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「おごる」の意味と使い方・漢字表記|奢る/驕る/丁寧語

初回公開日:2018年05月29日

更新日:2020年03月02日

記載されている内容は2018年05月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

どんどん日本語が単純化している昨今、「おごる」は、食事をご馳走する意味だけしかないと思っている人も多いのではないでしょうか。「おごる」には、多くの漢字があてられ、それぞれ意味合いや使い方が違う複雑で奥深い言葉です。正しく理解して、使ってみましょう。

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「おごる」の意味と使い方

「おごる」は、使う漢字によって、意味が異なってきます。それぞれの意味と使い方を例をあげて紹介します。

意味

おごるには、大きく分けて2つの意味があります。

①おごる(奢る)

自分の金で他人にご馳走するとう意味です。現代では同僚にランチを奢るといった意味で使われていますが、本来「奢る」という言葉には、分不相応な贅沢をするという意味もあります。

②おごる(奢る・驕る・傲る)

思いあがってわがままな態度をとる。自分の才能や家柄、地位、財産などに得意になって、それに胡坐をかいて勝手な振舞いをすることを指します。この場合は、どちらの漢字も使用できますが、「驕る」を使うケースが多いでしょう。

明確に区別しない場合もありますが、「傲る」は、心持ちを表わす意味合いが強いのが特徴です。勝手な振舞いをするというよりも、慢心から人を見下したような態度をとることに対して使用する場合が多いです。

使い方

①の「おごる」は、日常的によく使う言葉です。「友人に晩御飯を奢る」「先輩に奢ってもらう」などという使い方をします。

②の「おごる」は、程度を超えた贅沢をする意味が含まれます。分不相応な贅沢な食事をする人に対し「口が奢っている」という使い方をすることがあります。

また「驕った態度をとる」「勝利に驕る」「驕った生活をする」という使い方もします。平家物語にある「驕る平家は久からず」という慣用句も有名です。地位や財産を鼻にかけ、おごり高ぶる者は、その身を長く保つことができないという意味です。「驕れる者は久しからず」も同義の慣用句です。

「おごる」の漢字表記

「おごる」の漢字表記と使用例を挙げてみました。それぞれに意味合いが違うものもあるので、使い方とともに区別して覚えておきましょう。

奢る

現在で「おごる」は、食事などを他人に自分のお金でご馳走するという意味で使われますが、分をわきまえずに贅沢する意味もあります。

たいていは「上司の奢りで飲む」など、気前のよい目上の人や上司の行動としてポジティブな意味で使われることが多いですが、「美食家で口が奢っている」など皮肉混じりの意味で使用されることもあります。

驕る

「おごる」に、この字を当てた時は、自分の勢力や才能などを誇り、人を見下して勝手気ままな態度をとることを意味します。

思い上がった態度を指すときに「驕った態度をとる」という風に使う他、分不相応に贅沢な暮らしをする人に対し「驕った生活をする」、一度の勝利で調子に乗って努力を怠る人に対し「勝利に驕る」という言い方をすることもあります。

傲る

「おごる」に、この字を当てた時は、以下のような意味になります。「驕る」と「傲る」の違いは、似ているようで微妙に違います。「傲る」は、「おごること、またその心、慢心」という意味です。

「驕る」が振舞いのことを指すのならば、「傲る」は心の在り様を指します。この微妙な違いは、ビジネスシーンなどで使う場合に、使い分けを間違えると問題になってしまうケースがあります。実際に傲慢な態度をとっているのか、そう思わせる雰囲気を醸し出しているのかで、かなりニュアンスが違ってきます。使用する前に正しく区別しておくべきでしょう

例文としては「傲りと焦りが破滅を招いた」などがあります。驕った行動そのものではなく、「傲り」は、相手の心の中で相手を見下しているような態度に対して使われることが多いでしょう。

倨る

「おごる」に、この漢字を使う時は、偉そうに構えて威張る様子を指します。

単独で使うことは少なく、「倨傲(きょごう)」という熟語で使用されることが多い漢字です。金銭や地位に胡坐をかくというニュアンスよりも、傲慢な態度やおごりたかぶっている状態そのものを指すことが多いでしょう。

敬語での「おごる」の使い方

「おごる(奢る)」場面でよく見られるのが、先輩や上司などの目上の人間が、部下や後輩に食事や飲み代を負担するケースです。

社会に出ると「奢る」「奢られる」場面に頻繁に遭遇するようになります。そういう場合に「奢る」の敬語表現は、どういうものがあるのか知っておくと困らないでしょう。

丁寧語

「奢る」にあまり良いイメージを持っていない人は「驕る」や「傲る」と混同している場合があります。まったく別の意味なので分けて考えましょう。

「奢る」という言葉自体は、「自分の金銭で相手に御馳走する」という意味が浸透しており、現在では悪い意味で捉えている人はごく少数と言えます。

年の近い先輩や仲の良い関係であれば「奢ってもらう」で十分です。もう少し丁寧に言いたいときは「奢っていただく」を使用しましょう。

尊敬語

どうしても「おごる(奢る)」という言葉が入ると、軽いニュアンスが入ってしまうと気になる人や、かなり目上の人や立場が上の人に食事代を払ってもらった場合は、以下のような言い回しをお勧めします。

