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「喫緊」の意味と使い方・読み方・語源・「近々」との違い

初回公開日:2017年12月23日

更新日:2020年08月14日

記載されている内容は2017年12月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

流行語にもなった「忖度」など、新聞やニュースを見ていると、普段見慣れない言葉や言い回しが多いと感じることが多々あるでしょう。中には、そもそも漢字の読み方すらわからないものもあります。今回は、そんな中でも特によく見る「喫緊」について解説していきます。

「喫緊」の意味と使い方

ニュースを見ていたり新聞を読んでいると、見慣れない言葉や表現がたくさん出てきます。中には、日常会話ではまず使われない特殊な言い回しや難解な漢字も多々あり、ただでさえスマホやパソコンでの変換に慣れ切ってしまっている現代においては、それらが活字離れやニュース離れの一因となってしまっている側面もあります。

そんな中でも、特に難しい言葉が並ぶのは、やはり政治関連のニュースや政治家の答弁でしょう。「善処」「遺憾」「忖度」など、挙げれば切りがありません。そんな中でも、かなりの頻度で現れる言葉が「喫緊」です。

何となく、急いでいるような感じはイメージできるけれど、しっかりした意味や使われ方まではわからない方が多いのではないでしょうか。ここからは、「喫緊」という言葉について掘り下げていきます。

「喫緊」ってどういう意味?

まず最初に、「喫緊」という言葉が持つ意味を知りましょう。「喫緊」を辞書で調べると、以下のように記載されています。

喫緊

[名・形動]差し迫って重要なこと。また、そのさま。

出典:小学館デジタル大辞泉

出典: https://dictionary.goo.ne.jp/jn/52843/meaning/m0u/ |

読んで字のごとくですが、「急いでどうにかしないとならない事柄や状況」という意味を持っているのがわかります。一文字ずつで考えた場合、「喫」は一文字で「食べる・飲む」という意味とともに、「身に受ける」という意味も持っています。

また、「緊」は「固く引き締まる」といった意味とともに、「差し迫った状況」の意味も持っています。この二文字の後者の意味が合わさることで、「急を要する問題がこちらに迫ってきている」という状況であることがより強調されています。

また、同じ意味の言葉として「吃緊」とも表記されており、まれにこちらの表記も見かけます。「吃」が「どもる」や「言葉がなめらかに出ないこと」の意味を持っており、ここから、本来の「吃緊」が「言葉がうまく出ないほど急いでどうにかしないとならない」というとても慌てている状況を表す言葉であったのがわかりますが、後述するある事情により、現在は基本的には使われません。

どんな使い方をされるの?

「現在の日本にとって、高齢化社会への対応こそが喫緊の課題だ」
ニュースなどで、このような表現を目にしたことがあるのではないでしょうか。

「喫緊」という言葉は、「善処」や「遺憾」などと並び、お役所言葉の代表格であると言われています。基本的には、国会答弁や行政文書など、改まった状況で使われるケースがほとんどであり、話し言葉として使われることはきわめてレアです。

「差し迫って重要な事です」というよりも、「喫緊」と二文字でまとめた方が、難しくて重要な話をしているというイメージを与えられ、権威付けにもなるという効果をも狙って使われているのでしょう。

また、最近では、「我が社は、労働環境の改善を喫緊の課題と考えなければならない」などの形で、ビジネスシーンにおいても「喫緊」が使われることが増えてきています。こちらも、必要性があってのことではなく、上記と同様の権威付けの効果を狙ってのものと考えられます。

「喫緊の課題」という表現

「喫緊」という言葉が出てくる場合、ほぼ必ずと言っていい程、「課題」や「問題」という言葉とセットで使われます。意味としては、「急いで解決する必要がある、差し迫った課題・問題」となります。上で解説した「喫緊」の意味そのままに、「課題」や「問題」とセットにすることで、急を要する上に、考えたり解決を図る「必要性」を持っている事柄だ、という意味を際立たせています。

「喫緊」の読み方は?

