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2018年03月26日

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

手紙の時候の挨拶にも結びにもよく用いられる「時節柄」です。この言葉の読み方や意味、その使い方を理解するとともに、「時節柄」と「季節柄」との違いや、「時節柄」の類義語について考えてみます。手紙で用いる「時節柄」を使った例文も作ってみます。

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

「時節柄」という言葉を知っていますか。手紙の挨拶文によく用いられる言葉です。「時節柄」とはどういう意味なのでしょうか。「時節柄」の意味を知ったうえで、実際にどのように用いればいいのか、考えてみることにしましょう。

手紙では時候の挨拶をすることになっていますが、季節ごとの挨拶に用いられる「季節柄」という言葉もあります。「時節柄」と「季節柄」を類義語と考えていいのでしょうか。手紙で正しく挨拶ができるように、「時節柄」を使った例文もつくってみることにしましょう。

「時節柄」の使い方って?

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

「時節柄」の「時節」には、ふたつの意味があります。ひとつめは「季節」と同じように、目の前にある自然の風景や気候の変化など、われわれの五感で感じられる「今」を指しています。ですからこの場合は、「時節柄」を「季節柄」と同じ意味で用いることができます。

もうひとつは、自然の風景や気候ではなく、社会状況や人々の意識などの「今」を指します。われわれを取り巻く自然ではなく、人間社会のことについて言うのに「時節柄」が使えます。手紙文の時候の挨拶に、季節と時代の両方の意味をもつ「時節柄」を使うことで、形式的な時候の挨拶がレベルアップします。

時節柄ご自愛ください

「ご自愛ください」は手紙の結びによく用いられる挨拶の言葉です。「お体を大切にしてください」という意味です。もともとは目上の人に対して使ってはいけない言葉だったのですが、現在では、体だけではなく心も含めて「大切にしてください」と、相手に対する気遣いを示す言葉として手紙の結びに使うことができます。

これに「時節柄」を加えて「時節柄ご自愛ください」とすると、季節の変わり目だけではなく、「こんな大変な時代だからこそ、どうか心も体も大切にお過ごしください」という意味で用いることができます。もちろん季節に限定して、「こんなに寒い季節なので風邪などひかないようにしてください」というくらいの意味でも使えます。

時節柄ご多用

「時節柄」は季節だけではなく、今われわれが生きているこの時代を指す言葉ですから、「たくさんすることがあって忙しい」という意味の「多用」とあわせて使うことができます。たとえば、年度末や年度当初はいろいろ忙しいですから、このときの手紙の挨拶で、「時節柄ご多用のことと存じますが」という言い方をすることができます。

いくつか例文を挙げてみます。
「新年度になり、時節柄ご多用のことと存じますが、くれぐれもお体を大切にお過ごしください。」「年末年始のなにかと忙しい昨今、時節柄ご多用のこととお察し申しあげます。」「時節柄ご多用のことと存じておりますが、お知らせしておきたいことがありまして、手紙を差しあげる次第です。」

時節柄ご自愛のほど

「時節柄」と「ご自愛」とを組み合わせて、手紙の結びの挨拶の言葉にすることができます。「時節柄ご自愛ください」を紹介しましたが、それよりさらにていねいな言い方として「時節柄ご自愛のほどお祈り申しあげます」という表現があります。

いくつか例文を挙げます。
「しとしとと雨の続くこの頃、時節柄ご自愛のほどお祈り申しあげます。」「猛暑のなか、顧客のニーズに応えるべく毎日外回りをされている○○様のことですから、時節柄ご自愛のほどお祈り申しあげます。」

「時節柄」の読み方

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

時節柄に用いられている柄という字は、「え」と読むのがふつうです。「え」と読むときは、道具類の棒状の部分のことをいいます。「がら」と読むと、体格という意味になりますが、そこから派生して、その人の品位を表します。また、布や織物の模様のことも「がら」といいます。

名詞としての「柄」はこのような意味ですが、「柄」また他の名詞のあとにつける接尾語としても用いられます。「時節柄」の「柄」はこの接尾語です。接尾語としての「柄」は「がら」と読み、そのものの品位を示したり、それにふさわしいという意味を表します。ですから「時節柄」は「じせつがら」と読み、「時節にふさわしい」という意味になります。