より丁寧に「奢ってもらう」を表現するには「ご馳走」という言葉を使用しましょう。「ご馳走になる」「ご馳走していただく」「ご御馳走いただく」など、文脈に応じて使い分けましょう。「先日の会合では、すっかりご馳走になり恐縮です」「昨日は、○○部長に御馳走になりました」などの使い方がよいでしょう。

丁寧かつ相手を敬う印象を与えることができるでしょう。

謙譲語

「おごる(奢る)」の謙譲語は、目上の人や上司などに奢るという場面そのものが少ないので、使うことはほとんどないでしょう。文法的には「御馳走いたします」「御馳走します」で間違いではありませんが、部下や目下の人間に言われても反応に困ってしまいます。

相手が遠慮しないように、「先日のお礼に」「先日のお詫びに」という言葉を伴い、下から許可を得る形でいうのが好ましいと言えます。

「先日のお礼にお食事を差し上げたいのですが」「お詫びにお食事など御馳走させてください」という言い方であれば、相手に負担をかけず自然に誘うことができます。

「おごる」の対義語

ご馳走する意味の「おごる」には対義語はありません。自分の能力を過信したり、権力や財力を用いて、わがままな振舞いをする「驕る・奢る・傲る」の対義語を紹介します。

上記の「おごる」の対義語は、謙る(遜る)で、読みは「へりくだる」です。驕る(奢る)には、いい気になる、増長するといった意味がありますが、その反対語の謙る(遜る)は「相手を敬って自分を低くする」という言葉になります。

その他にも「謙遜する」「慎む」などの語があります。

方言での「おごる」の使い方

方言での「おごる」で、ユニークな使い方をしている例を2つ紹介します。

熊本弁

熊本弁で「おごる」は、怒る(叱る)の意味で使われることがあります。

「昨日、先生におごられた」→「昨日、先生に怒られた」、「いい加減にしないとおごるぞ」→「いい加減にしないと怒るぞ」のような使われ方をします。

富山弁

「だいてやる」という富山弁の方言がありますが、富山弁では「だいてやる」は御馳走する方の意味の「奢る」と同義です。

シュチュエーションによっては、飲み会の後などに「今晩は抱いてやる」などと、上司に言われるとぎょっとする一言ですが、勘定を出してやる、奢ってやるという意味なので慌てないようにしましょう。

もっとも、40代50代以降の男性の間で使われることが多いで方言です。ただし死語にはなっておらず、若者の多くは意味を知っています。冗談で使ったり、本当に親しい間柄の友人の間では「だいちゃる」という風に使うこともあります。

「おごる」の意味のことわざ

学校の古典の授業でお馴染みの「平家物語」の冒頭の文章を習った人も多いのではないでしょうか。

有名な冒頭の文章は「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。華厳双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人(もの)も久しからず、ただ春の夢のごとし~」です。

「世の中は絶えず変化し、盛えている者もいつかは衰える。今は繁栄して権力の上に胡座をかき贅を尽くした暮らしをしている者でも、必ずそれは春の夢のように儚く終わってしまうものである。」という意味です。

この場合の「おごる」は、驕る(奢る)を贅沢を極め傲慢な態度で振舞うという解釈になります。食事をごちそうする方の意味ではありません。

これが元になって「驕る平家は久しからず」ということわざが生まれました。「思い上がった振舞いをする者は長く栄えることはなく、いずれ必ず滅ぶことになる」という例えとして使われています。

「おごる」の類語

「おごる」の類義語を紹介します。「おごる」の類義語はたくさんの語や表現があり、あらためて日本語の多様性に気づかされます。

おごる(奢る)の場合

食事先で相手の分も支払う事を、ご馳走すると言い換えることができます。他にも「(勘定)を持つ」「自腹を切る」「身銭を切る」などの類義語があります。

おごる(驕る・傲る)の場合

自分を過大評価して傲慢な態度をとる意味の「おごる(驕る)」の類義語は「増長する」「鼻にかける」「思い上がる」「図に乗る」「つけ上がる」「胡坐をかく」「調子に乗る」など多数あります。いずれも良い意味で使われている語ではありません。

「おごる(傲る)」の場合は心持ちを指すことが多いので「慢心する」が類義語としては一番近いでしょう。

日本語は難しいけれど奥深く繊細

「おごる」という語は、食事を自分の金銭で相手に、ご馳走するという意味で知られています。しかし、自分の才能などを過信し、人を見下して勝手気ままで傲慢な態度をとることを意味する「おごる」は知らない人も多いのではないでしょうか。

また、同じ「おごる」でも、「驕る」は現時点で、調子に乗って傲慢な態度をとっている状態を指しますが、「傲る」は、心の在り様を指します。

わずかな差ですが、実際に行動に移しているか、不愉快にさせる雰囲気が出ているのかでは意味合いが違ってくるので、ビジネスの場では特に注意したいところでしょう。

このように日本語は、複雑で一つの語に、複数の字を当て、少しずつ意味が違う語があります。外国人に、日本語が難しい言語と言われる理由の一つでしょう。しかし、その分奥深い言語だと言えます。極論「新人の今日の態度、やばいよね」でも通じますが、繊細な日本語をもっと使ってみましょう。

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