「喫緊」「吃緊」ともに「きっきん」と読みます。本来、「喫」「吃」は、一文字では「きつ」となるのですが、すぐ後に「緊(きん)」という音が続くため、「促音(そくおん)」と呼ばれる、「語中において、無声閉鎖音「 k」 ・「 t」 ・「 p」および無声摩擦音「 s」 の前で、次の無声子音と同一の調音位置に一音節分の休止を挟み、発音しやすくする」ということを目的とした扱われ方により、「きっ」という読み方に変化します。

「喫緊」の語源

「喫緊」「吃緊」ともに、古典の漢文などに出てくる故事成語のたぐいではなく、中国語由来ではあるものの、これという語源は存在していません。

元々の表記は、上でも挙げた「吃緊」でしたが、「吃」が「常用漢字表」に掲載されなかったことで、新聞・放送などでも「吃緊」という語が使われなくなりました。これには、現代では肉体的・精神的な差別用語とされ、放送に適さない表現として扱われる「どもり」の意味を含む文字を用いていたことから、使用を避けるため、発音が同じ「喫」が当てられたという背景もあると考えられています。

また、「常用漢字表」内の「同音の漢字による書きかえ」には「吃」→「喫」の書き換え例が無いことから、他の文字の書きかえの方法を準用して「喫緊」と書き換えて使用しているだけで、強制力はないものの、「常用漢字表」に基づいて作成される公用文・法令・新聞などでは、基本的にこの書きかえは認められていません。

「喫緊性」の意味と使い方

「喫緊」の意味と使い方・読み方・語源・「近々」との違い
※画像はイメージです

「喫緊性」という言葉は、誤用ではないのでしょうが、厳密には存在しません。これは、「緊急性」と同じ意味か、あるいは混同したものとして使われていると考えられ、「物事の傾向・素質」を意味する「性」を付けることによって、「差し迫って重要なことである傾向・素質を持つ」といった意味になると考えられます。ただし、下でも解説しますが、「緊急性」と「喫緊性」ではニュアンスが異なり、置き換えもできません。

「喫緊」と「近々」の違い

「喫緊」の意味と使い方・読み方・語源・「近々」との違い
※画像はイメージです

「近々」という言葉も、さまざまな状況で見聞きする機会が増えてきています。「喫緊」と「近々」では、どういった違いがあるのでしょうか。二つの違いを解説する前に、まずは、「近々」の意味を見ていきましょう。

「近々」の意味

「近々」を辞書で調べると、以下のように記載されています。

近々(ちかぢか・きんきん)

1.ある物事が、ごく近い未来に実現される予定であるさま。きんきん。
2.(「ちかぢかと」の形で)すぐそばに。
3.しばしば。頻繁に。
出典:三省堂 大辞林

ごく近い将来を指す表現。すぐに、もうすぐ、といった意味で用いる表現。
出典:実用日本語表現辞典

出典: https://www.weblio.jp/content/%E8%BF%91%E3%80%85 |

「近々」の意味を見ればわかるとおり、「時間」「頻度」を表す言葉であり、また、「ちかぢか」と読む場合にのみ、「距離」を表す意味としても扱われます。例としては、「近々伺います」などの話し言葉形式であったり、眼鏡のレンズの名称にある「近々レンズ」などの単語としての使われ方が挙げられます。

「喫緊」の持つ「差し迫った」といったニュアンスは全く含まれず、もっと軽い感覚で使われる言葉です。この二つの言葉は、関連性は薄く、完全に別の使われ方をしています。

似通った部分があるとすれば発音(「きんきん」と「きっきん」)の部分であり、音の響きが似通っていることよる誤用が起こりうる言葉です。とりわけ、パソコンや携帯での誤変換をした場合に、その事柄の重要度が大きく変化してしまうので、特に注意が必要です。

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