Search

検索したいワードを入力してください

ナラティブの意味と正しい使い方は?

初回公開日:2018年12月26日

更新日:2020年07月17日

記載されている内容は2018年12月26日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

ナラティブは私たちが持っている自分自身の物語です。ストーリーとの意味の違いはあるのでしょうか。ナラティブの意味を知り、医療や福祉などの各分野での役割を見ていきましょう。ナラティブの重要性がわかってきます。詳しくご紹介していきます。

ナラティブの意味や使い方

ナラティブは最近耳にする言葉です。詳しく見ていきましょう。

ナラティブの意味

ナラティブの意味は「自分自身によって語られる物語」です。

ナラティブ誕生の背景

1960年代に主にフランスの文芸理論において「ストーリー」との意味を区別する用語として使われるようになりました。ナラティブは「現実は社会的に構成され、語ることで世界が作られる」という意味からきています。

つまりその人の考え方や認識によって世界を理解し、その人なりの意味を作り上げるということです。その人の考え方は、時代や地域や文化などの社会の影響を受けて作られます。

その人の主観的体験に社会的な影響などが合わさって、現実を構成していきます。その人自身も社会に出て表現することで社会に影響を与えていく一人であると考えます。このような考えから「ナラティブ」は生まれました。

ナラティブの使い方

ナラティブは近年、精神医療、政治学、社会学、歴史学、経営学、心理学、美術と多くの分野で注目されています。

例文:
「ナラティブセラーピーを受けることで精神的に楽になる」
「ナラティブアプローチを看護に導入する」
「患者のナラティブを尊重する」
「ナラティブを良いものに書き換える」
「臨床現場でナラティブを実践する」

各分野でのナラティブ

医療

古くは迷信や呪術などは医療には関係のないこととしてきました。医療の技術が発達するにつれ科学的根拠のないものは排除されてきました。医療技術が進歩する中、合理的な医療を患者に施しても、患者自身は不満を抱いているということが問題になっていました。

患者のための治療が患者のためにならないという事実は、医療従事者の自信を失っていきました。そんな中生まれたのがナラティブ・ベイスド・メディスン(NBM)です。NBMは「物語に基づいた医療」の意味です。

患者との対話を重視し患者の語りに注目し、医療者と話し合い治療を行っていくという意味です。患者は患者本人にしかわからない症状を医者に伝えます。

医者の先入観で検査だけをして治療を施すのではなく、患者自らが語ることに耳を傾けることにより、患者の置かれた状況を共有でき、コミュニケーションを図ることで、相互に理解を深めることができます。

EBM根拠に基づく医療

NBMに対しEBMエビデンス・ベイスド・メディスンは「根拠に基づく医療」という意味で、重要視されています。医師の主観ではなく最新の臨床的に効果が実証された質の高い医療を患者の意向をもとに行うという意味です。

EBMはNBMと対立するものではなく、互いに補完し合った相乗効果により、患者がより総合的に質の高い適切な医療を患者の意向で満足して得られるのが目標です。

看護

看護に携わるのは主に看護師です。直接患者と関わる機会が多く、患者のナラティブを聞く機会も多いでしょう。特に入院している患者にとって看護師に聞いてほしい、痛みをわかってほしいと思うことがあります。

医師の診断では問題はなくても本人が痛みを訴え苦しんでいる場合は、聞いてあげることに意味があり、患者が満足することもあるでしょう。検査で何もないから患者の訴えを聞く必要がないというのは、ナラティブの看護としては問題です。

患者から患者にとっての重大なことを聞くことで痛みを共有し、その人自身を理解し最善の看護を施すことができるでしょう。

福祉

福祉と言っても幅が広いですが、福祉の相談を受けるソーシャルワーカーを考えてみましょう。相談者の困りごとや要望を聞いて適切な福祉のサービスを提案しますが、ここでもナラティブが重要になってきます。

ソーシャルワーカーはその道のプロですが、相談者のナラティブを聞かずに適切な福祉の提案はできません。ソーシャルワーカーの経験から必要な提案をするのではなく、相談者の具体的な内容を相談者自らの口で語ってもらうことに意味があります。

例えそれが福祉に結びつかないような意味のないことに思えても、その人にとっては重要なことであるならば、語ってもらうことで解決のヒントが隠されていることもあるでしょう。ナラティブも含めて総合的に判断するのが大事ではないでしょうか。

心理学

ナラティブセラピーという心理療法があります。その人のナラティブが良くないものであった場合に、新たなストーリーを構成して物語を作り替えるという療法です。

客観的に見て事実であるかは意味はなく、その人にとっての現実的なでき事、心の中での意味付けられたストーリーは存在感がありその人にとってはリアルな現実です。

セラピーを受ける前の固定化されたその人の基本的な考えや思いのナラティブは「ドミナントストーリー」といいます。ドミナントストーリーは支配的で強固な物であり、思い込みや偏見が見られることもあります。

この固定化したナラティブを変えるために、セラピストとクライアントは協力して新しい物語オルタナティブストーリーを作っていきます。これがナラティブセラピーです。クライアントの語る中で解釈の偏りを見つけ、一緒にクライエントの好ましいストーリーへと書き換えていきます。

ものがたり

物語としてのナラティブは、現実に起こったことかどうかは重要ではありません。その人の思いこそが現実です。例え記憶や解釈が間違っていても悲しかったり腹立たしく思う感情も、ものがたりのナラティブとしてリアルなものとなっています。

ものがたりは、いつも同じではなく、思い出した時の状況や思い出した時の気持ちが上書きされたり、人との関係が介在することで、また新たな物語として生まれ変わります。起こってしまった事実は変えられませんが、事実を新たな意味付けをして捉え方を変えていくことは可能です。

ゲーム

ナラティブなゲームとはゲーム(プレステなど)の設定された中でプレイするのではなく、自分で選択する自由が与えられていて、選択し実行することができるものを指します。

自分で考え自分で行動するのは現実の世界でも同じです。問題が起こったときは自分で解決策を考えて行動し、結果により一喜一憂します。

主人公のキャラクターはただのキャラクターではなく、もはや自分自身でありゲームの中で体験したことは実際に自分で体験したことのように、心に刻み込まれます。大きな感情が伴った体験ほど、そのときの主人公の行動や状況も意味付けられ覚えているでしょう。

リアルな体験はナラティブとしてその人の中に生き続けます。同じゲームを他の人がやったら、同じ主人公であっても、また別のその人オリジナルのナラティブが作られることになります。

ナラティブとストーリーの意味の違い

ストーリーの意味

Latests