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「腑に落ちる」の意味と使い方・例文・類語・語源|腹に落ちる

初回公開日:2018年05月29日

更新日:2018年05月29日

記載されている内容は2018年05月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

「腑に落ちる」や「腑に落ちない」という表現を使いこなしていますか。正しい意味を知って会話や文書の中で上手く使いましょう。「腑に落ちる」は誤用だという意見もありますが、その疑問にもお答えします。日本語の美しさを知ってください。

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「腑に落ちる」の意味と使い方

ビジネスの場面でも、私生活でも、人の話を聞いて納得できたり、理解できなかったりすることがあります。そんな時に「腑に落ちる」あるいは「腑に落ちない」という言葉を使います。

「腑に落ちる」は、「納得できる」「理解できる」という意味です。「親父がいつも言っていたことが腑に落ちた。」というような使い方をします。心から納得できたというニュアンスがあります。

「腑に落ちない」はその逆で、「納得できない」「合点がいかない」という意味です。「彼が落選したのは腑に落ちない」という使い方をします。

「腑に落ちる」よりも「腑に落ちない」という否定形で使うことが多いので、「腑に落ちない」のほうが聞きなじみがあるのではないでしょうか。

腑とは?

「腑に落ちる」には、「腑」という難しい字が使われています。「腑」とは、はらわた、内臓のことです。五臓六腑の「腑」です。「五臓」とは、肝・心・脾・肺・腎を指します。「六腑」とは、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を指します。要するに、内臓全体を指す言葉です。

また、「腑」には、心、心根、性根という意味もあります。「腑抜け」というと、気力がない、意気地がない、という意味になります。こちらのほうが「腑に落ちる」の意味が捉えやすいのではないでしょうか。

「腑に落ちる」の例文

では、「腑に落ちる」を使った例文を見てみましょう。

まず、新しい情報を得てその意味が理解できたという意味で「腑に落ちる」を使う場合です。「さっきの表情はそういう意味だったのか、と腑に落ちた。」というように、分からなかったことがはっきりした場合に使います。

また、言葉として分かっていてもピンと来なかったことが、後になってその心情がよくわかるようになった場合にも「腑に落ちる」を使います。「母が兄のことを特別かわいがっていたのが気に入らなかったが、自分が子どもを産んで腑に落ちた。」という使い方です。

「腑に落ちない」の例文

では、「腑に落ちない」を使った例文を見てみましょう。

まずは、その言葉や事象が間違っていると思う場合です。「世界タイトルマッチの審判の判定は腑に落ちない。」という使い方です。

また、その言動の意味が理解できない、あるいは、わからない場合にも「腑に落ちない」を使います。「先生の話が腑に落ちなかったので、何度も質問した。」や、「彼女がなぜそういう態度をとったのか、腑に落ちない。」という使い方です。

「腑に落ちる」の類語

「腑に落ちる」と同じような意味の言葉がいろいろあります。さまざまな表現を見ていきながら、ニュアンスの違いを考えてみます。

ここでは、「意味をそのまま捉えた表現」と、「身体の一部を使った表現」の2種類に分けて整理していきます。

意味をそのまま捉えた表現

まず、「腑に落ちる」の意味として使った言葉が、類語としてあげられます。「納得できる」や「理解できる」という言葉です。「合点がいく」、「承知する」、「了解する」なども同じような言葉です。

理屈が通った時や情報が充分であるというケースに使えます。分からなかったことが分かった、というニュアンスが強い表現と言えます。

身体の一部を使った表現

「腑に落ちる」と同じように身体の一部を使った表現があります。「腹に落ちる」「膝を打つ」などです。身体の一部を使ったほうが、心から納得するというニュアンスが強くなるように感じます。

「目からウロコが落ちる」も似たような言葉ですが、意外性や視点の変化というニュアンスが強い表現です。心情という側面はあまりないと言えます。

「腑に落ちない」の類語

では、「腑に落ちない」の類語も見てみましょう。「腑に落ちる」の類語とはまた違った分類ができます。

ここでは、「納得のいく成果ではない」、「趣旨がわからない」、「疑いが消えない」という3つに分けて考えます。

納得のいく成果ではない

物事の成果に対して、納得がいかないというニュアンスで「腑に落ちない」と言う場合、類語として「納得がいかない」や、「不本意な」があげられます。能動的なニュアンスが含まれます。

趣旨がわからない

物事の意図や趣旨が把握できない場合に「腑に落ちない」と言う場合、類語として「合点がいかない」、「解さない」、「釈然としない」、「入ってこない」などが挙げられます。

頭で理解できない場合にも、心で理解できない場合も、どちらも含まれます。また、自分の理解力が足りない場合と、相手の説得力が足りない場合のどちらも考えられます。

疑いが消えない

疑いが消え去らないという意味で「腑に落ちない」という場合は、類語として、「疑問が残る」、「疑念が拭えない」、「疑念が晴れない」などが挙げられます。理解できないというよりは、信じられないというニュアンスがあります。

