰そ彼」が転じた熟語)」が示す夕方と分けて、多くは朝方を示して使われます。暁よりも時間の幅が狭いので黎明に近いですが、黎明よりも狭いと考えられます。

万葉集では「暁(あかとき)の彼は誰時に」と、暁の範囲から限定するために使っているものも見られました。

萌芽

「黎明期」の類義語として「萌芽(ほうが)期」があります。草木の芽が萌え出ること指し、転じて物事の始まりを意味します。ただ、黎明が時代や技術などに使われるのに対し、「自立心の萌芽」など対象となる物事の幅が広いという特徴が挙げられるでしょう。その他「文明の萌芽」「悪の萌芽を断つ」などの表現があります。

その他、「胎動期(物事が上生まれて間もない期間)」や「揺籃期(ようらんき、物事の発達の初めの時期)」「草創期(そうそうき、物事の始まりの時期)」なども「黎明期」と近い意味を持つ類義語と言えます。

初回公開日:2018年01月15日

記載されている内容は2018年01月15日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

Latests