「時節柄」と「季節柄」の違い

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

「時節柄」の「時節」には、四季折々の季節のほかに、今のこの時代の意味も含まれています。手紙では、要件を相手に伝えるまえに必ず時候の挨拶をしますが、手紙の結びでも、相手のことを気遣う言葉で締めくくります。このときに「時節柄」をうまく使うことで、季節と時代の両方をこめた挨拶ができます。

「季節柄」は「時節柄」とは違って、目の前の自然の季節の意味だけしか表しません。ただし、日本文化の長い伝統は、季節の推移に時代を重ねるという感性を重んじています。「季節柄」という言葉も、使い方によっては「時節柄」に近い意味で用いることができますが、平安時代の歌人ならともかく、現代に生きるわれわれはやはり、「時節柄」と「季節柄」とを使い分けたほうがいいでしょう。

「時節柄」と「季節柄」の使い分け

「時節柄」と「季節柄」の使い分けについて考えてみます。単純に言えば、時候の挨拶をただ季節に限定する場合は「季節柄」を使い、時代を含める場合には「時節柄」を使うといいでしょう。「時節柄」は季節のことだけを言うのにも用いることができますから、「時節柄」をふつうの使うのもひとつの案です。

時候の挨拶に「時節柄」を用いることにしておいて、「季節柄」は、今まさに桜が満開だとか、山々が紅葉で真っ赤に染まっているとか、われわれに季節を感じさせるものが鮮やかな映像になっているときに「季節柄」を使うといいでしょう。

挨拶での「時節柄」の例文

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

「時節柄」はたんに季節のことを言うのではなく、われわれを取り巻く今のこの時代についても言うことができます。ですから、寒さの厳しい季節と社会的に厳しい時代とをかけあわせて使うこともできます。またその反対に、穏やかな季節と平穏無事なこの時代とをかけあわせることもできます。

季節を感じるのも、時代を考察するのも、すべては人間に与えられた感性です。この感性を鋭くして、季節の変わり目や時代の推移を言葉で表現するのが、『万葉集』以来の日本の伝統と言えます。季節のことを入れながら、うまく「時節柄」を使うことができれば、手紙を読む人の心に言葉が届きます。

季節について

では、おもに季節を中心にした「時節柄」の例文を考えてみます。

「旬の食材を市場で見つけましたのでお送りします。時節柄、お早めにお召し上がりください。」
「北風の吹く肌寒い今日この頃、時節柄、お風邪など召されませんようご自愛ください。
「桜が一気に満開になりました。新入生を迎えて、時節柄ご多用のことと存じます。」
「梅雨が明け、夏も本格的になってまいりました。待ちに待った夏休みを前にして、時節柄、何かと心がはずんでいらっしゃることとお慶び申しあげます。」

時代について

では、「時節柄」をとくに時代に重点をおいて用いる例文をいくつか考えてみることにします。

「テロがあったせいか、行き先の国では時節柄、入国審査がますます厳しくなっています。ご無事をお祈りしております。」
「お住まいの団地も、時節柄、空き家が多くなっていることと存じますが、お変わりなくお過ごしのことでしょか。」
「総選挙を前にして、街頭演説の声があちこちで聞こえる昨今、時節柄、なにかと心が落ちつかない毎日ですが、その後いかがお過ごしのことでしょうか。」

「時節柄」の類語はある?

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

どんな言葉にも類義語があります。同じような意味を表すのですが、使う文字が違っていたり、読み方が違っていたりして、意味は同じでも感覚が違います。類義語をうまく使い分けることで、ひと味違った文章を書くことができます。

「時節柄」の類義語とその例文を考えてみます。たまには「時節柄」を別の言葉で表すのもいいでしょう。

時分柄

「時節柄」の類義語に「時分柄」があります。「じぶんがら」と読みますが、「時分」は「時節」と同じように、季節と時代の両方の意味をもっています。「その季節にふさわしい」とか「この時代の特徴をよく表している」とか、「時節柄」と同じように使うことができます。

では、「時分柄」の例文をいくつか挙げてみます。
「おいしそうなお菓子を見つけましたので、心ばかりではありますがお送りします。時分柄、早めにお召し上がりください。」「昔と比べてなにかと忙しくなりましたが、時分柄ご自愛のほどお祈り申しあげます。」

時下

「時節柄」の類義語に「時下」という言葉があり、「じか」と読みます。こちらはもともとは漢文に用いられていた言葉で、現代の中国語でも「今」という意味で使われています。季節にも時代にも用いることのできる「時節柄」や「時分柄」よりも、少しかたく感じられる言葉ですが、「今」という意味ですから、時候の挨拶に用いられます。