「わだかまりが残る」も似たような言葉ですが、相手との関係性がニュアンスに含まれてくる言葉です。

「腑に落ちる」の語源・由来

「腑に落ちる」という言葉はどこからきたのでしょうか。最初に書いたように、「腑」とは、はらわた、内臓のことです。五臓六腑の「腑」です。また、心、心根という意味もあります。古来より、日本人ははらわたに心が宿っていると考えていました。「胸騒ぎ」などの言葉からもわかるように、心と身体は繋がっていると考えていました。

つまり、「腑に落ちる」とは、心に落ちること、しっくりはまることを意味しています。頭より、心にはまる、心にしみるというニュアンスです。

「腑に落ちない」も同じ由来

「腑に落ちない」という言葉も同じように、「腑」つまり、はらわたに宿る心という言葉からということです。「人の意見が心に入ってこない」という意味になります。

心に入ってこない理由によって、ニュアンスが変わります。自分の理解が足りない場合は、趣旨がわからないというニュアンスになりますが、相手に原因がある場合は、疑いが消えないというニュアンスです。

「腑に落ちる」と「腹に落ちる」の違い

「腹に落ちる」という言葉には、「納得する」、「なるほどと思う」という意味があります。「腑に落ちる」と同じ意味です。「腹落ちする」という言い方をすることもあります。

使い方の違い

「腑に落ちる」は、どちらかといえば「腑に落ちない」という否定形で使うことが多いと紹介しましたが、「腹に落ちる」や「腹落ちする」は肯定、否定のどちらも違和感なく使うことができます。

しかし、「腹落ちしない」という言い方はしますが、「腹に落ちない」とは言いません。「腹に落ちる」は、肯定的な使い方のほうが使いやすい言葉です。つまり、肯定するときは「腹に落ちる」や「腹落ちする」を使い、否定するときは「腑に落ちない」を使うのがしっくりくることが多いと言えます。

「腑に落ちる」と誤用の問題

「腑に落ちる」という言葉は聞き慣れないという人も多いのは確かです。「腑に落ちない」という表現の方がしっくりきます。最近では活字離れの影響もあって、「暇腑に落ちる」どころか「腑に落ちない」という言葉にも馴染みがないという若い人が増えていますが、それはさておいて、やはり「腑に落ちる」という表現に違和感を覚えるという意見も少なくありません。

「腑に落ちる」という言葉が聞き慣れないが故に、「腑に落ちる」という表現は誤用ではないかという意見もあります。「腑に落ちない」というのが正しくて、「腑に落ちる」は「腑に落ちない」の誤用ではないかという人もいます。

誤用ではない

結論から言えば、「腑に落ちる」は誤用ではありません。もちろん辞書にも「納得できる」「理解できる」という意味で載っています。

また、古くは明治時代の書物の中にも見られます。例えば、徳冨蘆花「思出の記」(1900-01)には、「四ケ月経てば、学校の様子も大略{おほかた}腑{ふ}に落ちて、僕も先づ関西学院生となり了{すま}したのであつた。」とあります。他にも、夏目漱石が「腑に落ちる」という表現を使っています。

このように、「腑に落ちる」は文学的にも正しい表現であり、決して誤用ではありません。腑に落ちましたか。

「腑に落ちる」は敬語としては?

「腑に落ちる」という言葉は、目上の人の言葉によって自分が納得できたときに使える言葉ですので、敬語として「腑に落ちました」と言っても問題ありません。誤解がないように言っておくと、目上の人からの影響ではなくて、下の立場の者から影響を受けた場合でも、「腑に落ちる」という言葉は使えますので、尊敬語でも、謙譲語でも、違いはありません。

目上の人に「腑に落ちない」と言うと

「腑に落ちる」が、敬語として問題ないのと同じように、「腑に落ちない」も敬語として使うことができます。しかし、上司に対して「腑に落ちません」と言うことは、少し失礼に感じます。

「理解できない」という意味であれば、説明が悪い、あるいは、説明が足りないと言っているように聞こえます。「疑念が晴れない」という意味で言っているのであれば、上司の意見に反対しているように聞こえます。

目上の人の意見に納得できない時は、自分の理解力が足りないという言い方をするほうが角が立たないでしょう。「〜がわからないので、教えていただけますか。」のような言い方です。

身体を使った絶妙な表現

「腑に落ちる」あるいは「腑に落ちない」と聞いたときに、正確な意味を説明できなくても、なんとなく意味はわかるのではないでしょうか。はらわたに落ちてくるというと、心から納得できるというニュアンスが自然に想像できます。

このように、身体を使った言葉というのは、微妙なニュアンスが伝わる絶妙な表現と言えるでしょう。まさに、「腑に落ちる」言い回しです。

美しい日本語を使いこなそう

すでに書いたように、私たちは心と身体は繋がっていると考えています。悩ましいときに、「そのことを考えると頭が痛い」と言ったり、ゾッとすることを「青くなる」と言ったりします。目は、丸くしたり、点になったりします。尻が軽かったり、重くなったりします。変幻自在です。

このように、心の動きを身体を使って表現する言葉は非常に多いです。日本語は、そういった表現が特に豊富な言語です。

しかし、デジタル社会になって、対面でコミュニケーションをとることが少なくなり、身体を使った言葉がピンと来ない人が増えていると聞きます。先人が作り上げてきた豊かなことばを残していくことが、私たちの務めと言えるでしょう。

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