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観念的競合とは|併合罪、牽連犯との関連/観念的競合による交通違反

更新日:2022年08月04日

観念的競合とは何でしょうか。10人が被害者となった自爆テロ事件と、10人を殺害した連続殺人事件では、法律の取扱が異なります。自爆テロは観念的競合となり、理論上、連続殺人事件よりも、10年も軽い懲役刑になる可能性もあります。そんな観念的競合を具体例で説明します。

観念的競合とは?|観念的競合の例・併合罪・牽連犯

観念的競合という言葉を耳にしたことがありますか?おそらく、あまり聞いたことのない、耳慣れない言葉ではないでしょうか。実は、刑事裁判の世界では、当たり前のこととして、ほぼ全ての事件で、考慮される法的概念です。いったい、どんな内容なのでしょうか。

観念的競合とは

ではます、「観念的競合」という言葉の意味を、2つのケースから解説していきます。

一つの行為が多数の被害を生むケース

刑事事件と言えば、欧州では、テロ事件が多発しています。テロは、社会不安を生じさせたり、犯人側の報復感情を満たすために、市民を無差別に殺傷します。被害者の数が多いほど、犯人にとっては効果的です。

そして、別々に10人に対して攻撃を加えるよりも、一回の行為で10人を攻撃できれば、犯人にとっては、より効率的です。このため、暴走車で群衆に突入したり、コンサート会場の中で自爆したりという、一つの行為で一度に多数人を殺傷する方法が選択されます。

複数の行為が多数の被害を生むケース

他方、一度の行為によるのではなく、複数の行為によって、次々に殺傷行為が行われるというケースもあります。ある女性をめぐる4人の男性が、約5年の間に、相次いで死亡する事件があり、最近、この女性が、3人に対する殺人罪と1人に対する強盗殺人未遂罪で起訴され、京都地裁で裁判が始まりました。青酸毒物を使ったのではと報道される連続殺人事件です。

行為がひとつか、複数かで、法的取扱は異なる

同じく複数を被害者とする殺傷行為ですが、テロは、自爆のような一個の行為で複数の被害を発生させています。連続殺人は、時間的、場所的に別々の行為で被害を発生させています。仮に、どちらも10人を殺傷した場合、同じ取扱いとなるのでしょうか。

同じ10人だから、同じ刑となると思われるのが素朴な考えでしょう。しかし、この2つは、全く違う取扱いを受けるのです。「一つの行為で10人の人を殺傷した場合」、これが観念的競合ということになるからです。

観念的競合の例

では、観念的競合について、定められている取り扱いについてみてみましょう。

刑法が定める観念的競合

刑法第54条第2項は、「一個の行為が二個以上の罪名に触れ」るときは、「その最も重い刑により処断する。」と定めています。これが観念的競合です。観念的競合とは、条文に記載された用語ではなく、法律学の学術用語です。

これは、一つの行為が、同時に2つ以上の犯罪にある場合です。例えば、勤務中の警察官を殴って怪我をさせた場合、公務執行妨害罪(刑法第95条第1項)と傷害罪(同第204条)の観念的競合です。殴るという一個の行為が、「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加え」る行為(同95条)であると同時に、「人の身体を傷害」する行為(同204条)となるからです。

観念的競合の取扱(刑の上限について)

「その最も重い刑により処断する」とは、複数の罪名を比較して、刑の上限も下限も、どちらも重いものを適用することとされています。

先の例で見てみましょう。公務執行妨害罪は、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」、傷害罪は、「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」です。それぞれの刑の重いものを比較すると、公務執行妨害罪は3年以下の懲役、傷害罪は15年以下の懲役ですから、傷害罪のほうが重いです。よって、傷害罪の15年以下の懲役刑が上限となります。

観念的競合の取扱(刑の下限について)

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初回公開日:2017年07月10日

記載されている内容は2017年07月10日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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