それではいくつか例文を挙げてみます。
「時下、ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。」「時下、皆様方にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。」

季節別に「時節柄」を使ってみましょう

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

「時節柄」は、季節にも時代にも用いられる言葉ですが、すでに述べましたように、日本人の伝統的な感性は、季節の推移と時代の変化とをあわせて感じてきましたので、季節ごとに「時節柄」の使い方とその例文を考えてみます。

季節は春・夏・秋・冬の四季のほかに、1年を24に分ける二十四節季もあります。ただし、南北に細長い日本列島ですから、地方によってはこの二十四節季がうまくあてはまらないこともあります。そのあたりは、手紙を差しあげる相手の住所を考えて時候の挨拶をしてください。

旧暦では1月から「春」が始まりますが、現在では春分の日の1ヶ月前頃からそろそろ春の気配が感じられるようになってきます。いろいろな花が次々と咲きますが、それとともに、卒業式や入学式・入社式の季節でもあります。

「新入社員を迎えるこの時期、時節柄、心はずむことの多いことかとお慶び申しあげます。」
「満開の桜の美しい季節ではありますが、時節柄、花粉アレルギーは大丈夫でしょうか。」
「若葉が美しい昨今、時節柄、なにかとご多用のこととお察し申しあげます。」

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

6月の下旬に夏至がありますが、夏は梅雨に始まり、梅雨が明けると猛暑の季節です。8月15日は月遅れのお盆ですが、この頃までが夏です。8月下旬になってもまだ夏の暑さは続きますが、それでも少しずつ夜が長くなってきます。

「じめじめと鬱陶しいこの季節、時節柄、あまりご無理をなさらないようにしてください。」
「暑さ厳しき折、時節柄、くれぐれもご自愛ください。」
「お盆には故郷にお帰りになるとのこと、時節柄ご自愛のほどお祈り申しあげます。」

9月下旬に秋分の日があり、この日を境にして夜が昼よりも少しずつ長くなっていきます。秋の夜長といいますが、同時にまた収穫の秋でもあります。春に始まった新年度も、秋になると半ばを過ぎますから、仕事も本格的にしなくてはならない時期になってきます。

「秋雨のしとしとと降る今日この頃、時節柄、気持ちをしっかりと支えあうご家族のことを思い出しております。」
「秋晴れの候、天高くなんとやらの言葉がありますが、時節柄くれぐれも食べ過ぎにはご注意ください。」
「虫の声を聞きながら、この前途多難な時代のことを考えておられることと存じます。時節柄くれぐれもご自愛ください。」

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

11月の下旬から、秋が終わり冬が始まります。クリスマスはキリストの生誕を祝うお祭りですが、日本でもかなり以前からすっかり定着しています。クリスマスはもともとは冬至のお祭りだったのですが、冬至は12月25日よりは少し前にあります。冬至を過ぎると冬も本格的になりますが、夜が少しずつ短くなります。そのあとは新年を迎えますから、寒さのなかにも希望が見える季節です。

「初雪の便りが届きました。時節柄、ご自愛のほどお祈り申しあげます。」
「もうすぐ楽しいクリスマス。しかし、ただ楽しんでばかりいられない昨今、時節柄、ここは気を引き締めてまいりましょう。」
「何かと多忙な年末年始、時節柄、お互い心と体の健康には心がけることにしましょう。」

「時節柄」をうまく使って手紙の挨拶をしましょう!

「時節柄」の使い方・例文・読み方・「季節柄」との違い

季節の推移と時代の流れとを同時に感じるのが、日本人の伝統的な感性です。これをよく表しているのが「時節柄」という言葉で、手紙の時候の挨拶によく用いられます。

手紙は時候の挨拶から始まり、手紙を出す本来の目的が本文に書かれ、最後はやはり時候の挨拶に似た結びの言葉で締めくくられます。一見、本文とは関係ないように見えてしまう手紙の始まりと終わりですが、ここに手紙を書く人の感性がよく表れます。

季節の移り変わりを敏感に感じるとともに、「今」を生きる社会人として、自分たちの置かれている社会の現状と未来を、「時節柄」にこめて手紙に書いてみてください。「文は人なり」という有名な言葉がありますが、ここにあなた自身がはっきりと現れます。

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