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機会費用の意味と具体例|埋没費用の違い・計算方法・考え方

初回公開日:2017年07月11日

更新日:2020年03月08日

記載されている内容は2017年07月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

機会費用とはある財を手に入れるために諦めなければならない費用のことです。例えば休暇の機会費用は休んだ時間分の給料です。大学に行くことの機会費用は仕事をしていたら得られた賃金です。機会費用はビジネスでは非常に重要な概念なのです。

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機会費用とは

機会費用とは経済学上の概念で、簡単に言うとあるものを手に入れるためにあきらめなければならないものを指します。
大学進学の費用と聞いたら、多くの人は学費や生活費などをあげるかもしれません。しかし、大学に進学すると、授業を受けている時間や勉強をしている時間を労働に当てることはできません。
大学進学の機会費用は進学によって諦めなければならない、賃金です。大学を中退して起業したビル・ゲイツなどは大学に留まる機会費用が大きいと判断したのです。

大学の機会費用

経済学においては大学の機能は2つあります。人的資本を高める機能とシグナリング効果です。義務教育には社会的な外部性が存在するので国家が支援するのは当然ですが、高等教育の無償化については批判している経済学者もいます。

世界銀行の調査では大学の社会的収益率はマイナスです。若者が4年間働かない機会費用が大きすぎるからです。しかし、シグナリング効果は大きいので、高卒と大卒の生涯賃金は大きく違います。つまり大学の私的収益率は高いのですが、社会的な機会費用は大きいのです。

計算方法

経済学者は基本的に自由貿易を推進しています。理由は比較優位の原則に基づいています。比較優位とは機会費用に基づく生産者間の比較です。そして、商品は機会費用が小さいほうが生産するほうが全体の利益は大きくなります。

ロビンソン・クルーソーが魚を1匹釣るのに10分かかり、バナナを1個採取するのに20分かかるとします。フライデーは魚1匹を釣るのに15分、バナナを1個採取するのに60分かかります。ロビンソン・クルーソーのほうが、魚、バナナともに生産性は高いので、ロビンソン・クルーソーが魚、バナナともに絶対優位を持っています。

では機会費用を計算してみます。ロビンソン・クルーソーが魚を1匹釣るのには10分かかりますが、この10分をバナナの採取に当てれば0.5個のバナナを採取できます。つまり魚1匹の機会費用はバナナ0.5個です。フライデーの場合は魚1匹15分、バナナの採取に当てれば0.25個のバナナを採取できるので魚1匹の機会費用はバナナ0.25個です。

絶対優位と比較優位

ロビンソン・クルーソーは両方の財に絶対優位を持っているので分業する理由はないと思うかもしれません。しかし機会費用で計算すれば、別の考えがでてきます。機会費用で考えれば魚を1匹得るのにバナナを0.25個しか諦める必要がないフライデーが魚の採取に比較優位を持っています。

ではバナナの機会費用はどうでしょうか。ロビンソン・クルーソーは魚2匹です。フライデーは魚4匹です。バナナの比較優位は魚を2匹しか諦める必要がないロビンソン・クルーソーが持っています。

なぜ分業すべきなのか

1日の労働時間を8時間と仮定します。お互いに魚、バナナの生産に4時間づつ振り当てるとロビンソン・クルーソーは魚を24匹、バナナを12個生産できます。フライデーは魚を16匹、バナナを4個生産できます。

ここで分業を考えてみます。分業の場合は機会費用が少ないほうがその財をより多く生産すべきなのでロビンソン・クルーソーはバナナの生産に6時間、魚の生産に2時間を振り当てます。フライデーは魚の生産に8時間を当てます。結果ロビンソン・クルーソーはバナナを18個、魚を12匹、フライデーは魚を32匹生産できます。

魚15匹とバナナ5個を交換すると、ロビンソン・クルーソーは魚27匹、バナナ13個、フライデーは魚17匹とバナナ5個が手に入るので分業前に比べると、お互いが両方の財をより多く入手できることになります。

機会費用と埋没費用の違い

埋没費用とはすでに投下されて回収できない費用のことで意思決定の際には無視すべきです。

貴方は新しい映画のチケットを2000円までなら買っても良いと考えています。チケットを1500円で購入しましたが、そのチケットを失くしてしまいました。さて、新しいチケットを1500円出して買うべきでしょうか。

答えは買うべきです。映画を見ることによる効用(2000円)は新しいチケットの機会費用(1500円)を上回っています。埋没費用(失くしたチケット1500円)は後悔してもどうにもならないので、無視すべきです。

意思決定において埋没費用は無視すべきですが、機会費用は重要です。あるサービスを購入するとき、便益が機会費用を上回っていれば購入するべきです。

埋没費用の考え方

埋没費用の代表に減価償却があります。減価償却は建設費を会計上分割して記載するだけで、すでに発生した費用のため、採算を考える時は埋没費用として無視すべきものです。なぜなら採算に減価償却を入れると建設費とのダブルカウントになってしまい、赤字が膨れ上がるからです。

会計上では赤字なのですが、キャッシュフローで考えると黒字になることもあります。採算は帳簿上の数字ではなくキャッシュフローで考えるべきです。

機会費用の例・具体例

勤務時間と休暇のトレードオフは近代社会の労働者にとって重要な選択です。貴方が休暇を1時間得るための機会費用は1時間分の賃金です。時給が1000円ならば休暇1時間の機会費用は1000円です。時給が1200円に上昇すると機会費用も1200円になります。

では時給が上がると労働者はどのような選択をするでしょうか。可能性は二つあります。賃金が上がったのでもっと稼ごうと、労働時間を増やす可能性、効率よく稼げるようになったので休暇を増やす可能性です。

どちらを選択するかは休暇の機会費用と休暇の効用を比較してどちらが上回るかによります。

機会費用の考え方

少子化が進んでいます。論点は様々ですが、今回は機会費用という観点から考えてみます。子供を1人育てるのに平均で1300万の費用がかかります。しかし、子供を1人産むことの機会費用はさらに大きいです。平均的大卒女性が定年まで正社員で働いた場合、生涯賃金は2億7700万円です。

28歳で出産退職して37歳でパートに出ると生涯賃金は5000万円、つまり出産退職の機会費用は2億2700万円です。このように出産の機会費用が大きいため子供を産まないことを選択する女性が増えています。

出産の機会費用を少なくするには

出産の機会費用を少なくするには、働きながらでも子育てができるように社会整備を整えることと、一度退職してももう一度正社員に復帰できるようにすることです。

復帰が難しい原因は空白期間がある労働者を企業が雇いにくい現状があります。37歳の労働者を雇う場合日本の賃金制度では37歳に応じた給与を払う必要があります。しかし、22歳から37歳まで15年間勤務した労働者と9年間の空白期間がある労働者では蓄積したスキルが違います。

こうして出産退職した女性を企業は正社員として雇うのに及び腰になり、パートしか選択肢がなくなるのです。解決するには空白期間があっても企業が正社員として雇うインセンティブが出るようなシステムの構築が必要です。

意思決定の際に機会費用を意識してみよう

意思決定の際に機会費用を意識することは合理的に生きるのに役立ちます。人間は必ずしも合理的ではないため、生きていくのに合理性は必要ないという考えもあります。

しかし感情にまかせて会社経営をしたら、倒産するリスクは高くなります。ビジネスの世界で合理性は必須なのです。さまざまな時事問題を機会費用の視点から見ると答えが変わってくることがあります。
原発停止の機会費用、原発再稼動の機会費用、豊洲移転の機会費用、移転中止の機会費用、こうした視点で世界を見ると違った世界が見えてきます。

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